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第102話 俺はヤバイことをしてしまったと気づいた

最近、街を歩いているとあちこちから視線を感じる。


パシャ。


あ、また写メを撮られたみたいだ。

撮影音がした方を見ると、「きゃっ」って言って女子高生が逃げていく。


どうも、俺は相当な有名人になってしまったらしい。


朝のワイドショーでは、昨日の買い物が事細かく解説されていた。


「バーキン4つで3千万円」


やっぱり、そこが一番インパクトあったらしい。

新橋でサラリーマンのおっさんにどう思うかインタビューしていた。


「いやー、ありえない。私だとバッグは3千円までですね」


まぁ、財布を拾う前なら、俺は千円だと答えたかもな。


あいかわらず、こそこそ、取材陣が付いてくるが気にするのをやめた。

どうどうと普通に道を歩いている。


そもそも、このあたりはミッション系の有名高校が近くにあるので、女子高生が多い。

そこの制服はすごい人気でその制服を着たいというだけで全国から集まってくると聞いた。


確かにかわいい制服で、その上かわいい娘が多い気がする。


だから、何気にこの道を歩くのは好きだった。

じぃーと見ると変質者に思われるから、チラ見しかできなかったが。


それが今は女子高生からガン見されてしまっている。


「こんにちは」


見られて写真を撮られただけじゃない。

おおっ、と思ってしまうような女子高生4人組に声を掛けられた。


「悠斗さんですよね。バーキン大人買いの」


なんだ、その称号は。

いつの間にそんなものが付いてしまったのか。


その称号があると女子高生から逆ナンパされる効果があるというのか。


「ああ。たぶん、そうだ」

「うわーー。本物だーーー」

「すごいっ。みてみて」


女子高生大盛り上がりだ。


「あの。今、忙しいんですか」

「いや。ただの散歩中だ」

「あ、それなら、一緒に散歩していいですか?」

「あんまり騒がないならな」

「「「「やったぁーーー」」」」


かわいい女子高生4人に囲まれて散歩することになった。

美女4人とお買い物とはまたちょっと違う贅沢な時間だな。


「あ。心配しないで。私達、おねだりしたりしないから」

「そうか」

「だって、そういう人、沢山きていて困っているんじゃないかと」

「そうでもないが」


さすがにバーキン大人買いはインパクトがあったみたいだが、「私も買って」と言ってきた女はまだ、いないな。


「一緒に歩いて写真撮るのはいいかな?」

「いいぞ」

「うれしいっ」


声を掛けてきた女子高生がリーダーだろう。

俺と話すのはその女子高生だと暗黙の了解があるらしい。


しかし、かわいい娘だな。

アイドルになったら、人気でるんだろうな。


「しかし、アイドルみたいな顔しているな」

「うれしいっ。アイなろのオーナーさんに言ってもらえるなんて」

「あ、別にスカウトじゃないから。安心していいぞ」

「えっ、そうなの、残念」


なんか、スカウトしてもらいたがっているような口ぶりだな。

しかし、あんまり深い仲になったら大変だ。


未成年に手を出したりしたら、一気に世間が敵に回りそうだ。


「まぁ、なんだ。一緒に飯でも食うか」

「本当? 嬉しい」


学校も終わったらしいし、別に問題はないよな。

ただ、ご飯をおごるだけだしな。


時間は15時半か、ちょうどいいな。


「寿司は嫌いか?」

「大好き。みんな好きだよね」

「「「大好き」」」


この時間ならまだ仕込み中のはずだから無理が通るだろう。

パラコンシェルを通じて予約を入れてもらう。


その店は前に一度だけ美咲さんと利用したことがある店。


銀座の名店で八兵衛という名前。

フランスの有名グルメ本で最高ランクがつけられていて、アメリカの大統領をおもてなしするにも使われた店。


予約が簡単に取れるところじゃないが、そこはパラコンシェルの力でなんとかしてもらった。

その時も17時の開店前だったから、今だったら可能だろう。


「よし、大丈夫だ。いくぞ」

「どこいくの?」

「ザギンでシースーだ」


一度言ってみたかった、セリフだ。

しっかりと女子高生にも受けた。


逆ナンパされた女子高生たちと最高の寿司を喰う。


とっても楽しかったぞ。

俺としてはな。


ザギンでシースー。昭和じゃなくて令和なのに。。。


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