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第113話 僕はいつの間にか称号持ちになった

最近、僕の楽しみは『アイなろ』だ。


まだ、ほとんど人気が出ていないアイドルをみつけて応援すること。

と言っても、大したお金はないから課金アイテムは買えないけどね。


「僕の『やるなー』だって、ちゃんと1票なんだ。もしかしたら、それで人気に火が付くかもしれないしね」


そんな気持ちで、アイドルのPVを見ている。

お気に入りのアイドルは何度も見ている。


視聴回数が上がると、これまたアイドルの人気の指数になるしね。


そして、今日は金曜日。

明日は仕事がない。


だから、明け方まで『アイなろ』放題だ。


まずは、無評価アイドルのPVをひとつづつ見ていく。


2分くらいのPVが多いから1時間だと30本だね。

PVと言っても、自撮りPVがほとんど。


ちゃんとスペシャリストに依頼してPVを作れるのは人気のあるアイドルだけ。

登録したてのアイドルは、スマホで自撮りPVが基本だね。


もちろん、凝ったPVもいいけど素朴な自撮りPVも嫌いじゃない。


「おっ、いたいた」


無評価アイドルなのに、ぴかっと光る物を持った娘。


なになに、中学2年生か。

歌は「翼が欲しい」か。


僕も学校で習ったな、あれ。


だけど、この娘が歌うといい感じ。


この娘がいまのとこ一番だな。

全部で50人のPVを見たから、ちょっとレベルが高い娘だね。


「君に、すげーやるなぁ、をプレゼントしよう」


普通のファンだから、1日3回までしか押せない、「すげーやるな」ボタン。

ちゃんと選んで押してあげないと。


そろそろ、深夜12時になるかな。


あれ?

アイなろメッセージ?


誰からかな…えっ、運営チーム?

別に規約違反なんてしていないよ、僕。


なんだろう。


「あなたは、アイドル評価の先見性が優秀と認められました。つきましては、アイドルスカウトの称号が贈られます」


うわー、アイドルスカウト!

これって、そういう条件で与えられる称号だったんだ。


だけど、その称号って、どういうものなんだ。

あ、称号説明のURLが入っている。


ふむふむ。


なるほど。

僕が評価をしたアイドルが人気が上がっているからか。


先見性って隠しポイントが溜まっていたんだ。


「これからも、埋もれたアイドルのスカウト、お願いします」


だって。


もちろん、やるよー。


称号もらっちゃったから、僕の評価が一般ファンの10倍になるってことだし。

無評価アイドルにとっては、すごい評価になるね。


しかし、アイなろ、ファンの気持ちを掴むシステムを実装しているなぁー。


いやでも、無評価アイドル掘り起こしやってしまうじゃないかっ。

あなどれん!


 ☆   ☆   ☆


彼は初めてのアイドルスカウトの称号持ちになった。


そのことをアイなろ広場の掲示板で自慢した。

彼に続けと、無評価アイドルの掘り起こしブームが起きた。


「どうです? お金もかからない画期的システムでしょ」


アイドルオタの行動を知り尽くした誠人が、メインプログラマに自慢している。


「ぐぐぐ。俺のAI以上の効果を生み出しているなー。しかし、もちろん、こっちも負けていられないぞ」


アイドルスカウターの行動を組み込んだ、新アイドル評価システム実装を予定しているのだ。


ファンの行動と天才プログラマのAIスキル。


その両方が組み合って、令和のアイドルは立ち上がっていくのだ!


タイトルが僕だから、主人公視点じゃないんです。


アイなろのシステム、なかなかすごそう。


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