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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
7/90

王子様とは

雪樹もこっちの世界を見て回っているものの各自の事情もある。

そのため手の空いている人に任せる形になっている。

そんな今日は上の階に住むバンドのボーカルの咲夢に任せられる事に。

とりあえず仕事についていく事になったようだが。


「お待たせ」


「いや、大した問題ではない」


「それじゃ行こうか」


咲夢は今日は写真集の撮影という事らしい。


下手な男性よりもずっとかっこいいと言われるその姿は大したものだ。


「とりあえずスタジオに移動だね、大体は分かってるかな」


「問題ない、一応金はもらっているし電子マネーというのも発行してもらった」


「なら平気かな、でも口座とかは流石になさそうだからオートチャージは厳しいか」


「オートチャージ?」


「一定以下の金額になると改札を通った時に自動で一定金額がチャージされるんだよ」


流石に雪樹の場合はまだオートチャージをするには何かと足りないものがある。

なので人力でチャージする事になりそうだ。


ちなみに今は5000円ほどチャージされている。


「それで撮影と聞いているが」


「うん、これから今度発売される写真集のね」


「こっちはそういうものに金を払うんだな」


「雪樹の世界にはそういう文化はないのかな」


「なくはない、顔立ちのいい騎士なんかは民に黄色い声を浴びせられる」


雪樹の世界でも美しさに対する認識はそこまで変わらない様子。

とはいえ写真集を出すといったような事はないのだろう。


そこは世界の違いという事か。


「さて、降りるよ」


「ああ、分かった」


「撮影はこの先のスタジオかな、時間はまだ余裕があるし飲み物でも買っていこうか」


「こっちの飲み物にも興味はあるからな」


「そこの駅のコンビニでいいかな」


そのまま駅のコンビニで飲み物を買ってその足で改札を出る。

改札を出たら咲夢についていきスタジオへ。


写真集の撮影は今回は中だが、別の日に屋外でもやる様子。


「お待たせしました」


「ここがその撮影現場か」


「こっちの人は見学希望だよ、構わないかな」


「よろしく頼む」


「咲夢さんが言うなら…機材には触らないで頼みますよ」


そのまま撮影が始まる。

咲夢が次々に衣装を着替えてポーズを取っていく。


その衣装も様々だが、男物の服が多いようだ。


「お前、男物の服ばかりだな」


「これでも学生時代は王子様って言われてたからね、泣かせた女は数知れずさ」


「そのスタイルで王子様は無理があるだろう、特に胸部が」


「でも文武両道を地で行くと言われるしね、顔立ちもキリッとしてるって言われるし」


「だが押し込んでしまえばそれこそ男に見えてくるな、そのスタイルのせいか」


なお咲夢が通っていたのは女子校なので、告白してきたのは全て同性である。

そんな事もあってか女を泣かせる女として知られていた。


同性を魅了するその美しさは可愛さではなくかっこよさなのだ。


「次、お願いします」


「はい!次の衣装!」


「あいつ、男にも人気が出そうなのに女まで泣かせているとか恐ろしいな」


「彼女は結構有名人だったんだよ、近所の男子校の生徒も惚れてた人は多かったって」


「まさに女には王子様で男にはお姫様だったという事か、末恐ろしい奴だな」


撮影スタッフから咲夢の逸話も結構聞けた。

学生時代にその美しさとかっこよさから男女両方を魅了していた事。


それでありながら浮ついた話が一切出てこなかったというガードの堅さも。


「それじゃ今日はここまで、お疲れさまです」


「うん、お疲れ様」


「ねえ、君も一枚撮ってみない?」


「僕か?一枚だけだからな」


「服はそのままでもいいかな、そこに立ってくれる」


成り行きで雪樹も一枚だけ写真を撮る事に。

一枚だけ撮った後咲夢と一緒に少し寄り道をする事に。


立ち寄ったのは現場近くのイートインのあるケーキ屋だ。


「私が奢るから好きなものをいいよ」


「いいのか?なら甘えておく」


「ただし数は勘弁してね」


「流石にそんなに食ったりはしないぞ」


「決まったら教えてね」


そんなこんなでケーキを平らげて店を出る。

こういうところが人気の理由なのだと雪樹は感じた。


まさに王子様でありお姫様なのだと。


「それじゃ帰ろうか」


「すまなかったな」


「別にいいさ、任されただけだからね」


そんなこんなでアパートに帰る事に。

なお一枚だけ撮った写真に担当が食いついたのは少し先の話。


雪樹も顔立ちはいい方ではある。


個人でどこにでも行けるようになるのはもう少し先になりそうだ。

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