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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
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夏が近づく

最近はすっかり遠出もするようになった雪樹。

そんなこっちの世界もまた夏が近づく。

暑くなり始めた最近はみんな薄着になり始めている。

雪樹は暑さが苦手というより湿気が苦手なようだ。


「最近は暑くなってきたな」


「なに?雪樹って暑いのが苦手なんだっけ?」


「いや、暑さというよりこの国の暑さはジメジメしているだろう」


雪樹は暑さが苦手なのではなく湿気が苦手らしい。


それは亜人という獣の特徴が混ざっているからなのかもしれない。


「この国の暑さは暑いだけならまだいいのだがな」


「要するにジメジメしてるのが駄目なんだね」


「僕の世界だとこういうジメッとした空気はなかったからな」


「なるほど、だから去年の夏もそんな感じだったんだね」


「こっちは暑さだけならマシなのだがな」


雪樹の世界の暑さは湿気がないだけマシなのだという。

それはジメジメした空気が苦手という事である。


夏が苦手というわけではないというのは本人の談。


「そういえば卯咲子は暑いのは平気なのか?」


「私?うーん、もう慣れた感じはあるかも」


「こっちの世界の人間はタフだな」


「雪樹って忍者なのに割とヤワだよね」


「湿気のある暑さに慣れていないだけだ」


忍者だからとかではなく湿気のある暑さに慣れていないだけ。

それは異世界という環境で暮らしているからこそ。


自分の世界にはなかったからこそこの独特な暑さは異世界人には辛いのだろう。


「ジメジメしているせいで辛いのは環境の違いだろうな」


「確かに耳とか尻尾とか辛そうだよね」


「まあ亜人だから獣人よりはマシだろうと思うが」


「獣人ってもっと獣っぽいんだっけ?」


「ああ、だから僕はこれでもマシなんだと思う」


卯咲子は割と暑さには強いようでもある。

とはいえモデルなので日焼けはあまりしたくないというのは本音らしい。


雪樹が言うには日焼けも健康さが出ていていいらしいが。


「夏という季節は卯咲子も仕事で何かと苦労するのではないか」


「うん、モデルだから日焼けはあまり出来ないしね」


「そうなのか?僕が見た限りだと日焼けをしていた方が健康的に見えたが」


「それってグラビアとかじゃない?私はファッションモデルだから」


「そういう違いは僕にはよく分からんな」


雪樹が言う健康的な日焼けというのはグラビアモデルのそれだろう。

卯咲子はファッションモデルなのでグラビアモデルとは違う。


日焼けを健康的という理由は雪樹の世界での認識なのかもしれない。


「僕の世界だと夏は女性でも普通に日焼けしているからな」


「それって外で働いたりしてるからってこと?」


「戦争中とはいえ生きるためには必死だ、それもあって日焼けは健康的という事らしい」


「よく分からないけど、日焼けする程度には女性も何かとやってるんだね」


「民も生きるのに必死だからな、国を守るためにずっと戦っている」


つまり雪樹の世界で長期化している戦争は男が駆り出されるという事なのだろう。

戦争が長期化していて泥沼化しているのはお互いに引けなくなったという事か。


日焼けが健康的という事は労働するぐらいの余裕は国にはあるのか。


「戦争と言いつつも徴兵されるのは男が多いからな、それも理由だ」


「つまり戦争自体は泥沼で男が徴兵されるから女が働くしかないのか」


「ああ、だから日焼けは健康的という事になったらしい」


「なるほど、そういう理由なんだね」


「そこはこっちの世界でも似たようなものと聞いたからな、男はそれだけ必要なのだろう」


男が求められるのはどこの世界でも変わらない。

女が国の中で働いてもそれが戦争で消費されていく。


その結果夏の労働で日焼けした女性が健康的というイメージがついたのだと。


「なんにせよこっちの世界、特にこの国は湿気が酷くて敵わん」


「雪樹の世界だと湿度が低いから暑さにも慣れてたけど、こっちは湿気で辛いんだ」


「ああ、暑い土地での活動もした事がある、だがこの国の暑さはそれの何倍も辛い」


「暑さじゃなくて湿気が辛いっていうのは異世界人らしいよね」


「僕だって暑さ自体は慣れたものなんだがな」


雪樹は暑さが苦手ではなく湿気が苦手。

自分の世界の暑さとは異なるその嫌な感じの暑さ。


夏が近づくとその暑さに億劫になるらしい。


「湿気対策でも探すとするか」


「湿気対策、何かあったかな」


「本当に湿度というものには勝てん」


雪樹の世界にはなかったものが湿度。

暑い地域は当然あるが、湿度が高い地域に国はない。


それが湿度に苦しめられる理由なのだろう。


やはり湿気というのは異なる土地から来た人には辛いのだという事だ。

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