第116話 俺はみゆちゃんのことを頼むことにした
オーディションの後。
ペンネーム、自由にしてなろうの神5の翔。
彼とふたりきりで会って、みゆちゃんのことを直接頼むことにした。
「みゆちゃんを頼んだぞ」
「もちろんです。ところでなんですが」
「なんだ?」
「アイなろって登録アイドルの恋愛って自由なんですよね」
「ああ、それが他のアイドルと違うとこでもあるんでな」
「もし、なんですが」
「もし?」
「みゆちゃんと私が恋愛感情を持ってしまったら、どうします?」
「うっ」
それは……。
当然ありうることではないか。
原作者とアイドル。
共同で世界観を創り上げていくパートナーだ。
今まで経験したことをすべて話していくことになるだろう。
当然のようにふたりの間には特別な感情が生まれる。
その上、翔は男すら惚れてしまうような男だ。
みゆちゃんが惚れないはずはない。
「もしかして、翔はみゆちゃんに個人的な興味があるのか?」
「正直に言いますね」
「な、なんだ?」
「私が興味あるのは、悠斗さんです」
「えっ、俺?」
やばい。
そんな目で見てはいけないよ、翔。
俺は女の子が好き。
俺は巨乳が大好き。
ふぅ、大丈夫だ。
「そう、悠斗さん。そろそろ自分の気持ちに正直になったらどうですか?」
「いや、ごめん。俺は……」
「俺は?」
「俺は女の子が好きなんだ」
「僕もですよ」
「えっ?」
「えっ?」
翔が笑い出してしまった。
つられて俺も笑う。
「もう悠斗さんは面白い人ですね」
「あー、なんだ」
「ちゃんと聞きますね。悠斗さんはみゆちゃんのことどう思っているんですか?」
「みゆちゃんは大切なアイドルだ。今回の企画のセンターだしな」
「それだけですか?」
「それだけというと?」
「恋愛感情として、ですよ」
俺はその質問に答えられなかった。
まだ、自分の中に答えがない。
意識的に考えないようにしてきたみたいだ。
ズバリ翔に聞かれて、考えざるをえなくなった。
俺はみゆちゃんに恋しているんだろうか?
答えが出ない質問を投げかけられてしまったようだ。
みゆちゃんとの話は前に進まないなぁー。




