表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【超工事中!】てんさま。~転生人情浪漫紀行~  作者: Otaku_Lowlife
第一部 余談 打上花火
99/402

打上花火_4

「花火、綺麗だねっ―――くん……。」


 あれ……。

この子、知ってる?

たしか……。こないだの……。

女の子、高校の、そう、友達――いや、恋人……。彼女になったのか……。

えと…名前、名前、名前は――




「くん……。しーくん――」




「おーい! しーくん! 起きろー!」


 気が付くと――目の前にファラの顔があった。

まただ、何なのだろうか……。

何がきっかけになるのかは解らないが、また前世の記憶らしきものの断片が見えた。

双子の一件の時に見た映像――恐らくあの時と同じ人物だった。

俺は今、花火、を見てたのか――


「あ、起きた。」


「ごめん……。心配かけて……。もう大丈夫だ。」


 俺はどうやらヒトゴミの中倒れたようで、ファラに助けられたらしい。

目を覚ますと噴水のベンチに寝かされていて、少しずつ周囲の雑踏が戻ってくるのを感じた。


「もうビックリさせないでよ~。心臓止まるかと思ったよ……。」


「なんか、多分、前世の事、思い出してたんだと思う……。…………。」


 延々と止まぬ花火の爆発音が頭に響くたび、先程の映像がぼんやりと蘇る。

前世の記憶――俺には彼女がいて、その子と花火を見にいたのだろうか……。

そうして頭の中に残る残影を辿ってボーっとしていると、突然目の前にグイっとラムネが差し出された。


「ほら。ラムネ飲んで頭醒まして。」


「あ、おう、サンキュー。」


 なんだコイツ。珍しく気が利くな。

こんな事は初めてかもしれない――と感心しつつ顔を上げると、いつの間にかファラは大量の食べ物をこさえていた。

わたあめ、チョコバナナ、タコ焼きに焼きそば、りんご飴に――まぁとにかく呆れるほど沢山あるのら(棒)。

いつ買ったんですかぃファララ二等兵。お財布、俺が持ってるんですがねぇ。

さてと――ちょっとナタ屋でも探すとすっか。


「ぅ~ん、おぃひぃ~。」


「はぁ……。」


 まぁ、それはいいとして。俺はラムネの瓶に口を付けた。

――花火の慌ただしい爆音と見物客の歓声。

ラムネの炭酸が喉を通ると頭がスッとさえるのを感じた。

あぁ、なんか懐かしいじゃん――


「落ち着いた? タコ焼き、食べる?」


して、なぜいつも食べ物なんだこの残念女子。

 

「あぁ、ありがとう。でもタコ焼きは大丈夫だ。」


 それは俺の知ってるタコ焼きじゃねぇからな。

ファラの滅多にない気遣いに有難味を感じるも、笑顔で差し出されたそれをやんわりと丁寧にお断りさせて頂いた。


「そう。は~むっ。」


 ファラは再びタコ焼きを幸せそうに食べ始めた。

ま、楽しそうで何よりかな。


 ぐるりと、周囲を見渡す。

辺りには家族やらカップルやら友達やら、様々な種族がみんな祭りに侵され賑やかだ。

ふとその中に見覚えのある顔ぶれが目についた。


「あ! おい、あれ。メノさん達じゃないか?」


「え? どこ? どれ?」


「ほら! あそこ!! おーい!! メノさーん!! ウタさーん!!」


 流れていくヒトゴミの奥に、メノさんとウタさん、そしてイスタさんの3人がいた。

青いリザード族に、頭のお団子に鈴のついた髪留めのヒュムの女性――特にあの2人は特徴的だから間違いない。

花火の爆音に搔き消されながらも大声で手を振って必死に呼び止めると、どうやら気付いたようで、3人はこちらへ歩いてきた。


 大人げなく笑顔でブンブンと手を振ってしまったが、内心でもめちゃくちゃ嬉しかった。

待ち合わせをしたわけでもないのに、こうして見知った仲間とお祭りの日に会える。

それはなんだか、凄いミラクルだろう。


「よう。お前達も来てたのか。」


「メノさん達もいらしてたんですね。約束したわけでもないのにこうして会えるなんて、なんだか嬉しいなぁ。」


 メノさんの浴衣の着こなしはカッコいい。

紺色の無地の浴衣を右袖だけ通して、左袖は通さずダランと垂らしていた。

これはリザードならではの粋な着こなしだろう。


「こんばんは。お久しぶりで御座います。」


「イスタさん、お久しぶりですぅ~!」


 相変わらず見目麗しいイスタさんは、長く綺麗な銀髪をシニヨンにまとめ、薄紫の浴衣が大人な印象だった。

にこっと笑う表情がいつになくふわふわと柔らかく、そのあどけない笑顔が大人びた風貌に反していて、とてもとてもとても素敵だなぁ~。


「あの、恥ずかしいのであまり見ないでください……。」


 うひひ。その恥じらいがまた素敵のらっ。

それで、ウタさんは――いつも通りだ(棒)。


「しかしお前らも暇だなー。あんなもん見て何が楽しんだか、私にはさっぱりだよ。」


「ウタさん、浴衣は着ないんですか? 一番似合いそうなのに勿体ない。」


 藍色のお団子ヘアに鈴のかんざし――前髪のサイドを肩まで垂らしたウタさん。

性格はともかくとしても、黙っていれば女性でもハッとするほど美しく凛々しい顔立ち。

間違いなくこの街切っての浴衣美人になるだろうに――


「あん? 服装なんぞどうでも良い。そんなもの面倒なだけだろが。

 私は酒さえ飲めればそれで良い、あとタバコな。」


 あいやー終わってんなぁー。

ウタさんは退屈そうにそう言うとグイっと酒ツボの中身を一気に飲み干した。

ぷっはぁ~!! と親父臭い――いや、酒臭い息をまき散らしながら。

手に持っている「食人鬼」と黒い文字で書かれた真赤な酒ツボが、これまたなんとも仰々しい。


「しかしお前、なんだその恰好――」


「え……。」


ふとウタさんは鼻で笑うと、俺の足元から頭まで、品定めでもするように視線をなぞった。


「似合わんなぁ! あっはっはっはっはっ!!」


「なっ! ちょ! 笑うなぁーー!!」

 

「あはははははっ!」


「はっはっはっはっはっはっ!!」

 

「うふっ。」


 ウタさんに指をさされて遠慮なく笑われた。

次にメノさんやファラまで腹を抱えて大声で笑い始めた。

仕舞にはイスタさん――堪えきれてないです……。いっそもう大声で笑ってくださいよ……。


「ヘイYOセイYOエビバデカモン!! 俺みつけたすげー美人OH!! 心ときめくビジーシャインWow!! ギラギラメッキのマイマインにも火がついて時々はドキドキってか? ははっいぇ。ここで決めなきゃ男じゃねぇだろなぁ? そうだろなぁ? なぁ? いぇ。ヘイYOなぁねぇちゃんYO!! 俺らと一緒に花火見YO?? 残念無念おことわり? そいつは失念へぇ言うじゃん? トゥービーコンティニューで空回り? ははっ!! イッツソロゥHEY!! イッツソゥロングHEY!! いっそここらでチャンチャンってか? いえ。てかテイクアウト? 実は良い感じに以心伝心? そんじゃここらで大化の改新? ははっ。いぇ。申し遅れました! 俺の名前はキッド・トキーオ! 俺らはるばる来ました! ケズグンマーのラップマスター! イカしたリズムのヒノマルラップ! おれらのビートで踊ろうダンス!

 ヘイカモン!! いぇ! いぇエビバデカモンヘイYO!! エビバデ! ダンスははっ!!」


 あいやぁ? 今度はなんだっぺがぁなぁ?

突然踊りながら現れたのは総勢10人はいるであろう「ヒノマルボーイズ」の皆さんだった。

そして何を血迷ったのか、どうやらイスタさんにノリノリで恋のクソダサラップバトルを仕掛けてしまった命知らずのキッド・トキーオさん。

だらしないダッボダボの服にツバ付きのキャップを、得意気に逆向きに被っているのがまた一層ダサい。

因みにその後ろには「チェ~ケラァ!」な感じのダンスをアンニュイでエビバデなラップに合わせて踊る得意げなバックダンサーが数名。

関わりたくないが――助けないわけには行くまい。


「あ! あの……! お願いですから! やめてください! きっと痛い目に遭いますよ! よ、YO! YO! な、な、ナンパはダメだ!! YO!!」


 あいやー、だっせぇっぺが……。

とりあえず体を揺らしてみたけど、今一リズムに乗れねぇのらぁ~……。


「おっとイキナリなんだてめぇは? ははっ!! おいカモンいえっ!! レッツバトルレディ!? ニューフェイス登壇で俺の恋路もトーンダウンで低迷? YES YES!! 喧嘩売る気か正気かTO ME? ヘイエビバデコイツにフォーカス!! いいぜコンティニューこのままダストシューしてやるからよく聞けこのカス!! ヘイヨー! ウカウカしてたら売られたケンカ? 勇敢? 傍観? それともBow Down? ヘイユー!! そんじゃサクッとやっからこのままHold on? アユレディ? ア! ア! アユレディ?? いぇ!! アユレディ?? いぇ!! アユレディ?? いぇ!! ユーのゆかた似合ってねんだよこのハゲボケナス!!」


「うっ!!」 


これは上手い!!


「ドーンだYO!!」


ボカッ!!


 ー お~~~~~~~~ ー


 うがっ! やっぱり殴られた!

言われたくない事まで流れるようなハイセンスなラップで的確についてきやがって! 俺はハゲじゃない!!

して、皆さんには何が起こっているのか今一伝わっていないと思うが、俺がキッド・トキーオの野郎にラップバトルでコテンパンに打ちのめされ、顔も心も思い切り殴り飛ばされて尻もちをつくと、ファラがクスクスと笑いながら近づいてきた。


「ぷっ。ちょっと、しー君大丈夫? あんなの放っておけばいいのに、フフッ。」


「そうは、いかないYO……。彼らだって、生きているんだYO……。てか、お前笑うなYO……。」


「OHノー!! 結局ナンセンスでスローな韻律!! それをいつもより景気よくKO!! OHノー!! 座して待ってりゃ王座はとれねぇスローン!! OHいぇスローン!! いぇははっ!! おっとちょいまちコイツはベリマッチ!? ちょっとよくみりゃちゃんねぇマブだし? なぁ、おれたちと――」


 それは、見事俺に完勝し、キレキレのラップで盛り上がりを見せ始めたキッド・トキーオさんが今度はノリノリでファラに歩み寄った時だった。

イスタさんがふわふわの笑顔を張り付けたまま、まるで獲物に齧り付くサバンナの猛獣のようにトキーオさんの肩をガッと掴んだ。


「――なんだ、YO?」


ドゴオオォオォォオオオン!!!!!!!!!


「あ~ぁ……。だ、YO……。」


 だから言ったのに、YO……。

トキーオさんがYO気に振り返った瞬間――迫撃砲でもあったのかと見紛う程の凄まじい爆発音と砂埃を柱のように巻き上げて、気が付けばトキーオさんは顔面から地面に叩きつけられ、どっかのヤムチャみたいな姿勢でポッコリと丸いクレータを作っていた。

ピクリとも動かず、辺りは時間が止まったように静まり返る。

突然の出来事に固まるヒノマルボーイズとバックダンサー達。

その表情は何とも言えない、そう筆舌に尽くしがたい何とも言えなさだ。

地面に沈んだラッパーのクレーターを、イスタさんは無言で、ただ笑顔で見つめていたYO。


「へ! へ! へ! SAYヘイYO!! 俺の名前はスヌープ・トチーギ!! YO YO白くなり行く山際?? OHノーもしや俺らはここらが瀬戸際?? YES YES!! たぎる血潮がうずくぜNEVER GIVE UP!!」


「YO YO!! 俺の名前はドクター・チバラギ!! っておいバカんなことやってる場合か?! はやく逃げねと俺らはジ!! エンドいぇ!!」


――楽園一転、天使の咆哮。渦巻く爆煙、ワンパンKO。

スヌープ・トチーギ、ドクター・チバラギ。顔面強打で再起不NO。いぇ。


「HEYエビバデ!! エ! エ! エビバデ!! HEYエビバデジャンプHEYエビバデジャンプ!! レッツジャンピン俺の名前はリル・ナゴヤー!! いくぜYO YO!! 闘う本能恋する三蔵!! それは恐らく無謀な煩悩?? 目指せ天竺犬キジ猿と!! ってそりゃ桃から生まれた桃太郎ってか? いぇははっ!! てかいぇははっ!! テイクアウトピーチNO!! テイクアウトビッチOH!! テイクアウトNO NO?? 不毛でOH NO?? そんじゃ漏れなく俺達KO?? それでも負けずにすべてをGET ALLヘイエビバデカモンやふぅっ!!」


ー Yahoooooooooooo!!!! ー


――踊るアホウに見るアホウ。同じアホウでも敵はラオウ。

リル・ナゴヤー、他バックダンサー。一人残らず問答無用。はは。


「ランナ――ウェイ……。」


 命知らずのヒノマルボーイズ達はあれよあれよと笑顔と殺戮の嵐に飲み込まれ、次から次へと生まれたての赤子のような姿勢で地面にクレーターを造って沈んでいった。

そうして辺りは一瞬で阿鼻叫喚吹きすさぶ地獄絵図と化し、まるでそういう芸術作品の博覧会みたいになったのだった。


「なんだコイツら、どこの辺境世界から来た田舎者だ?」


 傍観していた鈍感なウタさんはタバコを吸いながら、不気味なクレーターに横たわる瀕死の彼らをゴミでも見るかのように見つめてそう呟いた。

更にそんな騒ぎをどこからか見ていたのか、立て続けにその人物は姿を現した。


「あ~ら、フラれちゃったの? よく見ればタマタマの大きそうな男子達じゃない? ワタシが慰めてあげようかしら~?」


げ……。


「ヒィ! ヒト食いボーラだっ! ほっ! 掘られるぞお! お前ら逃げろ!!」


命知らずのキッド・トキーオは韻を踏まずに逃げ出した。


「あぁ?! おい戻って来いテメェ! だれがヒト食いだコラァ! 掘るぞコラァ!!」


「うわあああ! ほ! 掘るなあ! 掘るなあ!!」


「いやだいやだ! お! ぉれ! まだ男でいてぇYOoooooooo!!」


命知らずのヒノマルボーイズ達はなにしろ韻を踏まずに逃げ出した。


「ちっ、青びょうたんの田舎者共が、帰ってママのパイオツすすってなっ! ぺっ!!」


「おっ! おぼえてやがれ!! ラブアンドピースだ! YO!!」


リル・ナゴヤーが去り際になにしろ負け犬の遠吠えを――て、え? ちょ! いまなんつった!?


グウゥゥギュルルルルルゥゥゥウウ……


おいーーーーーーー!!


「あ! ぁああああででででででいってぇぇえええ!!」


 ちょ! 語尾! 語尾違ったろ! YOでいいのかよ!!

しかも今の俺じゃなくてボーラさんに向けたヤツだったろうがよっ!!


「おい、シーヴ。死ぬな、YO。」


 メノさん! こんな時に乗らないで!!

あたた――腹が、腹が……。

俺は惨めにも腹を抱えて地面に蹲った。

くそ――とんだとばっちりだ……。全然乗れねぇ……。


「だぁーっはっはっはっはっ!! コイツは傑作だ! カーズで死にかけてやがるっ!! YO!!」


「ちょっとウタさん、笑いす――プッ! ゴメンしー君……。もう、限界……。ブフーーーー!!」


 ー あーーーーはっはっはっはっはっはっはっ!!!! ー


今となってはまるで他人事のように解説していたが、俺は死にかけのゴキブリの様に醜態を晒してヒトでなしのクズどもに笑われながら、しばし腹痛にもがき苦しむ事となった。


「ふぅ……。まじで、シャレになんねぇYO……。」


「あらあら大丈夫?? それよりシーヴちゃん、さっきの見てたわよ?

 あなたやるじゃない! ワタシ、惚れちゃったわぁ!」


「はぁ、どうも……。」


 お久しぶりです、ボーラ・ホルーゾさん。

相変わらず麗しい筋肉ですね。

ボーラさんは包帯で胴をグルグルに撒き、浴衣を腰からスカートの様に男らしく下げていた。

すげぇ空手の達人っぽいし大体合ってる。


「シーヴ様、大丈夫ですか……?」


「はい、大丈夫です。カッコ悪いところ、見られてしまいましたね……。ははは……。」


 情けなくも、俺はイスタさんに抱き起こされた。

心配そうなイスタさんの潤んだ瞳に見つめられると殴られた箇所の痛みも吹っ飛ぶようだったがしかし、イスタさんは僅かに含みのある笑みを浮かべているのだった。


「ふふ。」


 こうして祭りの仲間は増えに増え、総勢6人に。

ボーラさんは出店をやっていると思っていたのだが、今日はお休みにしたらしい。

まぁ祭りはひと月もあるのだから、初日くらい休んでもどうという事は無いのだろう。


「あちこちから凄いヒトが集まるでしょ? だから明日からは夜の営業に切り替えるのっ。」


――だそうだ。

賑やかで楽しい夏祭り。

色々あったけど、あぁ……。良いなぁこういうの。

やっぱ夏祭りはこうでなきゃ――


「それにしてもこの間みんなで見た『ヒケコイ』は面白かったな。」


「でしょ~!? じつは今度また続編が出るのよ!!」

 

 ん? 何の話だ?

メノさんのなんてことない発言を皮切りに、ファラが興奮気味にはしゃぎ始めたが――


「ん? あぁ、こないだのあれか。私は映画とかあまり興味ないが、確かにまぁ、思ったよりはよかったなぁー。」


え?


「そうですね、わたくしもあのような熱い恋をしてみたいものです~。」


なに?


「ワタシも火消し屋ヨシネン大好きっ!

 ヒュージャック・ホースマンって渋くて素敵よねぇ~! キャーーーーー!!」


なんなの?


「うむ、確かにヨシネンはカッコよかったな。

 あのように己を奮い立たせて炎に立ち向かっていく勇敢な姿には、男のオレも思わず胸を熱くさせられた。

 火消しの恋、悪くない映画だった。」


 え? ちょ、まじ何の話……?

ヒケコイ? 映画? え? え?

俺の知らないところで、皆で集まって映画とか見てるの?

嘘でしょ? え? ねぇ? 嘘だよね?


「来年は『ヒケコイ2~ゴニョゴニョ大帝国の大大大逆襲~』がやるの! また皆で見に行きましょ!」


 ー さんせーーーい!!! ー


 う、なんか急に会話に入れないぞ……。

俺、完全に、空気に――いや透明になってる……。

は、体が透けて――なんだこれ……。

まさか、これが、唐突な、当たり前の、孤独……。 

うぅ、寒い――心の中に、雪が……。

グラスリップ、見た?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ