第136話 俺はギャンブルの奥義をマスターした
競馬というものは、なかなか面白いものだな。
そして、チート財布からの金はどうも白蛇さんのパワーがあるらしい。
言われてみれば、白蛇さんは金運のシンボルでもあった気がする。
ギャンブル運も向上するのかもしれない。
「よし、もう少し、競馬を極めてみるか」
☆ ☆ ☆
ここは、川崎競馬場。
そして、俺は1億円デイバックを背負っている。
「あと15分で第一レースが始まるぞ」
「悠斗さん。勝ったら、なんか買ってくれる?」
「もちろんだ。俺には白蛇さんが付いているんだ。ガンガン儲けるぞ」
「かっこいいー」
こういうときは、やはり、美波がいいな。
お金が大好き、贅沢が大好き。
美咲さんを誘ったら、厭な顔をされそうだしな。
「ええっ、悠斗さん。ギャンブルをするんですか?」
うん。やっぱり美波で正解だな。
「よし、まずは1千万円。単勝一番人気で軽く様子を見るか」
「余裕みたいね。どのくらい儲かるの?」
「オッズは3倍ちょっとらしいぞ」
「もし、当たれば2千万円儲かるのね」
「そうだ。楽しみにしてくれ」
第1レース後。
「おかしい。なんで万馬券なんだ」
「そんなの偶然よ。気にしない、気にしない」
「そうだな。今度は勘でいくぞ。美波、誕生日はいつだ?」
「3月5日よ」
「よし、枠連で3-5だ」
「いくら、いくの?」
「今度も1千万円だ」
第2レース後。
「まったくかすりもしないというのはどういうことだ?」
「やっぱり、ちゃんと予想をしないと駄目なんじゃない?」
「そうだな。競馬新聞買ってくるから待ってろ」
第3レース後。
「おかしい。ちゃんと予想されている馬券を買ったのに駄目だった」
「おかしいわね。もしかして、悠斗さんはギャンブル運はないの?」
「そうかもしれないな。今度は美波が決めてみろ」
「わーい。みてなさい。負けた分以上、取り返してあげるわ」
「頼んだぞ」
第4レース後。
「駄目だったな」
「おかしいわ。ここはビギナーズラックで、どどんと当たるのがご都合主義というものじゃないかしら」
「そう思ったんだがな」
「ずるずると負け続けるのは嫌ね」
「それもそうだ。ここはひとつ、大逆転を狙って残り全部賭けてみるぞ」
残りが7千万円。
思いつきで、いろいろと散らして買ってみる。
全部で枠連を10くらいにした。
「あんまりひとつのところに突っ込みすぎると、オッズが下がるらしいからな」
「そうなのね。でも、それだけ買えば、とれか当たるわね」
「そうさ。どれかひとつでも当たれば、プラスになる買い方をしたからな」
第5レース後。
「なんで見事に外れるんだ。とうとう軍資金がなくなってしまったぞ」
「しかたないわね。帰りましょう」
「そうだな」
「今日は私が居酒屋でおごってあげるわ」
「そうか」
「こんな日もあってもいいじゃない」
「そうだな」
なぜか俺はギャンブル運はないらしい。
それだけは分かったぞ。
主人公はギャンブルは駄目らしい。




