第112話 俺はアニメに登場するアイドル選定をした
「みゆちゃんは絶対だな」
俺は今、アニメ『アイドル大革命』に登場するアイドルを選定していた。
アニメ『アイドル大革命』は5人のアイドルが登場する予定だ。
元々は、普通の少女だった女の子が、『アイドルになろう』に参加することでアイドルとして活動を始める。
最初はバラバラで活動していた5人がなにかをきっかけとして、グループを組んで既存アイドルに負けない活動をしていく。
その原動力となるのが『アイドルになろう』のファン達だ。
当然ながらマスコミを利用して有名になっている既存アイドル達に対抗するにはネットしか活動場所を持たないなろうアイドル達は不利だ。
そのうえ、既存アイドル達はプロダクションの力を使ってなろうアイドル達の邪魔をしてくる。
ネットにおいても、『アイドルになろう』の対抗サイトをつくりあげ、お金をつぎ込んでファン達を取り込みにかかる。
活動の場をどんどんと狭められていくなろうアイドル達。
そんな彼女らを救ったのは、やはり『アイドルになろう』のファン達だった。
ファン達と一緒に考えたイベントがなろうアイドル達を一躍有名にした。
マスコミの連中がなろうアイドルの情報を遮断しようとすればするほど、なろうファンは熱くなっていく。
そして、アイドル好きのファン達の中で『アイドルになろう』の存在はアイドル界を新しく変える方向へと進んでいく。
そしてなろうアイドルの5人は、『アイドル革命』の名の元に東京ドームコンサートを仕掛ける。
成功させてしまっては、いままでの既得権益を失うと必死になるプロダクション連合の人々。
とうとう、法律を無視してまで邪魔をするようになっていく。
そんな逆風が吹く中でなろうアイドル達は本当に東京ドームコンサートを開催できるのか。
東京ドームをファンで満杯にできるのだろうか。
ファンとアイドルが協力しあって、目指すアイドル革命とはどんなものになるのか。
「うん、基本ストーリーはこんなものだな」
なろうアニメだから、ザマァ効果はしっかりと入れないとな。
既存アイドルの中には悪役令嬢キャラを入れないといけない。
元国民的アイドルと有名人の間に生まれたマスコミ界のサラブレッド。
そんな悪役令嬢キャラを出してっと。
「まぁ、このくらい作っておけば、後は『人気作家になろう』の人たちに任せよう」
なんと言っても俺は超底辺作家だったという黒歴史を持っているからな。
あらすじを提示して、そこからの作り上げは頂点作家達に任せておこう。
しかし、それでも。
あらすじを考えているだけで、身体が熱くなってきたぞ。
敵対組織のマスコミ連合は実在する訳だしな。
もちろん、こっちはマス系じゃなくて地下系だってことは重々承知。
地下系には地下系の意地があるってね。
現実はドン・キホーテにしかなれなくても、なろうアニメならアイドル革命は起こせるんだ。
なろうアニメの大ファンの俺は、そういう話が大好きだ。
そういうアニメを俺は観たいと思う。
俺が観たいアニメを「なろう」と「アイなろ」の全面協力の元、完成させる。
それが思ったほど人気が出なくてもいいじゃないか。
俺は絶対、感動する自信がある。
「あー、忘れていた。なろうアニメなんだから、絶対いれないといけないシーンがあるのを」
そう。
なろうアニメには絶対入っているシーン。
それがトラックに轢かれるシーン。
「あれ? だけど、それやるとアイドルがひとりいなくなってしまうな」
異世界じゃなくて現実世界を舞台としたなろうアニメだからな。
困ったな。
どうしよう。
「そうだ! ひとり殺してしまってもいい奴がいるぞ」
そう、「アイなろ」の創始者の俺だ。
「亡くなった悠斗さんのためにも私達が『アイなろ』を守らないでどうするの」
おおーーー。
ぞくぞくしてきた。
感動的だ。
だいたい、魔法の財布を持った奴がなろうアニメに出てきたらつまらなくなるしな。
最初の環境整備だけしたら、とっとと退場させてしまう。
それも敵対組織の陰謀によってだ。
「それでこそ、なろうアニメだ」
その時の悠斗はこのアニメがフィクションだと信じていた。
まさか限りなくノンフィクションに近くなるなんて考えは全く持っていなかったのだ。
いよいよ、本格始動するアニメ『アイドル大革命』。
どんなことになってしまうのか。
続きが気になるって方は、ブクマと↓で評価よろしくです。




