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荒廃した世界を救うもの  作者: あさしおやしお971号
技術の発展した世界
19/90

雪樹の刀

こちらの世界については行動範囲を広げつつある雪樹。

そんな中樹希と夏花が雪樹のあるものを気にしている様子。

頼んでそれを見せてもらう事にしたようで、少しわくわくしている。

それは雪樹が普段から帯刀している刀のようで。


「僕の刀?見せるのは構わないが、実際に斬るなよ」


「分かってるよ」


「それより早く見せてよ」


雪樹の帯刀している刀、本人が言うには特別に鍛えられた業物らしい。


切れ味はもちろん、刀身の美しさも素晴らしいとか。


「この刀、意外と重いんだな」


「金属で出来ているのだから当然だろう」


「うん、確かに想像よりは重いわね、異世界だから軽い金属とかあるのかと思ってたわ」


「これでも金属の中では軽い方だ、支給品のただの鉄の槍や斧はもっと重いぞ」


「金属なんだからそりゃそうだが、異世界って言ってもそこまで変わらないのか」


雪樹から見たらこっちの世界の方が魔法のような技術に溢れているという。

自分の世界では魔法で解決しているものが、それ以上に簡単に解決出来る。


それは世界の違いであると同時に、隣の芝生は青く見えるという事なのだろう。


「でも刀身も凄く美しいわね、これ、白銀で雪みたいな色をしてる」


「そういう金属を鍛えて作ったものだからな」


「実際どれぐらい切れるんだ?」


「そうだな、まな板ぐらいなら一撃だ」


「まな板って、もう少し例えるものがあるんじゃない?」


雪樹が言うには鉄ぐらいなら両断出来るらしい。

ただゲームなんかで言われる、鉄をバターのように斬り裂くみたいなのは無理だとか。


そんな切れ味の刀があったら争奪戦が起こってしまうからだと。


「でも鉄ぐらいなら両断出来ちゃうのね」


「僕からしたらアルミという金属に興味があるんだが」


「アルミって武器に加工出来るもんなのか?」


「それは調べないとなんとも言えん、だが軽い金属は素晴らしい」


「現代でもアルミ製の武器なんて聞かないし、おもちゃぐらいなら…なのかしら」


軽い金属はやはりそれだけ需要があるのだろう。

雪樹の刀も特殊な金属らしく、ただの鉄や鋼に比べると圧倒的に軽いという。


そういったものを与えられるのは将校や特殊任務に当たる者に限定されるらしい。


「アルミは流石に武器にはならねぇだろ」


「そうか?まあ切れ味はともかく強度が弱すぎるか」


「でも雪樹って本当に忍者なのね、刀っていうのも」


「僕の刀はサブの武器だぞ?メインは手甲による格闘だ」


「刀がサブって、普段から持ち歩いてるのにかよ」


雪樹が言うには得意なのは手甲による格闘術なのだという。

それもありこちらの世界の格闘術には特に興味を示しているとか。


西洋の格闘術などにも興味はあるようだ。


「アタシもトレーニングの一環でシャドーボクシングとかはやるけどよ」


「こちらの世界の格闘は実に面白い、個人的には拳法というものにとても興味がある」


「拳法って、中国拳法とかそういうやつ?」


「ああ、ああいう搦手のような格闘術は忍者の僕には最適だ」


「拳法ねぇ、酔拳ぐらいしか分からん」


雪樹曰く特に興味を示したものが拳法らしい。

それはただ相手を倒すのではなく、搦手による弱体化に惹かれたのだとか。


実際はどうなのかはともかく、拳法は確かに心の武道といった感じはある。


「でも拳法って実際に存在してるものなの?」


「歴史書などでは見かけるぞ」


「でも今のあの国にそんなもんがあるとも思えないけどな」


「そうなのか?」


「まあ少林拳の道場とかはこの国にもあるとは聞いたけど」


雪樹が拳法に惹かれたのは搦手の他にも、その動きにもあるのだとか。

流れるような動きで次々に相手をノックアウトしていく姿が実に素晴らしかったと。


忍者でもあんな動きは簡単には出来ないという事らしいが。


「でも何を見たんだ?流石に案内映像みたいなのじゃないだろ?映画か?」


「碧流は映画と言っていたな」


「意外と童心を忘れてない子なのかしら」


「僕は感動したんだ、あんな格闘術が存在すると」


「いいのかね、これで」


雪樹もそういうところは意外と童心のままなのか。

とはいえ拳法に惹かれたのは忍者らしいと言えばらしいのか。


人は意外と分からないものだと二人は思った。


「とりあえず、ほら」


「ああ、満足してくれたか」


「ええ、ありがとう」


刀を雪樹に返す。

しかし雪樹も意外と子供っぽい一面があるのかもしれない。


拳法に憧れるのは忍者だからなのかは定かではないが。


格闘術そのものに興味を示すのはその拳で生きてきたからなのだろう。

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