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第117話 俺はアプロディーテを見つけてしまった

「とにかく悠斗さん、このPVを見てください」


朝一番に誠人からの電話で起こされた。


誠人からのメールにあるURLをクリックすると、ユーチューブ動画に飛んだ。


その動画は、ひとりの白いドレスの少女が小さなハープを奏でている動画だった。


「なんだ、この動画は!」


まず音が繊細だ。繊細過ぎる。


だからと言って弱々しい訳ではない。

ハープの音色を聞いているだけで、まるでエルフの森にいるような不思議な気持ちになる。


ハープというのは、こんな音が出る楽器だったのか?


そして、途中から少女が歌いだす。

ハープの音色と少女の歌がハーモニーを奏で出す。


それがなんとも心地よい。


「そうか! ハープか」


俺はその動画でハープの可能性を感じた。

『アイドル革命』に登場するアイドルにハープを持たせる。

それも持ち運びに苦労する大きさの物ではなく動画のような小型のもの。


「もしかしたら、もっといいハープ動画が存在するんじゃないか」


俺はユーチューブでハープ演奏動画をチェックした。


そして、失望した。


「ち、違う! なんで琴みたいな音なんだよ」


ハープ演奏というのは、すごいバリエーションが多いらしい。

誠人が送ってきたURL以外のハープ演奏はことごとく、俺にはつまらなく聞こえた。


「やっぱり、あの動画の少女か」


あの少女の奏でるハープの音が欲しい。

ある少女は、誰なんだ。


チュロリン♪


おっと、メールか、誠人からだな。


「アイドルプロフィール 紗夜華」


なんと、送られてきたメールには、PVのハープ少女のプロフィールが書いてあった。


 全くの独学でアイリッシュハープを奏でる少女。

 その音色を聞くだけで争いは収まり、人々を豊かな気持ちにする。

 四国徳島県の唯一の村、佐那河内村に住む。


おおー。なんと、プロじゃないのか。


 アイなろに登録したばかりの新人アイドル。


そうか、だから俺も知らなかったのか。


 前世は、金星で風の神官をしていたことが判明。


おおっ、いかにも、なろう的設定。


 美と愛の金星神、アプロディーテの加護を持つ。


おおー、チート持ちか。



プロフィールは実にシンプル。

それしか書いてない。


だけど、そこからURLでさっきの動画にリンクされている。



「おいおい。これだけかよ」


もっといろいろとプロフィールに設定を入れて欲しいな。


でも。

なんか気になる。


もっと情報が欲しい。



プロフィールは「人気作家になろう」の短編として公開されている。


それを見ると作者はそのプロフィール短編しかない。


コメントを見ると、俺と同じようにもっと情報を、という声が書き込まれている。


「ちょっと待てよ」


ブクマを確認してみると、778件!

おいおい、一昨日の登録でそんなに集めたのか?


すごい人気じゃないか。


「アニメに登場するのを楽しみにしています」


そんなコメントも入っている。


なろう読者の期待を掴んでいるな。

だいたい俺もつかまれてしまった。



これは、この少女に会わなければいけないな。


亜麻色の髪、つまり淡い栗色の髪をした小柄なハープ少女。


俺はたった一回のPV視聴で、ファンになってしまった。

もちろん、投資したよ、まだ値が上がる前だから1株10ポイント。

3万株をいきなり買ったら、株価は3倍になったが気にすることはない。


900万円投資してみた。

俺が投資したとなると、『アイなろ』ではすぐ噂になる。


アイドルファンの期待もすぐ上がるだろう。



それに応えるべく、プロフィール作成者とハープ少女を面接することにした。


新アイドル登場。


ただのわき役で終わるのか。それとも?



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