表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
73/90

本当は怖い

最近はすっかり遠出にも慣れてきた雪樹。

遠出の先でいろいろと見たり買ったりしているようでもある。

気になるものはとりあえず触れてみる事にしているようだ。

こちらの世界には珍しいものも多いようだからこそだ。


「なあ、この絵本や童話というのは子供向けの作り話という事なのか?」


「雪樹ってそういうのにも興味があったりするの?」


「いや、興味というか少し気になっただけでな」


雪樹が絵本や童話に関心を持った様子の雪樹。


母親が子供に読み聞かせるような本は珍しいのか。


「僕の世界にはこういう本はなかったからな」


「なるほど、でも絵本はともかく童話っていうのは原典は割と怖いとかあるよ」


「童話は絵の可愛さとは裏腹にエグいみたいな事でいいのか?」


「正しくは本の結末の先のお話がきちんとある、って事なんだけどね」


「つまり本になっている部分はハッピーエンドに見せるために切られているのか」


絵本は流石にそこまで怖いものでもない。

だが童話は実は怖いというのは意外とあるのだという。


それは国に関係なく実は怖い話だというのが言われているのだ。


「しかしこんな可愛い絵なのに話は怖いとはなかなかに興味深い」


「そこで終わるからハッピーエンドだって思ってる人もいるしね」


「原典は実は怖い話、考えた者はなかなかに出来るな」


「でも絵本でもそうだけど割とやばめな事をやってたりするんだけどね」


「子供向けだから実は凄い事がマイルドに描かれていたりするのか」


絵本でも童話でも解釈次第ては実は凄い事をしていたりする。

子供向けに描かれているからというだけの話はあるのかもしれない。


それをどう解釈するかというのは割とありそうなのが絵本や童話である。


「それで実際にどんな怖い展開が待っているというのだ」


「例えばだけど白雪姫は王妃が焼けた鉄板の上で裸足で踊らされたりとか」


「それは普通に拷問のレベルではないのか?恐ろしいな」


「ついでに言えば王子様はネクロフィリアって言われてたりするしね」


「ネクロフィリア?」


例に挙げた白雪姫でこの怖さである。

王子様はネクロフィリアだったり王妃は焼けた鉄板の上で踊らされたり。


内容のえげつなさもだが登場人物が総じて狂っているように見えてしまうのが怖いのだ。


「ネクロフィリアとはどういう意味なんだ?」


「確か死体愛好家って意味だよ、実際に死体でいいから持ち帰りたいって言ってるし」


「…原典は狂っているとかそういう話ではないな、これは」


「まあ伝えやすいように何度も手直しが入ってるからだよね」


「愛依は頭がよくないと言いつつも意外と物知りだな」


白雪姫のえげつなさは割とガチであり、狂っているという表現も分かる。

そうした童話も何度も手直しが入っているものが現代にあるものだ。


本当は怖いというのはあくまでも原典の話なのである。


「童話がこんなに怖いとは思ってもみなかったぞ」


「あくまでも原典の話だよ、かちかち山なんてお婆さんを殺して食べちゃうからね」


「食人とはまたとんでもない事が原典にはあるのだな」


「だから童話っていうのは原典はガチヤバだけど現代のは手直しされたものなんだよね」


「むぅ、童話の原典とは想像以上に恐ろしいものだ、驚いたぞ」


なんにせよ原典とは想像よりも恐ろしい。

童話とはそういうものなのだという事である。


雪樹もそれを聞いて恐怖というものを感じたのかもしれない。


「興味を惹かれて買った童話の原典がこんな話だったとは」


「子供には聞かせられない話だよねぇ」


「子供に聞かせたら確実に泣かれる話だな」


「手直しが入った理由ってそういう事もありそうだしね」


「大人でも怖いと思うであろうからな」


雪樹の世界には昔話はあるが童話のようなものは珍しいという。

それだけの歴史がないだけなのかもしれないが。


本はあるが昔話のような話が珍しいのは歴史的な問題なのか。


「僕の世界にはない話を聞けたのはいい経験だな」


「雪樹の世界には童話とかってないんだ」


「恐らくそれぐらい昔にはそういう文化がなかったのかもしれんな」


「そういうのは歴史の話か、それはそれで難しいね」


「探せば出てくるかもしれんがな」


雪樹の世界ではそういう文化が昔にはなかったのか。

なんにしても童話のようなものは雪樹の世界では貴重なのだと。


歴史において作家という職業が存在しなかったのかもしれない。


「そういう裏話的なもの聞けたのは興味深かったぞ」


「ウチなんかでいいならまた聞いてあげるよ」


「ああ、そうする」


そんな童話の裏話的な話。

雪樹も驚く残忍な結末。


まさに狂気という言葉が似合うものでもある。


驚くのも無理はなかったようである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ