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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
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報告を済ませる

こっちの世界でもだいぶ多くの技術を見た雪樹。

それを報告するために一旦帰還する事を決めた様子。

帰還のために来る時に持たされた魔法陣の写しを広げる。

それに呪文を唱え魔法陣が光を放つ。


「本当に帰っちゃうんだね」


「ああ、ただ継続の任が出ればまたこちらに戻ってくる」


「戻ってきてくれるって信じてるからね」


そうして雪樹は魔法陣により元の世界へと転送される。


碧流やアパートのみんなもそんな雪樹が帰ってくると信じているようではある。


「行っちゃったね」


「だねぇ、まさか異世界の人にこっちの世界の技術を教えるとは思わなかったよ」


「でも卯咲子も雪樹の事を気に入ってたでしょ」


「まあね、素直になんでも聞いてくれるのは話してて楽しかったし」


「とりあえずこっちの時間でいつになるかは分からないけど、信じて待とうか」


そんな話をしながら屋上から下に下りていく。

バンドメンバーは今日は全員珍しく仕事である。


なんでも近いうちにコンサートをやるのでそのリハーサルらしい。


「それで卯咲子はどうするの」


「んー、今日はオフだし一緒に甘いものでも食べに行こうよ」


「甘いものって、辛党なのに甘いものも好きなんだから」


「碧流は激辛とか無理でしょ?だから甘いものを食べに行くの」


「分かった、付き合うよ」


恋人ではないのだが、普通に関係は良好な碧流と卯咲子。

碧流の作る服をモデルの仕事で着たりしている事もあり親しい仲ではある。


とはいえこの関係で恋人ではないというのは周囲には嘘だと言われんばかりである。


「おお、雪樹、戻ったのか」


「はい、ただいま帰還いたしました」


「それでその技術は持ち帰れたのか」


「はい、ただどれもあまりにも巨大故その写しなどを持ち帰りました」


「そうか、それらを見せてみろ」


向こうで撮った写真や技術の詳細を書き記したものを見せる。

国王はその詳細な記述や写真にとても感心を示す。


そしてそれを国の技術班に持っていくように指示を出す。


「さて、雪樹、褒美を渡したいのだが…」


「褒美…では一つ提案があるのですが」


「何か言いたそうだな、言ってみるといい」


「はい、もう一度異世界へと赴きさらなる技術の収集をしたくございます」


「ふむ、情にでもほだされたか?しかし国力のためと考えればそれもいいだろう」


国王も忍者である雪樹が向こうの人間にほだされたとは思った様子。

とはいえその技術があれば国力のためにはなる。


そこで一つ条件を提示する。


「向こうの時間で新年から半年に一度こちらに帰還し、その技術について報告せよ」


「向こうでの新年から半年に一度ですか、それが条件なのですね」


「そうだ、お前は優秀な忍ではあるが、同時に情を完全に殺せていないところがある」


「それは…」


「だから人の命を奪う仕事よりも情報収集などの任を任せる事が最適であろう」


それは国王なりの雪樹の本質を見抜いていたという事なのかもしれない。

とはいえ向こうにまた行くまでに寝首をかかれないという保証はない。


こちらでしばしの休息を取るが、その保証を約束させるつもりである。


「完全には信用していないな?目を見れば分かる」


「申し訳ありません」


「元々忍者、工作員とは失態を犯した際に決して助けてはいけない職だ、それは分かるな?」


「はっ、承知しております」


「あくまでも国のために尽くせ、そして全てが終わった時お前の職を解く」


それは意外過ぎる言葉だった。

つまり国王が任務の終わりを告げればその時点で失職するという事だ。


だがそれは同時に国王がその後の事も決めているという事でもある。


「職を解いたあとはまた異世界へと行くといい、そこで余生を過ごせばいい」


「それはつまり…」


「表向きは追放という事にした上で、お前と親しくなった者達のために尽くしてやるといい」


「…ありがたき褒美にございます」


「ただしそれまでは任務を継続せよ、それだけは忘れるな」


つまり任務の継続を褒美として与えるという事。

そして任務が終われば追放扱いで向こうの世界で生きろという事。


ただし任務の終わりを決めるのはあくまでも国王自身であるという事。


「また向こうへと行くのはいつにする?望む日にしていいぞ」


「では一週間ほど休みをいただきます、その後再び任務に就かせていただきます」


「承知した、ただしその休みでも気を緩めるな、どこに敵がいるか分からんからな」


そうして継続して任務をするのは一週間の休みを取ってから。

国王も雪樹を守るように陰の見張りをつける事に。


あくまでも任務の終わりを決めるのは国王自身。


それが終われば雪樹は向こうの世界へと表向きは追放される事となる。

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