トレーニング飯
冬空の中いろいろと近所などを見て回っている雪樹。
そんな中夏花のトレーニングにもたまに付き合ったりしている。
また雪樹は夏花の食事にも興味を示している様子。
それはトレーニングに合わせた食事のようだが。
「はい、出来たわよ」
「これがトレーニング用の食事というものなのか」
「そう、トレーニングと体作りのためのメニューね」
夏花もバンド活動とは別にジムに通ったりして鍛えている。
雪樹も最近はそんな夏花に付き合って運動なんかをしているようで。
「これらの食材には何か共通点でもあるのか」
「そうね、タンパク質が多い食材って感じかしら」
「タンパク質、筋肉などをつけるのに最適なものだったか」
「そうそう、それで脂質が少なめのやつね」
「すでに充分鍛えられた肉体のような気もするのだが」
夏花が鍛えているのもきちんと理由はあるようだ。
ジム以外にも近所を走ったりしている時もある。
雪樹は最近はそれに付き合っていたりするわけだ。
「夏花は筋肉は割とついているし、肉体もしっかりしているのにまだやるのか」
「こういうのは継続なのよ、サボったら駄目なの」
「確かに屈強な肉体というのは継続によって身につくものではあるが」
「別にゴリマッチョを目指してるわけじゃないけどね」
「食事などにも気を使っているからこその肉体か」
夏花もその肉体を維持するために継続していろいろやっている。
雪樹も屈強な兵士などを見ているだけに夏花の鍛え方には感心している。
筋肉は大きければいいというわけではないのだ。
「夏花は腹筋も割れているな、女としてはかなり鍛えたというのが分かる」
「私からしたら雪樹の体力とか凄いと思うわよ、なんで息一つ切らさないのよ」
「僕はこれでも忍者だぞ?あの程度で息切れしていたら務まらんからな」
「なるほど、仮にも軍人って事なのね」
「そうだ、まあ軍人とは言っても前線で戦う兵士ではないがな」
雪樹はこれでも忍者である。
なのでここから隣の区辺りまでは一気に駆け抜けられる程度にはタフだ。
体力はもちろん足も速いし、身体能力も高いのは亜人だからこそでもある。
「トレーニング飯とは言うが、思っているよりは美味しいものだな」
「世の中には痩せたいっていう強迫観念みたいなのに支配されてる人もいるのよ」
「そんなに痩せたいものか?女性の魅力とは体の細さではないだろうに」
「結局は痩せるにしても鍛えるにしても大切なのはそれに合わせた食事なのよ」
「断食で痩せるというわけでもないのは僕にも分かるが」
夏花はきちんと食べた上で鍛えている。
痩せるにしても鍛えるにしても食事を抜けばいいというのは間違いである。
夏花はそれを理解した上で適切な食事と運動で今の肉体を得たのだ。
「夏花はそれだけの肉体ながらきちんと食事を摂っているのは分かっているからなんだな」
「頭を使わないトレーニングやダイエットで望む体は得られないもの」
「頭を使う、なるほどな」
「努力は嘘をつかないと言うけど、頭を使わない努力は簡単に裏切るもの」
「夏花はそれこそ頭も割といいからな、納得だ」
頭を使わない努力は簡単に裏切る。
それはダイエットという言葉が世に出た時から言われている言葉でもある。
ダイエットとは頭でする食事である、それが頭を使う努力なのだと。
「確かに僕の世界でもやたら筋肉を肥大化させている戦士なんかは見た事があるな」
「それは別に間違いではないと思うけど、目的に合わせるって大切よね」
「目的に合わせる、か」
「筋肉って重いものだから、水泳選手なんかは細マッチョが多いのよね」
「それが目的に合わせるという事か」
ダイエットでも鍛えるでも大切なのは目的に合わせる事。
何を目的にトレーニングをするかという事でもある。
夏花はそれをきちんと見据えてやっているようではある。
「このトレーニング飯とはまさに筋肉をつけるための食事という事か」
「そういう事よ」
「やはり鍛えている人間の食事という感じはするな」
「計画性が大切なのよ、鍛えるのもね」
「計画性、その先見性は見習うべきかもしれんな」
そんな夏花の先を見た鍛え方。
バンドというのは体力も必要な職業でもある。
だからこそ鍛えているというのは一つにあるのだろう。
「さて、休んだらまたトレーニングするわよ」
「なら付き合ってやる」
「雪樹も体力の維持が必要だものね」
そんな夏花と雪樹の合同トレーニング。
雪樹も鍛える必要はないのかもしれないが、体力の維持は必要。
それもあり夏花のトレーニングに付き合う事にしたのだ。
体をなまらせないためというのが本当の目的である。




