任務はこれからも続く
自分の世界に一旦報告に戻った雪樹。
国王に条件付きでの任務継続を許された事でまた任務は続く。
その一方で自分も任務を始めた当初に比べて変わったと感じている様子。
いつかは自分の世界を持ち帰った技術が救ってくれるとも信じているのだ。
「あれからもう一週間なんだね」
「雪樹ちゃんもまたこっちに戻ってきたりするのかな」
「それはなんともだけど、二郎はいてくれた方が助かるもんね」
そんな話をしているのは戻ってきてくれると信じているからなのだろう。
とはいえ技術を持ち帰るというのは大変な任務でもあるのだ。
「それにしても雪樹が自分の世界に帰ってもこっちは何も変わらないよね」
「そこは意外と変わらない日常って事なのかもしれないね」
「いなくなっても時間は変わらずに流れていくだけかな」
「今はプレイの人達はコンサートの真っ最中だし、若い子が成長してるのはいいものだよ」
「戻ってきたらまた俺の部屋が拠点になるのかなぁ」
そんな話をしていると何やら空が眩しく光っているのを確認する。
それを見た碧流はアパートの屋上へと向かう。
二郎もそんな碧流の背中をしっかりと見届けていた。
「雪樹、本当に戻ってきたんだ」
「待たせたな、またこちらで世話になる事にした」
「つまり仕事は引き続きしていくって事かな」
「そういう事だ、まあ定期的に報告に帰る事にはなったが」
「そこはいいよ、みんなも待ってたよ」
なんだかんだでみんなもまたこっちに来るのだろうとは信じていた。
だからこそかける言葉はお帰りなさいなのだろう。
ただ人生とは出会いも別れもあるからこそではある。
「それはそうとみんなにもまた挨拶をしないとならんな」
「だね、卯咲子は今日は仕事だしバンドメンバーは今はコンサート中だけど」
「そうか、なら帰ってきたらその都度挨拶をしていくか」
「それでいいと思うよ、それはそうと実際技術を持ち帰ってどうだったの」
「どこまでやれるかは分からんが、なんとでもなるとは思うぞ」
こっちの世界と比べると技術のレベルはそれなりに差がある雪樹の世界。
とはいえ泥沼化している戦争を終わらせるには強い力が必要という事でもある。
だからこそ技術を求めたという事でもあるのだろう。
「そういえばこっちでももう間もなく今年も終わるのだったな、時の流れは早いものだ」
「ただその前にクリスマスとかもあるけどね」
「年末年始はここの住人も忙しくなりそうだ、それも楽しみにしておくとしよう」
「まあ年末年始はクリスマスから大掃除に移ってそのまま新年だもんね」
「僕も流石に新年ぐらいは仕事を休むか、休息もしっかり取らねば体に響くからな」
雪樹も年末年始は楽しむ気満々である。
技術だけでなく文化にもきちんと触れているのはそれを必要と思うから。
必要だと感じたものには積極的に自分から首を突っ込むのが勉強になるのだという。
「なんにせよ任務は継続だ、機会があれば今までよりも遠くにも行きたいものだ」
「関西とか北や南もその地域独自の文化とかがあったりするしね」
「鉄道などを使えばすぐなのだろうが、そのためには金も必要になるからな」
「お金を稼ぐなら仕事はあるけど、そうすると時間も減るもんね」
「海の向こうに行ってみたいというのもあるからな、悩ましいものだ」
雪樹もそれだけ遠くに行くにはお金が必要だと分かっている。
とはいえ時間は任務に使いたいとも思っている。
とりあえずはそこの問題をどうするかも考えておく事にする。
「とりあえずまた技術を集めねばならんが、何かまだ未知のものがあったりのするのか」
「そうだなぁ、関西とか南や北にも行ってみれば何かあるかもね」
「外泊が出来るのなら走っていくのだがな」
「そこは流石は忍者だね」
「ただそれなりの金額を用意せねばならんのがあるから、そこを解決してからだな」
隣の県から走って帰ってきたりするのが雪樹だ。
だからこそ宿代などがあれば走って関西や南や北にも行けてしまうのだろう。
結局はお金の問題であるというのはどうしても避けては通れないのだ。
「とりあえずまた世話になる、他のみんなにもまた挨拶をしなくてはな」
「だね、またしばらく面倒を見るよ」
「すまないな、ではまた美味しいものを食べて任務再開と行くか」
そうしてまたこの地で任務を再開する事となる。
今度はもっと遠くにも行ってみたい、そんな思いを抱えつつまた任務に精を出す。
任務が終わればあとは自由、ただしそれを決めるのは国王自身。
それでも自分の国や世界のために技術を集め伝えていく。
それは曲がりなりにも国に仕える人間としての責務。
荒廃した世界を救うものは異世界の進んだ技術だと信じて。
荒廃した世界を救うものはここで一旦終わりになります。
今まで付き合ってくれた皆様、本当に感謝いたします。
次の小説もまたどうかよろしくお願いいたします。




