服を選びに行く
雪樹もそれなりにこちらの世界に慣れ始めた様子。
今日は大学は休みという事もあり、雪樹の私服を選びに行く事にした。
同じアパートの夏花という人に相談して、雪樹の私服を選ぶ事に。
昨日のうちに話をつけておき、近くに服を選びに行く。
「お待たせしました」
「お前が夏花という者か、世話になる」
「そんなかしこまらなくていいわよ、とりあえず私服って事よね」
話は昨日のうちに大体伝えてある。
遠くまで行くのもあれだが、服屋のある街には行く事にしたようで。
「そんな遠くなくてそこそこいい服がある街は知ってるから、そこに行くわよ」
「分かりました、お願いします」
「ふむふむ、スタイルは割といいのね、だとしたら…」
「あまりジロジロ見るな」
「目で採寸してるだけよ、ほら、行くわよ」
とりあえずは隣街まで行くとの事。
ここから隣街だと古いものと最新のものが共存する街というところか。
そこなら古着も新しい服もそこそこいいものが揃うらしい。
「にしても忍者ねぇ、分身とか出来たりするの?」
「分身は出来なくはないが、あれはそもそも幻術の一種だぞ」
「ふーん、それにしてもデザイナー志望の碧流が私を頼るなんてね」
「俺は作るのはいいんですけど、選ぶとなるとよく分からないんですよ」
「モデルを輝かせる服を作るくせに、選ぶのが苦手っていうのも意外よね」
そんな話をしつつしばらく歩くと、坂が見えてくる。
坂を上った先がその目的の街。
夏花が普段よく行くという服屋に向かう。
「ここね、とりあえず試着してもらうから、来てくれる」
「分かった、僕にはよく分からないので任せる」
「さて、何を着せましょうか」
「こういう時は楽しそうですよね」
「これでもアイドルやってるんだから、私服のチョイスは考えるのよ」
そんなわけで夏花による私服の選択が始まる。
ここはそこまで高い服があるわけではないが、レディースからメンズまである。
雪樹はどちらかというとスレンダーな感じなので、それに合わせて選んでいく。
「雪樹って女物より男物の服の方が似合いそうね、そっちで見繕うわね」
「きちんと動けるのなら僕はなんでも構わないぞ」
「サイズは…これぐらいね、上もシャツの方がいいかしら」
「夏花さん自身が男物の服も着たりするから、頼りになるね」
「私は動きやすさ重視で選んでるだけよ」
そんなこんなで雪樹の私服の購入が終わる。
今日買ったものの他に後日もう少し買っておいてくれる事に。
最低でも生活で足りる程度にはあとから揃えてくれる事になった。
「さて、服も買ったし甘いものでもどう?」
「甘いものですか?」
「そう、ここの坂を下に行ったところにある洋菓子店でね」
「僕は別に構わないが」
「決まりね、行くわよ」
そのまま坂を上に進み、そこを真っすぐ進み坂を下る。
そこにある洋菓子店で、ここの店でしか扱っていないものがある。
それを好きなものを選んでいいという事で、夏花に甘える事にした。
「うん、やっぱりこの味がいいのよね」
「俺もここはたまに来ます、美味しいですよね」
「雪樹はどうかしら」
「うむ、美味しい、こんな食べ物もあるのだな」
「気に入ったのなら何よりね」
店でも雪樹はいろいろと見ていた様子。
こういった技術にも興味を示しているようだ。
洋菓子店の設備も雪樹にとっては新鮮だったのだ。
「そういえば今日は休みの子もいたわね、お土産に買っていってあげましょ」
「雪樹はこういう設備もやっぱり珍しいの?」
「こっちに来た理由って技術を持ち帰る、だったわよね」
「ああ、出来る限り見ておかねばな」
「自分の世界を救うためなんて、大変よね、他人事だけど平和も実感するし」
とりあえず夏花は休みのメンバーの分のものも購入して箱に詰めてもらう。
これで目的は大体は達成した。
一旦アパートに帰り、雪樹の今後も考える事に。
「とりあえず近所だけじゃ駄目だよね、少し遠出とかもしてみようか」
「それがいいわよ、技術って事なら少なくとも都内ぐらいは見ておくべきよ」
「なら頼むとしよう」
それで話は一応纏まった。
その足でアパートに戻り、他の区などに行く予定も考える。
碧流が無理な時はバンドのメンバーや卯咲子も頼る事に。
ちなみに購入した私服は男物の服が多かった。




