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第103話 俺は彼女を引き込んでしまったことを知った

「アイなろに登録しました」


俺の個人メールに連絡が入った。

このメールアドレスは、直に俺が見るプライベートアドレスだ。


他にも、ビジネス用としてメールアドレスを持っている。

そっちは、見たり見なかったりする。


見ているのは俺だけじゃなくて、美咲さんとアイなろの運営のひとりも見ている。


それぞれビジネス上大切なものと、アイなろ運営上大切なものはプライベートアドレスに転送してもらっている。

だから、いきなりプライベートアドレスに連絡を入れられるのはそれほど多くない。


「誰だろう、ん? 結衣ちゃん。分からないな」


名前に覚えがない。

しかし、プライベートアドレスを知っているなら会っているはずだ。


メールに記載されていたURLをクリックするとアイなろのプロフィール画面が出てきた。


「あ、彼女か」


数日前に銀座で寿司を一緒に食べた女子高生。

その中でもリーダー的な子。


アイドルになったらウケそうだなと思いつつも、あんまりこっちの世界に引き込むのもどうかと思っていた。

アイドルの世界はそんなに簡単じゃないと分かってきているからね。


ただかわいいだけじゃ、人気が出るとは限らない。

何か特徴がないと駄目な世界だ。


「そういえば、彼女の名前を聞いていなかった」


プライベートアドレスが入った名刺は渡しておいた。

彼女だけにな。


だから、アイなろ登録をしたことを連絡してきたのか。


だけど、特に応援してくれとか、何も書いていない。

単に連絡メールらしい。


「どれどれ」


女子高生の結衣ちゃんのプロフィールを見てみた。


写真はいいな。

普通に撮った写真だけど、自然な笑顔がかわいいじゃないか。


だけど、あまり特徴があることが書いてない。


普通の女子高生の感じだ。

高校の名前もない。


そりゃ、初めてアイドル登録したんじゃ無理もない。


あんまりプライベートなことを書くと何が起きるか心配なのだろう。


「あの高校の制服は人気の元になるんだけどな」


それは仕方ない。

他には、何か特徴はないのか。


「おっ、タロット占いか」


なかなか面白そうな趣味を持っているじゃないか。


占い師アイドル。

いいかもしれないな。


「タロット占い歴10年? ずいぶんと長いな」


小学校の頃からやっているということか。

もしかしたら、ちゃんとした占い師になりたいのかも。


まぁ、最初は占い師アイドルで良ければ売り出し方もあるだろう。


こういうことは、自分だけで考えてもうまくいかないもんだろう。


「そうだ。ひとりだけこの娘を紹介しておこう」


アイなろ開発責任者にして、アイなろが誇るアイドルプロデューサ、誠人。


誠人が喜びそうなアイドルの原石だから、うまく磨かせよう。

占い師アイドルとして。


やっぱり、アイドル育成は好きらしい。


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