Failure_3
翌朝シャワーを浴びている時、全身が悲鳴を上げていた。
昨晩のことは途中からほとんど覚えていない。
取り返しのつかない悪口をちょこっとだけ言った事だけは確かだ。
鏡に映る自分の身体は、全身が赤黒く痛々しい痣にまみれていた。
骨は、折れていないようだが…多分あちこちにヒビが入ってる。
歯を磨くたびに口の中がキリキリと痛み、口の中も痛々しいほど血まみれだった。
「うっ……。これ、ひっでぇ……。」
そしてなぜかケツが嫌に痛かった。
改めて昨晩の、身も凍るような残忍な事件の悲惨さを知る。
ファラはあれから目も合わせない、話すなんて論外だ。
「はぁ……。あんなつもりじゃなかったのに……。うぅ……。ケツ、いてぇ……。」
俺は自分の奇跡を呪った。
この力はヒトからヒトへ想いを伝えることは出来ても、どうやら自分の想いを誰かに届けることが出来ない。
それが今は一番憎い……。
そんなことを思いながら、痛みを気遣って慎重に服を着る。
ケツの奥からほとばしる激痛に耐えながら浴室を出るとボーラさんに見つかった。
「あっ、シーヴちゃん。大丈夫……?」
「はい……。昨日は、すみませんでした……。」
「ワタシはいいけど、アレ、相当キレてたわよ……。女はキレると手が付けられないからね……。
ベッドを用意できなかったワタシも悪いけど、もう寝込みを襲うなんて、バカなこと考えちゃダメッ。」
「あの、本当に違うんです……。うぅ……。」
また涙があふれる、この数日で何度泣くのだろう、俺は……。
ケツもいたいし――自分が、嫌になるよ……。
「あらあら、よしよし……。痛いの痛いの飛んでいけ……。それ、それ……。」
と、ボーラさんのごつい腕に優しく抱かれ、慰められた。
「ファラちゃん、もうギルドに向かったわ……。
昨日のごはんの残り、ワタシたちの分まで全部食べられちゃって朝食の用意がないの……。
ごめんね、シーヴちゃん……。」
ボーラさんに昨晩の謝罪と改めてお礼を告げ、ヒビまみれの俺はギルドへ向かった。
ケツの痛みといい、憂鬱な朝だ。
今日これから起こることの全てが煩わしい……。
ボーラ・ホルーゾ。




