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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
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小道具いろいろ

最近は近所などにも自分の足で出歩くようになった雪樹。

そんな雪樹もこっちの世界ではじめて見るものも今でも多い。

大きな技術はもちろんだが、小さな技術などにも目を向けている様子。

それは日常の小さな道具などにも興味を示しているのだろう。


「こういう小道具は便利なものだな」


「小道具にも興味があるんですか?」


「ああ、技術とはこういった小さなところにも大きな貢献が見える」


技術とはそういった小道具にもその素晴らしさが見える。


普段何気なく使っている道具にもこの世界の技術の凄さを見ているようだ。


「フォークとスプーンが一つになっているこれは地味だが凄い発明だぞ」


「雪樹さんはこういうのははじめて見るんですね」


「店で弁当などを買う時は基本的にはこれはもらわないからな」


「あとこういうのもありますよ」


「これは二郎の店でも使っているレンゲか?」


そのレンゲは要するに穴開きレンゲだ。

スープを掬わずに具だけを掬えるというもの。


普段使っているものに一工夫といった感じなのだろう。


「凛音はこういうものも揃えているのだな」


「ええ、地味ながらも便利なので」


「曲がるストローなんかもそうだが、そういう閃きをした人は素晴らしいな」


「今では当たり前に見るこういうものも最初に世に出た時は凄かったんでしょうね」


「技術だと大きなものばかりに目が行くが、小さいものも素晴らしいな」


普段使っている食器や使い捨てのスプーンやストローなども立派な技術だ。

だからこそこういう技術も持ち帰れれば大きく世界が変わると思っている。


雪樹の世界では兵器や乗り物が欲しいというのが正直な本音ではあろうが。


「こういった小道具はやはり陰の職人なのだろうな」


「小道具というのも馬鹿に出来ないものですよ、それがあるから便利になったとか」


「そうだな、世の中を便利にするのは世界に関係なく発明なんだろう」


「雪樹さんの世界にも発明家とかはいるんですよね?」


「いるにはいるが、戦争のせいで兵器などしか研究させてもらえないとは聞いたな」


それを聞いた凛音は技術というものがどうやって生まれるかを言う。

それは多くの技術は元々は軍事目的で開発されたという事。


それが巡り巡って日常でも使えるように改良などがされていったという事も。


「やはりこういうものを生み出せる人は頭の構造が違うのだろうか」


「そうですね、でも多くの技術は元々は軍事目的で開発されているんですよ」


「そうなのか?それは意外な感じがするな」


「電子レンジやインターネット、他にも多くは最初は軍事目的で生まれたものです」


「つまりそれが巡って民間でも使えるようになったという事なのか」


この世界にある多くのものは元々は軍事目的で開発されたという事。

それはこの国に限らず、便利になった発明は多くがそうだという事でもある。


その話は雪樹には意外に映るようでもある。


「しかし軍事目的で開発されたものが民間に出回り便利にしているとは」


「軍隊というのは生活面で何かと制約もかかりますからね」


「食事に対する考え方や通信手段と行った感じか」


「ええ、だからこそ世の中が便利になったのは軍隊のおかげとも言えるんです」


「その考えは至らなかったな、軍隊の環境を整える事が国を豊かにするとは」


それが生まれた理由というのも雪樹には至らなかった考えでもある。

最初は軍事として開発された多くの技術や道具。


軍隊の環境を整える事は結果として国も豊かにするのだと。


「だとしたら食品なんかにもそういうのがあるのか?」


「ええ、缶詰なんかも元々は軍隊向けの食事として開発されたものですね」


「日持ちして保存も効くからか」


「世の中には知らないだけで実は最初は軍事目的というものはたくさんあるんでしょうね」


「小道具なんかもそうだが、考えた人の凄さが分かるな」


目的はどうであれ発明というのは凄いもの。

それが世界を変えるというのを雪樹は改めて感じた。


使い捨ての道具であっても最初に考えた人は偉大なのだと。


「何かと勉強になった、凛音も意外と物知りなのだな」


「そこまででもないですよ、ただ聞いた事があるだけです」


「発明も最初はどうであったか、それは大切なのだな」


技術を持ち帰るという任務を受けている雪樹。

そして同時に技術はどこから生まれるのかという事も知る。


多くのものは最初は軍事目的だったという技術。


発展はそこからなのだろうという事もまた事実なのである。

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