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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
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季節は変わり

こっちの世界も今ではすっかり秋になっている様子。

流石に冷え始めたので雪樹も一枚羽織っている。

そんな中凛音が秋の食材の料理のおすそ分けをしてくれるように。

秋の味覚も雪樹には気になっているようで。


「ふむ、これは美味いな」


「凛音さんの料理って美味しいからね」


「しかしすっかり冷えるようになったな」


今の季節は完全に秋である。


当然気温も下がっているので、薄着では寒くなっているわけで。


「凛音のおすそ分けは美味しいから助かる」


「だね、さつまいもとか栗とか美味しい季節だもん」


「凛音は和食が得意と言っていたが、洋物の料理も普通に作るのだな」


「それに今は秋の味覚が美味しい季節だからなおさらかな」


「僕としては魚が食べたいのだがな」


雪樹は魚が好きなのだとか。

そこは猫の亜人だからなのかもしれない。


とはいえ今は魚も高くなっているので。


「こっちの世界だと魚は高いのだな、店で見かけた際に高くて驚いたぞ」


「最近は魚って本当に高いよね、昔はもっと安かったらしいけど」


「つまり魚の値段が高騰しているという事か」


「みたいだね、海水温の上昇とかもあるから港町とかの近くの漁場にいないとか」


「魚が漁場にいないのならどうにもならんだろうな」


碧流も魚は割と好きなのだが、やはり高いと感じるらしい。

それは気候の変動なども関係しているというのは知っている。


それもあってなのかたまに加工品を買うぐらいが精一杯らしいとのこと。


「だがこちらの世界の魚は美味いぞ、やはり調理や加工の技術が優れている」


「雪樹の世界だと魚ってどうやって食べてるの」


「基本的には干物や他にも加工して食べるな、生ではまず食べん」


「それは衛生面の問題とかもあるからなんだよね」


「まあな、港町の漁師などは揚げてからすぐに食べる事はあるらしいが」


生魚が危険というのは大体の国や世界ではそうなのだろう。

異世界の住人である雪樹ですらそうなのだ。


それだけ生食という文化は奇異に映るものなのだとも思った。


「栗や芋も美味いが、やはり魚が食べたいものだ、どうにも物足りない」


「そればかりは仕方ないよね、お店に行けば少しは安く食べられるだろうけど」


「魚がそれだけ高騰しているのだからな」


「今年も秋刀魚が不漁っていうニュースは見たからね」


「魚の生態が環境の変化に追い打ちをかけられているという事だな」


それでも食べようと思えば食べられるものではある。

ただ高騰している事もあり手を出しにくくなっているのは確かという事だけだ。


庶民の食べ物では完全になくなったという事でもある。


「今でも安く食べられる魚は何かないのか」


「うーん、値上がりはしてるけどサバ缶とかイワシの水煮缶とかなら」


「缶詰というやつか」


「うん、それなら多少は安く食べられると思う」


「まあ物足りないのは仕方ないのだろうな」


缶詰の魚は割と今でも安かったりする。

それでも昔に比べると値上がりはしているのだが。


雪樹はそれだけ魚が好きという事でもあるが。


「魚は仕方ないとしても、旬の食べ物はやはり美味しいものだな」


「そうだね、さつまいもの煮物とか栗おこわとか」


「他にも栗羊羹なんかもあるな」


「お菓子も作れるのは大したものだよね」


「羊羹を自作出来る時点で大したものだと思うが」


凛音は洋菓子や洋食も作れるが得意なのは和食や和菓子だ。

おすそ分けの中に栗羊羹もあり、その味はねっとりと甘い。


雪樹も甘いものは割と好きなので、美味しそうに食べている。


「ふぅ、満足だったな」


「でも料理が上手な人は羨ましいよ、俺はここまでのものは作れないし」


「碧流も充分に上手いだろうに」


「雪樹に言われても複雑なんだけど」


「それでも美味しいと思えるものを作れるだけ素晴らしいと思うぞ」


雪樹も和食が得意なので、慰めにはならない。

とはいえ碧流も料理は割と得意な方ではある。


自炊をする事もそれなりにあるのだから、不味いわけがないのだ。


「さて、お皿とかは洗って返さなきゃね」


「洗い物は手伝うぞ」


「うん、どうもね」


そんな凛音のおすそ分けを堪能する。

たまに持ってきてくれるその料理は実に美味しい。


料理とは食べられるものが作れればそれで足りる技術でもある。


それでもやはり美味しいというのは素晴らしいのだ。

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