第100話 俺はワイドショーも週刊誌も独占した
祝100話。まだまだ1日3話更新が続きます。
会見の日からマスコミは大変なことになった。
俺の顔がとにかくテレビで映し出されることが増えた。
翌日の朝の情報番組が一番すごかった。
各局の情報番組はすべて俺のことをやっていた。
大きなパネルを作って俺の話を解説している局もあれば、昨日の会見の俺の心理状態を専門家に分析させている局もある。
とにかく俺のことばかりやっている。
俺は呆れて早々に見るのをやめてしまったが。
まぁ、騒がれてしまったのなら仕方ない。
俺は、気にするのをやめた。
こういうときは、普通に生活するのに限る。
俺はいつものように1億円入りデイバックを背負い、ウォーキングをすることにした。
タワーマンションから出ると、待ち伏せていた取材陣がくっついてくる。
ただのウォーキングなのに、テレビカメラを向けられ大騒ぎだ。
そんなやつらを気にしないでウォーキングを続ける。
後ろから続々と取材陣が付いてくる。
そのうち、歩いている人たちも気が付いて、「あの人!」と騒ぎになる。
付いてくる人の群れが大きくなる。
「うーん。さすがにこれは迷惑だな」
あまりに付いてくる人が増えて通行の邪魔になっている。
仕方がない。
ちょっと休むか。
俺はいきつけの喫茶店に入った。
昭和レトロの落ち着く場所だ。
しかし、今日は落ち着くどころじゃない。
取材陣と野次馬でお店が満席になる。
元々はそれほど人気のある店じゃないから、空いているのも気に入っている理由なのだが。
俺は、モンブランとダージリンのケーキセットを頼んでのんびりと食べた。
その様子もテレビカメラで撮影されている。
こんな地味なシーンを撮影しても仕方ないだろうと、すこしサービスをしてみた。
デイバックからお金を出してみた。
1千万円の束を8つ、100万円の束を20、合計1億円。
1億円の札束をテーブルの上に出して並べてみた。
もちろん、意味なんかない。
だけど、一気に周りの人たちのテンションが上がってしまった。
まぁ、そうなるな。
こんなとこでお金を使うこともないので、もう一度デイバックにしまった。
俺はケーキセットを食べ終わるとお金を払って、昭和レトロ喫茶店を出た。
さすがにウォーキングを続けても仕方ないから、美波を呼び出してランボルギーニで移動することにした。
もっとも、ランボルギーニにはデイバックは載せられないから、駅のコインロッカーに入れておいた。
もしかしたら、付いてきている連中の誰かがコインロッカーを壊してもって行ってしまうかも、と思ったが逆にこれだけ知られていると手が出せないかもな、とも思った。
だいたい、強奪されてもそれほど痛い訳でもないしな。
「悠斗さん。お待たせ」
いきなり現れた真っ赤なランボルギーニと美女の存在に取材陣はヒートアップ。
目立つことが大好きな美波は嬉しそうにしている。
「じゃ、いくぞ」
「どこへ行きましょう」
そうだな。
「ドライブでもするか」
「きゃっ、嬉しい」
「しかし、後ろからついてくる奴らに負けるなよ」
「もちろんよ」
美波はスピード狂なとこがあるが、ただの無謀運転という訳ではない。
なかなかの運転技術を持っている。
ランボルギーニに乗り始めてからは、レース場を借りてプロレーサーの指導を受けているらしい。
「いくわよ」
俺たちを乗せた赤いランボルギーニは走り去った。
炎上商法だーーー。




