第138話 俺はアイドルの合同PV創りに参加した
「今日はアイなろ合同PV創りに参加ありがとう~」
湘南にある海浜公園で誠人がマイクで大声をあげている。
「「「「「おおおおーーーー」」」」」
アイドルオタク達がこれまた大きな声で応える。
今日はアイなろのビックイベント日だ。
アイなろに登録している100人のアイドルが参加するPV創りのイベント。
アイなろでは、PVがアイドルの人気に大きく影響している。
良質なPVが創れると人気が一気にあがる。
このPVを創るのがスペシャリストと呼ばれる参加者達。
衣装コーディネーター、メイク、振付師、作詞作曲家、ビデオカメラマン、ビデオ編集マン、コピーライター、アニメーター、プロデューサ。
自分が得意な技術を提供して、PV創りに参加する。
中には完全にプロも参加しているが、多いのはセミプロやアマチュア達。
お金が介在することもあるけど、無料で行うことも多い。
エンジェルから支援されたポイントで支払うこともできる。
どの人にどんな役割を与えるのかは、主にプロデューサが中心になってきめる。
その際に鍵になるのが信頼ポイント、SPだ。
それぞれPV創りに参加した者同士が相互に評価しあうシステム。
ただ、同じ評価を与えても、その人自体がもっているSPによって与えられるSPが違う。
だから、SPが高い人はそれだけで注目されることになる。
今回のPV創りイベントでは、人気アイドルも参加するがSPが高いスペシャリストも参加する。
もちろん、エンジェルや普通のファンも参加する。
ファンはエキストラとしてPVに登場することもある。
とにかく、PV創りを大々的に行おうというが今回のイベント。
俺はメガヨットに乗って参加した。
PVにメガヨットを使ってもらおうと思ってな。
もう俺の存在はマスコミでバレバレになっているので、アークエンジェル・ハルトであり、アイなろオーナー悠斗であることをオープンにした初めてのイベント参加だ。
「誰か面白そうなアイドルはいないかな」
そう思ってみていると声を掛けられてしまった。
「これは悠斗じゃないか」
呼び捨てしているのは誰だろうと思って振り返ると、大和がいた。
アイドル合コン以来だな。
「なんか、いろいろと大変みたいだね。アイドルとデートするときは気をつけないと駄目だぞ」
なんか言い方が嫌らしい。
もしかして、文秋にチクったのはこいつじゃないのか?
「今日は投資するアイドルを見つけに来たのか?」
「ああ。僕は僕に優しくしてくれるアイドルが好きなんだ」
うーん、よっぽど人気なくて投資してもらいたいアイドルじゃないと寄ってこないと思うけどな。
「あの子なんかどうだと思う」
大和の指さすとこにいるのは、中学生くらいのアイドル。
完全にこいつ、ロリコンだな。
「いいんじゃないか。声を掛けてみろよ」
大和がその気になって中学生アイドルに声を掛けたら、周りにいるファンにブロックされた。
アイドルも怖がっているし。
あいつ、完全にコミュ障だな。
「ひどいなー。ただ声を掛けたのに、追い返されたよ」
「まぁ、なんだ。残念だったな」
「あんな女に投資するかってのよ」
「あー、まぁ、楽しんでくれ」
俺も大和を追い返して、俺は俺であちこち見て回った。
今日の目的はアイドルではなく、スペシャリストの方。
誠人に頼んで面白そうなスペシャリストをピックアップしてもらった。
さて行動を開始するか。




