美味しいロケ弁
最近はすっかり遠出にも慣れてきた雪樹。
そんな雪樹はそれとは別にバンドメンバーの仕事にも興味がある様子。
だからなのかその話もたまに聞いているようではある。
そこで興味を引いたのが愛依の保存していたロケ弁の写真のようで。
「愛依、それはなんだ」
「これ?ロケ弁の写真、ブログにアップする用のやつ」
「ロケ弁?要するに仕事で出される食事という事でいいのか?」
愛依はこれでネットにも割と強い現代っ子だ、
だからなのか仕事先での事などを短文で写真と共にブログに載せているらしい。
「ブログというのはどういうものなんだ?見ていてもよく分からん」
「うーん、分かりやすく言うとネットの日記みたいな感じかな?」
「日記なのか、一日に何度も更新している人もいたりするようだが」
「そこは書き方も人によるよね、長文で書く人もいるしね」
「人の個性が出るという事なのだな」
ちなみに愛依は写真メインで投稿するタイプだ。
そういうところは現代っ子という感じも強い。
写真に短文を添えて一日に何度も投稿する感じらしい。
「それでロケ弁の写真も多いな」
「まあねぇ、ロケ弁っていいお店のお弁当とかも出るから映えるんだよね」
「それなりにいい店が作っているから品質もお墨付きか」
「そうそう、うちのお気に入りはこのカツサンドね」
「お前、割とガッツリ食べるタイプなんだな」
愛依はこれでしっかりと食べるタイプである。
その割にスタイルがいい感じなのは代謝がいいからなのか。
食べても太らない人というのはいるものなので。
「しかしそれだけロケ弁の写真があるという事はきちんと食べているのか?」
「食べてるよ、残したら失礼になるしね」
「いい心がけだな」
「作ってる人も綺麗に食べた方が喜んでくれるし、神様も嬉しいと思うしね」
「そういえばこの国では米粒の一つにも神が宿るという考えがあったな」
愛依はそういうところは育ちがいいというのが分かる。
ただ裕福な家の出ではないからこその教育の賜物なのかもしれない。
貧困でこそないものの食べ物を残すのは失礼だと教わったのだろう。
「だが苦手な食べ物も当然あるのだろう?」
「うん、まあ正確には食べ物というより味付けかもしれないけど」
「そればかりは仕方ないのか」
「酸っぱいのが苦手なんだよね、だから梅干しとかは苦手かも」
「それだと弁当のご飯に乗っている梅はどうなるのだ」
愛依も苦手な食べ物はあるにはあるのだが、食べられないというわけではない。
ただ少々偏食家な感じはあるので、そこはご愛嬌。
やはり肉は美味しいという事なのだろう。
「しかしこうして写真を見ると美味しそうに撮れているな」
「ふふん、こういうのは美味しそうに撮るコツっていうのがあるんだよ」
「写真というのは奥が深いのだな」
「今はスマホで写真が撮れる時代だからね、ブログの更新も楽になっていいよ」
「美味しそうに写真を撮る、技術というのはそういうところにも出るのか」
実際愛依の撮ったロケ弁の写真は美味しそうに見えてしまう。
それは写真を撮る際に小さな工夫をするだけという事らしいが。
こういうネットの使い方は仮にも芸能界で生きている人らしくもある。
「ロケ弁というのは実際美味しいのだろう」
「まあね、安いお弁当は出せないって事だろうし」
「写真を見る限りそれなりに豪華というのは伝わるな」
「こういうのが食べられるのも大人になったって事なのかもね」
「愛依は軽そうに見えてしっかり者だな、いい事だ」
愛依がよく食べる理由の一つにはバンドをやっているという事もある。
それはカロリーの消費も多いのでたくさん食べないとガス欠になるのだ。
なので愛依に限らずメンバー全員、特にコンサート前には相当なカロリーを摂るという。
「ガッツリ食べてもそれを消費しているから太らない、凄いものだ」
「こっちはバンドやってるからね、コンサートなんて大変な事になるよ」
「それだけ食べないとガス欠になるというのは、バンドの凄さを感じるな」
「だってコンサートだと平均して三時間ぐらいはずっとやってるからね」
「太らない理由については聞いていたが、改めて納得してしまうな」
そんな消費カロリーの多さがガッツリ食べる理由。
普段はともかくコンサート前にはそれこそ全員がガッツリ食べる。
バンドとはそういうものらしい。
「仕事がない日ぐらいは更新を休んでもいいのではないか」
「オフは謎の女っていうのもいいよね」
「技術というのは使い手が反映されるものだな」
そんな愛依のブログにはロケ弁や普段食べているものの写真がこれでもかとある。
ネットも活用している辺りは事務所も許可しているのだろう。
自称アイドルなのでネット関係は厳しいかと思えばそうでもない。
それでも発言や投稿には気をつけなければならないのは言われているようだ。




