anthem_16
「あぁ、アンタあのウマモンさんの連れか。そういえば一緒に居たね。
はい、それじゃあ賞金ね。キミに言うのも変だけど、準優勝おめでとう!」
「あ、ありがとうございます。」
おぉ! 金だ! 金だ金だ金だーーーー!!
イッツマネーーーマネーーマネェェエエエエエ!!
ぃぃぃいいぃぃいいやっふぅぅううううう!!
俺は平静を装い、ギラギラのときめきを胸に秘めたまま、たらふくお金を詰められてハチ切れんばかりに太った賞金袋を、飽くまで紳士に受け取った。
心の中では、今まさに後方伸身宙返り4回ひねりが綺麗に決まり、ホールの観客席から大きな歓声が上がったところだぜいいぃぃいぃいいえええぇぇぇええぇぇえええ!!!
ひゃっはぁぁあああああぁぁああああ!!
「いやーしかし、あの子の闘いっぷりにはビックリしたよ。
あれだけ健闘したんだ、優勝したとしても名前負けで失格なんて無かったろうね。
いや~ほんと~に惜しかったねっ!」
満足そうに物思いにふけるカルビに突然バシバシと肩を叩かれた。
それにしても――しめて20万レラ!
ありがたや! あぁ! ありがたや! ありがたや!!
ありがたやオブザイヤーーーーーー!!!
………。
ファラには――内緒にしておこう、かな……。
全部使われたら、困るしね……。
「まぁまたおいでよ。次こそあのゴライアスをぶっ倒してほしいねっ! それじゃぁ!」
そう言ってカルビはそれはもう嬉しそうにるんるんスキップで去って行った。
可愛らしいフッサフサの毛がポンポンフワフワと揺れているのを眺めながら、俺は一時小金持ちの気分を味わっていた。
「お金、うっふふぅぅ~~。し、し、しぁわ、せぇぇ~~~……。でゅっふふふふふふぅぅううう~~~~。」
「ねぇ、し-君……。なにしてるの……?」
「ぅにょ?」
そうしてヒト目もはばからず20万レラの入った賞金袋に、ヤバめの下着泥棒のように頬を摺り寄せているところをファラに見つかった。
まるでゴミクズでも見る様にファラは目を細め、俺を真顔で見つめている。
「へへ。」
「きも……。」
なんつーか……悪いことは出来ねぇなっ。
お金、大好きっ。




