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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
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割引率と物価

最近はすっかり遠出するようになっている雪樹。

そんな外出先で食事を摂る事も最近は増えている。

だが予算は限られているのでその中からやり繰りする。

割引券なんかも持っているのなら躊躇いなく使うのは雪樹らしさか。


「なあ、こちらの世界だとクーポン券を配るのは当たり前なのか」


「なんだよまた」


「いや、外で食事をしているとクーポンを使っている人をよく見るのでな」


どうやら雪樹はクーポンを使っている人が多い事にも疑問を持ったらしい。


確かに最近は電子化されたとはいえそれでもクーポンを使っている人は多い。


「そんなにクーポンを配ったら利益が減ってしまうだろうと思ってな」


「そうだなぁ、客に来てもらうって意味だと一応の効果はあると思うが」


「だがそういう店は客の質が悪いようにも感じたぞ」


「まあ確かに安い店っていうのは客の質も相応に悪いとは聞くけどよ」


「飲食店の食べ物はあんなに安くてやっていけるのかとも不安になるぞ」


確かにこの国の物価は諸外国に比べるとかなり安いと樹希は言う。

それでも昔に比べると高くなったのだとも。


通貨価値が変わっているので一概には言えないが、それでも今は高い方らしい。


「だがこの国では割引とかは当たり前にされるのか?僕の世界では考えられん」


「賞味期限ギリギリの食べ物なんかは在庫処分的な意味での割引はするのは多いな」


「つまり廃棄するぐらいなら割引して売ろうという事でもあるのか」


「そんなとこだな、あと季節が変わる直前にバーゲンやったりするし」


「要するに割引というのは在庫処分の大義名分という事だな」


雪樹の言う事も確かに間違ってはいない。

とはいえダウンロード販売のサイトなどでは夏や冬などに大幅割引をしたりする。


休みに合わせてそういうセールをするのも計算をしてという事なのかもしれない。


「割引ばかりしていると定価で物が売れなくなるだろう、心理的な問題としてな」


「だから大幅な割引をする店って実は少ないんだよな」


「確かに割引と言いつつもその割引額が思っているよりしょっぱいとは感じるな」


「人ってのは安くなると買いたくなるもんなんだよ」


「割引といいつつそれが思っているよりもしょっぱいのはそういう人間の心理なのか」


確かに思ってみればクーポン券の割引は思っているよりもしょっぱいものが多い。

中には大きく割り引いてくれるところもあるにはある。


だが無料になる対象の商品が安いものだったり、割引額が50円だったりとかはある。


「塵も積もればなんとやらとは言うが、割引額はしょっぱいのだな」


「同人のダウンロードサイトなんかは9割引きとかたまにやるけどな」


「そういうのは登録者への還元率が高いから出来る、みたいな話か」


「実際50円引きとか精々通常価格の一割引きだからな、そんなもんだろ」


「元々が高いとも思わんが、割引率は実はしょっぱいのだな」


クーポンで割引される事自体は多いし、それを配る店も多い。

だがその割引率が実は結構しょっぱいというのは雪樹も樹希も気づいている。


一割引きでも安く感じるというのは人間の心理なのか、貧乏人の心理なのか。


「クーポンは確かに配り過ぎとは思うが、割引率がしょっぱいならいいのか?」


「無料券とかも流石にラージサイズを無料では配れないからな」


「ハンバーガー店のようなあれか」


「そうそう、だから無料券ってのは基本的にスモールサイズとか100円のものだぞ」


「客に来てもらう努力と割引と言いつつそれが実はしょっぱいと思わせない工夫だな」


雪樹は確かにクーポンや無料券は配り過ぎだと思っている。

だが同時にその割引額がしょっぱいのにも気づいている。


樹希曰く凄く割り引いてくれる会社もあるが、それは寧ろ珍しいのだとも。


「クーポンのからくりとは恐ろしいものだな」


「割引率なんて精々一割から二割ぐらいだよ、半額なんて簡単にはやらないしな」


「定価で買ってくれなくなるからだな」


「寧ろ定価に対して高いなんて言う奴はリピーターにならないからな」


「人間の心理とは恐ろしいものだな」


樹希も仕事先での弁当などは美味しくいただいている。

そういうのもそうだが、リピーターになるというのは重要なのだ。


バンドメンバーもハンバーガー店に行けば値段より食べたいものを食べるらしい。


「クーポンの秘密がなんとなく分かった気はする、考えているのだな」


「あれ大幅割引なんてどこの店もまずやらないからな」


「割引額を見て分かるという話だな、この国のやり方は面白い」


クーポン券の割引率は実はしょっぱい。

それでも安いとそれを買いたくなるし、クーポンを使いたくなる。


人間心理というものはそれが面白い。


雪樹の疑問もなんとなく解けた気がした。

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