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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
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季節の味覚

雪樹もこちらの世界で近所には一人で見て回れるようになった。

その一方で夏も終わり残暑がきつい季節になってきた。

そんな季節の変わり目もあってか、秋の味覚も出回り始めている。

そこで凛音が家から送られてきたというものを食べないかと誘ってきた。


「剥けましたよ」


「これがこっちの世界の梨なのか」


「はい、地元の知り合いからこの季節に送られてくるので」


どうやら凛音の知り合いから梨が届いたとの事。


結構あるので少し持って帰ってもいいとの事だ。


「ん、これは美味しいな、甘いだけでなく水分が凄いぞ」


「雪樹さんの世界にも梨はあったりするんですか」


「あるにはある、ただこんなに甘くないし水々しくもないな」


「それは育つ環境の話になるんでしょうか」


「農家自体はなんとかやっていけているが、環境は荒れてしまっているからな」


雪樹の世界は長く続いた戦争により荒廃が進んでいる。

農業なども出来るには出来るが、立派なものが作れるような環境ではないとの話。


出来るだけマシといった感じの環境ではあるらしい。


「こちらの世界の食べ物は何もかもが美味しい、豊かさを感じるな」


「農作物とかも品種改良なんかは結構されていますからね」


「美味しくするためにいろいろやっているんだな」


「ええ、よければ今度農家の見学とか行きます?見学ぐらいなら出来ると思いますし」


「しかし農家となると少し遠出になるのではないか」


凛音が言うには遠出しなくても農家には会いに行けるという。

実際都会で畑を作り農作物を育てている人もいる。


なので都内でも農業見学は出来るとの事だ。


「こんな都会でも本当に農家がいるものなのか?」


「はい、いますよ、西の方に行くとかではなくそれこそ都会の真ん中で」


「だがコンクリートというやつだったか、それが敷かれているのに育つものなのか?」


「都会に農業学校があったりしますから、普通に育ちますよ」


「それは凄い話だな、都会のど真ん中で農業が出来るとは」


実際都会のそれこそコンクリートジャングルでも農業は出来る。

そんな都会で生まれた野菜もあるぐらいである。


雪樹からしたらそれこそ青天の霹靂のようだが。


「しかしこんな都会で農業が出来るというのは革命的な技術ではないのか」


「うーん、でも歴史は結構深いみたいですから、そうでもないのでは?」


「だがこれこそ持ち帰りたい技術の筆頭だ、世界が変わるぞ」


「雪樹さんの世界ではそういう事は出来ないんですか?」


「農業自体は普通にあるものだが、都会でやるという発想はない」


つまり雪樹の世界ではそれこそ石畳の国で農業などしないという事だ。

だがそれが実現すれば食料の供給は確実に改善される。


都会の真ん中で農業が出来るというのは雪樹にはそれだけ凄い話のようだ。


「それにしても都会で農業が出来て美味しくするための交配も盛んとは、凄いな」


「品種改良は昔からされていますからね、今ある美味しいものはその努力の結晶ですよ」


「それだけ農家は自分の仕事に誇りを持っているという事か」


「品種改良は難しい事ですけど、そうやって新しい品種が生まれるんですよ」


「そういえば野菜や果物にも品種の名前があるのだったか」


雪樹の世界では品種に名前をつけるという考えはあまりない。

あくまでもどこ産のように産地で区別をするものなのだという。


だが品種に名前をつけるというのも面白いと思っているようだ。


「雪樹さんの世界にも和梨みたいな果物はあるんですよね?」


「ああ、こちらの世界で和と洋で分けられているような違いはあるな」


「なるほど、和の文化は一応あるんですね」


「僕の国がそんな感じだからな、亜人は和の文化で育つ事が多い」


「ふむ、それもなかなか面白いですね」


雪樹が言うには亜人は和の文化で育つ事が多いという。

なので人の国と亜人の国のような感じはあるのだという。


それも含めて雪樹の世界の文化は存在しているらしい。


「梨美味しかったぞ、持って帰って碧流にも剥いてやるか」


「そうしてあげると喜びますよ、きっと」


「美味しいものが食べられるのは幸せな事だ」


「私もメンバーの人達に分けてあげましょうか」


「それがいい」


そんな凛音のおすそ分けをいただく事が出来た。

雪樹もこちらの世界の食べ物は美味しいとよく口にする。


それは豊かさの証拠なのか。


「さて、お皿を洗ってしまいますか」


「手伝おう」


「はい、ではお願いします」


雪樹は料理は得意な方ではある。

果物なども意外と食べるタイプだ。


それは忍者という職業もあってなのか。


きちんと食べるというのは大切である。

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