タバコは小道具
冬の寒空の中遠くに出ていったりもしている雪樹。
自分の足で遠出出来るようになったというのもこの世界を見る上で大きい。
帰りは最悪お金がなくとも走って帰ってこられるのも雪樹の強みだ。
そんな中こっちの世界で見た売り物なんかにも興味を示している様子。
「なあ、タバコというのはそんなに吸いたくなるものなのか?」
「タバコ?そうだね、あれは寧ろ嫌っている人の方が多いような気もするけど」
「そうなのか?その割には意外と売っているから不思議に思うのだが」
タバコは今のご時世どんどん吸えるスペースが減っている。
その結果喫煙家は吸う場所がなくなり、肩身の狭い思いをしているとも。
「なぜそんな嫌われているであろうタバコが普通に売られているんだ」
「そうだね、あれはドラマなんかでの小道具としての側面が今は大きいかな」
「ドラマなどの小道具なのか?外でも吸っている奴はそれなりに見るのだが」
「今はどこでも吸えるものでもないからね、喫煙スペースや分煙がされてるし」
「咲夢はそういう役はやっていないイメージはあるが」
タバコは小道具、それでも今は喫煙をする役というのも減っているのだと言う。
とはいえタバコは声を作るのにも役に立つと咲夢は言う。
だみ声を出すのにタバコを吸って声を作る声優もベテランにはいるらしい。
「タバコは小道具、とはいえそういう役はあまり見ないが」
「今は確実に減っているよね、ハードボイルドな刑事にタバコはセットなのに」
「やはり世間的に風当たりが強くなったという事でいいのか?」
「そうなるね、声優なんかはだみ声を出すのにタバコを吸う人もいるんだけど」
「喫煙自体が確実に禁止の方向に行っている、という事か」
雪樹がタバコに対する疑問。
それは世間的には分煙や喫煙スペースによる隔離が進んでいる事。
それでも普通に売られているという事についても。
「タバコがそこまで禁煙の流れになっても普通に売られている理由が分からんな」
「完全に禁止しちゃうと闇市とかが生まれるからね、禁酒法を繰り返さないためかも」
「禁酒法?酒を禁止した事があるのか?」
「外国の話なんだけどね、禁酒法を定めたら闇市が出来てお酒が売られたっていう話さ」
「つまり禁止してしまうと非合法なものが流通したり闇市になってしまうのか」
タバコがそこまで禁煙の流れになっても売られ続ける理由。
それは海外で過去にあった禁酒法の事も影響しているのだろう。
完全に禁止してしまうと闇市が出来て非合法なものが流れ始めるということだ。
「だから完全に禁止にするという事はしないのか」
「そういう事だね、だから喫煙スペースを作ったりしてるのさ」
「それでも禁煙化の流れは強いのだろう」
「強いね、私からしたらダンディなおじ様にタバコはセットだと思ってるけど」
「そういう考えもあるにはあるという事なのだな」
咲夢が言うにはタバコはドラマでもアニメでも小道具としてはいいものらしい。
特にダンディなおじ様という役柄にとってタバコはそれを引き立てるとか。
喫煙を演技の世界でも禁止にしたら歴史ものの作品は作れなくなってしまうとも。
「博物館なんかでも見たのだが、やはりタバコにも歴史があるのだな」
「うん、まあ昔はもっと至るところでスパスパ吸ってる人が多かったからね」
「健康的な問題なども解明された事によりタバコは追放されていったという事か」
「あとは副流煙とかもね、それもあってドラマでも喫煙者の役は消えつつあるよ」
「流石にそこからも追放したらつまらなくなるのではないか?」
タバコについては喫煙者はどんどん肩身が狭くなっているのも現実だ。
その一方で過度な嫌煙家の存在も問題視されている。
今の時代タバコを数というだけでその人は嫌われるのだ。
「タバコというのはそこまで追いやられても売られ続けるのだな」
「禁酒法の再来にはしたくないのはメーカーも政府も本音なんじゃないかな」
「闇市が生まれても困るという事か、それは分からなくもないが」
「実際タバコは税金が高いから、喫煙者は高額納税者なのもあるしね」
「事情は複雑なのだな」
タバコを取り巻く事情は複雑なもの。
その一方で小道具としてのタバコも消えつつある現場。
配信サービスなどで古い作品を見るとそれも顕著なのだそうだ。
「なんにせよ引っかかっていた事は分かった」
「タバコというのは難しいものなんだよね」
「禁止しないのは闇市を防ぐため、なるほど」
そこまで追いやられてもタバコは売られるし売れる。
それは禁酒法の歴史が語っているのだろう。
その一方でタバコの税金はかなり高い。
外国と比べるとそれでもこの国は優しいとも分かる話でもある。




