Vattica
「いぃーや、ソイツはちげー。絶対にちげーなぁ。」
「え?」
「いいか、よく聞けシーヴ。ソイツはなぁ、お前にとっての、絶対のロマンなんだ。いやマジで。」
「絶対の……。…いやいや。……。…だから、そんな大したもんじゃ……。」
「ちげぇちげぇ! 絶対のロマンになるんだよ。
お前が信じれば、お前が諦めなければ、誰にもお前を咎めることは出来ねぇ。それは『お前自身』にもだ。わかるか?」
「えっと――」
「意味なんか探すな、理由なんかファッキンシット、クソ喰らえだ。
そんなもんは全部不毛なんだよ、この絶対のロマンの前じゃな。」
「……。」
「いいかシーヴ――」
弱くてもいい、負けが込んでもいい。
一生勝てなくっても、別にいいんだよ。
翼がないなら地をいけ。足がないなら這っていけ。
乗り越えた先に、お前にだけしか見えない世界が必ずある。
それがお前の生きる、この世界の価値になんだ。
「だから続けろ、シーヴ。お前の為に。お前自身の、人生の為に――」
「……。」
「最後まで、諦めんな。お前の人生、一回きりだぞ。まじで。」
「それは――」
***
意味わかんないし、今にして思えば、正直めちゃくちゃなロマンだ。
けど――
「俺はまだ、諦めたくないよ――」




