第125話 俺は年収一千万円社員を百人抱えることにした
「あなたがやりたいことを教えてください by 悠斗」
たったこれだけ。
シンプルな宣伝広告。
一斉にネットに配信されたから、ネットを見ている多くの人は目に留めただろう。
宣伝文をクリックすると現れるのは募集広告。
「本気でやりたいことがあるなら、年収一千万円の社員になりませんか?」
そこから始まる、悠斗カンパニーの募集文章。
募集するのは100人。
「これをやりたいと明確に宣言できる人」
そして、100人の人から10人に絞って、やりたいことを実現するために3億円を投資する。
「宝くじより、高確率!」
なんてお気楽なキャッチコピーが書いてある。
☆ ☆ ☆
「悠斗さん! なにをいきなり始めたの?」
驚いて電話してきた美咲さん。
俺は企画意図を話した。
「とにかく俺はやりたいことを実現できる環境が欲しいのだ」
そのために用意したのが、投資用の3億円を10人分と年収一千万円の100人分。
他にもパラコンさんの年収3億円と、もろもろ経費をプラスして。
合計60億円。
このお金をうまく廻すのは、パラコンさんのお仕事。
なにをどうするのかは、一年間予算60億円の中で考えてもらう。
いままで一気に使ったことがない60億円。
実に5時間も掛けてチート財布から取り出した。
「どんな人が集まってくるのか?」
正直言えば、全く分からない。
結局、夢だけ見ている人が集まるだけかもしれない。
だけど、不思議なことに俺はきっとうまくいくと確信をしていた。
なぜなら。
「今、思いっきりやりたいことが実現しているから」
みゆちゃんとふたりで話してみつけた「今、やりたいこと」がこれだった。
本気で3億円でやりたいことを実現する。
その過程において何かが生まれてくるはずだ。
そして、100人のやりたいことを持った社員。
彼らが俺のやりたいことを実現してくれる。
「今、俺、最高にドキドキしているんだ」
後から電話をしてきた、みゆちゃんに気持ち伝えた。
「うん、分かる。すごくいい声をしているもの」
みゆちゃんは分かってくれる。
だったら、何も恐れることはない。
やりたいことをやってみる。
すべては、そこから始まるんだから。
優秀な人を高い給料で集めてみる。
うまくいくんだろうか。




