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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
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脱ぐのも仕事

こちらの世界については順調に馴染んでいる雪樹。

そんな中技術の他に仕事などについても興味を示し始めている。

夏はグラビアの仕事などもやっているのは卯咲子。

それのサンプルをもらって返ってきたようで。


「こちらの世界ではこういう仕事もあるのか」


「モデルって言っても様々だからね、服の他にもやってるだけだよ」


「それにしても卯咲子はそんな大きくはないけど、なかなかに映えてるね」


咲夢に言われると正直霞んでしまうところもある。


スタイルに関して言うなら卯咲子より咲夢の方がいいのだ。


「でも服のモデルをしててよくグラビアの許可が下りたね」


「安定してる仕事でもないしね、だから別の稼ぎ先も確保してるだけだよ」


「それにしても今年のトレンドはこんな感じなんだね」


「水着というものだろう?スタイルも武器という事なのか」


「そうだね、世の中には男女関係なくその肉体美で売る人はいるものだよ」


咲夢のスタイルでそれを言われると卯咲子でも霞んでしまう。

とはいえ咲夢にもそれに関する悩みはあるようだ。


その悩みというのは。


「そういえば咲夢って水着の仕事とかだと、かなり大胆なのをチョイスするって聞いたよ」


「ああ、それについては反動が出てるんだろうとは自分でも思ってるよ」


「そういえば咲夢って結構いいところのお嬢様学校の出身だっけ」


「つまり抑圧されていた事の反動が見事に出てしまっているという事か」


「見た事はあるけど、私に咲夢みたいな水着を選ぶ勇気はないかも」


咲夢は学生時代の抑圧の反動が出ているのだと本人は言う。

それもあってなのか水着もかなり大胆で、私服も男物の服が多い。


それは学生時代にそういうものに触れてこなかった事が原因なのだとか。


「バンドとは言うけど事務所的にはアイドルだもんね、咲夢は」


「だから役者やモデルや他にも様々な仕事をしているのか」


「アイドルって言葉を変えて言うならマルチタレントみたいなものだし」


「とはいえ私は音楽が最優先だよ、事務所にもそれは伝えてある」


「あの大きな声は咲夢じゃないと出せないよねぇ、これも反動なのかな」


そこそこいいところのお嬢様学校で女子校出身の咲夢。

当時から人気は高く王子様だったというのは本人の談。


卒業してからは真っ先に今の路線に進んできたとは言う。


「女ばかりの環境で生きてきたから今のような感じになったのか?」


「それはなんとも言えないけど、周りが驚くような仕事はしたかったかな」


「それでアイドル、それもロックバンドか」


「咲夢の歌声ってとにかく大きいんだよね、シャウト系って言われてるし」


「歌声一つ取っても世の中は多様なものだな」


そんな咲夢も自分にはないものを持ってる卯咲子が羨ましいとの事。

隣の芝生は青く見えるとはよく言ったものである。


卯咲子と咲夢は対極の環境で育ったきた人間だからなのかもしれない。


「私もモデルとしては小さい方だから、仕事は自分の足で取らないといけないからね」


「そういうところは私にはないものたよね」


「環境の違いだよね、でも私も咲夢も今に満足してないでしょ」


「常に高みを目指しているという事でいいのか?」


「そんな感じでいいのかな、常に最高を求めてその最高を超えようとしてるし」


とはいえ似たような仕事を受けたその時にその体の美しさは表れる。

解放的なものを選ぶ咲夢と常にそこにある最高を選ぶ卯咲子。


環境は人を形作るとはまさにその通りなのだろう。


「しかし卯咲子は意外と大きいのだな」


「着痩せするとは言われるからね」


「服を着ていると実際より小さく見えるという事だな」


「そういうのは少し羨ましいよ、私なんか身長が高いから目立つんだよね」


「人は自分にないものに憧れるとは言ったものだな」


人は自分が持っていないものに憧れる。

高い身長の咲夢は卯咲子には羨ましく見える。


その一方で咲夢には貪欲な卯咲子が輝いて見えているようだ。


「隣の芝生は青く見えるとは言ったものだな」


「私も卯咲子もお互いに持ってないものに憧れてるって事だね」


「そこはお互いという事か」


「持つ者と持たざる者、そんな感じだよね」


「立派に見えて悩みはある、そんなところか」


それは持つ者と持たざる者という人がぶつかるもの。

それでも卯咲子も咲夢もその上を常に見ている。


天井知らずのその向上心こそが二人の共通点ではある。


「さて、また次の仕事を探さなきゃね」


「モデルなのに脱ぐ事もいとわないのは大したものだよね」


「それだけ貪欲という事だな」


卯咲子も咲夢も満足を知らない性格だ。

そして常に最高の上を叩き出す。


それはお互いにそれを羨ましいと思うから。


環境はその人を形成していくのだ。

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