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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
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涼しさと寒さ

最近は遠出にも慣れてきた雪樹。

そんな最近は夏が突然過ぎ去ったかのように涼しくなった。

とはいえ雪樹の世界ではこっちの世界というか国に比べれば全然涼しい。

涼しさの理由も何かとあるようではある。


「突然涼しくなったな」


「雪樹の世界ってこっちに比べたら涼しかったりするの」


「そうだな、湿度が全然低いから普通に涼しいぞ」


雪樹の世界でも言われる違いはやはり湿度。


それにより不快な暑さを感じずに全然涼しいとのことらしい。


「僕の国はそもそも高地にあるからな、それもあって平野部よりも涼しいんだ」


「そうなんだ、そういえば雪樹って肺活量とか凄いって思ってたけど」


「まあな、だから酸素の薄い土地での活動も全然余裕だぞ」


「山育ちって事なんだね」


「ああ、高地にある国で育っているので夜は寒いし昼は涼しいぞ」


そういう涼しさや寒さは土地の違いが出ているという事か。

そもそもの湿度が低いので平野部でもこっちよりも涼しい。


暑い地域も当然あるが不快感を感じるような暑さはないのだと。


「僕の世界だと砂漠でも着込んだ方が涼しくなるぐらいだからな」


「そういえば湿度の低い国だと砂漠とかでも着込んだ方が涼しいって聞いたっけ」


「ああ、それも夜になると寒いぐらいだからな」


「砂漠にも行った事があるんだよね?」


「ああ、あるぞ、夜は凄く冷えたな」


忍者という職業柄様々な国に諜報活動に行く事はある。

それで感じたのは砂漠の暑さは夜になると寒いぐらいに変わる事。


涼しいという感覚は気温が安定している土地だから感じられるという事だ。


「こっちも今は涼しいが夏の暑さは凄く不快感を感じる暑さだったな」


「雪樹でもそれを感じる程度には暑かったんだね」


「そう思っていたら突然この涼しさだ、この国の環境は凄いな」


「まあ西の方だと豪雨になってたみたいだから、環境そのものが変わってるんだろうね」


「豪雨か、乾期には恵みの雨だがそれが長く続けば災害になる、難しいな」


そもそもこの国自体が自然災害大国なのである。

雨はもちろん雪や地震、噴火もあれば台風も来るのだ。


そんな国で暮らしている民には素直に敬服の念を雪樹は抱いているようだ。


「この国の自然災害はあれだけ凄いのに、その中で生きている民は強いな」


「まあ災害に慣れるっていうのはあれかもしれないけどね」


「ただ慣れてしまう程度には災害が頻発するという事でもあるのだろう」


「実際外国の人が大きな地震に遭遇するとパニックになるらしいからね」


「地震なんて経験出来る国は少ないだろうからな、分からなくもない」


今日のように突然涼しくなるのも気候が変わったからなのだと卯咲子は言う。

今から30年前ぐらいだと今よりも夏の最高気温が6度ぐらいは低かったとか。


今の夏は普通に36度とかが出るのだと。


「気候の変化とは自然に起こるものなのか」


「地球温暖化とかは言われてるからね、そういうのは関係してるんじゃない」


「温暖化か、そういう話は僕にはよく分からんな」


「まあ昔に比べたら暑くなったのは本当って事だよ」


「同時に寒い時は凄く寒くなったりする、という事でもあるのか」


こっちの世界の暑さや寒さを経験した雪樹からすれば自分の世界は穏やかだったと思う。

暑い土地も寒い土地もあるが不快感のある暑さや寒さを感じないのだから。


雪樹からすればこの国の環境に馴染むのも任務のためだと思っているが。


「先日までの暑さはどこへ行ったんだろうか、環境の変化が激しすぎる」


「雪樹の世界だと突然涼しくなったりはしないんだね」


「当然だ、ゆっくりと涼しくなりゆっくりと暖かくなるぞ」


「昔はこっちも割とそんな感じだったんだけどね、今は夏夏冬冬みたいな感じだよ」


「春と秋はどこへ行ったのかという事だな」


卯咲子が言うように春と秋はどこへ行ったのかという話。

春なのに暑いし秋なのに寒いみたいな話なのだ。


涼しい通り越して寒いみたいな話も珍しくない。


「こっちに来てから気候の変化の激しさに苦戦しているからな」


「雪樹が苦戦するって凄いね」


「僕の世界ではこんな突然冷えたりしないからな」


「高地の国の出身で平野部も知ってる人だもんね」


「突然すぎるぞ、本当に」


環境の変化に適応するのも仕事である。

雪樹が苦戦するぐらいの環境ではあるという事か。


突然暑くなり突然寒くなるというのも大変なのだ。


「一枚羽織るか、体が資本だからな」


「そうした方がいいよ、必要なら貸してあげるから」


「すまないな」


暑さも寒さも自分の世界より厳しい。

発展した世界でそれを感じるのは発展の代償なのか。


突然涼しくなったそれは少し寒いぐらいだ。


卯咲子から一枚羽織るものを借りる事にした。

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