表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【超工事中!】てんさま。~転生人情浪漫紀行~  作者: Otaku_Lowlife
第二部 1章 サライヴァ[1]
167/402

Under Your Skin_7

「キャーーーー!!!! やだーーーー!!!!

 どこ触ってんのよ放してよもーーーー!!!!」


 ウタさんが執務室を出て行ってから数十分。

俺はその間タバコ臭いソファに仰向けに寝転がって天井を見つめていた。

憂鬱だ――この恐ろしく静かな部屋で気になるのはファラの安否ばかり……。


ー チーさん、これがファラの右足です。 ー


ー このバカタレ! それは右腕だろう! ー


ー え? こんなに太いのに? ー


 脳裏に浮かに上がる映像――必死にファラのパーツを集めたものの生き返る事は無く、言い逃れの出来ない状況でチーさんにしつこく罵倒されるなど――そんなネガティブな想像が頭を支配していた時だった。


「――ぁいったぁっ!!」


勢いよく押し開けられるように扉が乱暴に開き、ドサッと音を立ててウシのようなシルエットのなにかが室内に放り込まれた。


「ファラ!!」

 

「え? しー君!?」


そしてそれがファラだった。


「うわぁぁあああぁぁん!! ファラァッ!! 無事で!! よかったぁぁああはぁぁはああぁん!!」


「アタジモーーーー! もうしー君死んじゃったかとおもてぇ~~~~!!」

 

「おんどりゃぁ! やかましわぁ!! ったくーーーー!!!」


 俺は夢のような光景に涙を流し、生き別れの兄妹との再会の様に膝をついたまま抱き合った。

そしていつからそこにいたのか、そんな様子を見ていたタさんがタバコの煙をくゆらせながら大声で唾を飛ばしてキレると、ぶっきらぼうに執務室の扉を閉めた。


「たくっ! このバカタレが~!!」


 あいやー、うじゃけた顔してどしたのー?

舌打ちをしてソファに身を投げる様にドカッと座る様子から、かなりストレスが溜まっているのが解るが、とりあえず輪になって踊っとく?


「なんで私がこんなことせにゃならんのだっ。 あのバカタレが~! 余計な事しやがってからにぃ~!!」 


 足を組み眉間に皺を寄せ、先ほどからぶつくさと文句を言っている。

きっと無能な部下の尻ぬぐいや日々の仕事があまりに忙しく、自分の時間や心の余裕が無いのだろうね。

そりゃうじゃけた顔にもなるわ。


「んで! お前らいつ帰るんだ?」


「え――」


 ウジャさんにそう言われて、俺は不意に先ほど頭の横をかすめたぶっといボウガンの矢を思い出す。

フラッシュバック――あぁリメンバー……。あれがもし、頭に刺さっていたら、俺は――


「はっ! はっ! はっ!」


「あ? な、なんだ?」


「しー君……。大丈夫?」


 突然心拍数が上がると共に過呼吸になり、全身に震えが走る。

あ! あ! なんか! ヤバい!

ヤバいこれは――ちょっとしたパニック症状かもしれない!

俺は声も出せずにその場にみっともなく蹲ってしまい、それを見たウタさんが大きくため息をついたのが解った。


「まぁ……責任の一端は管理者である私にもあるからな……。

 お前らダバで来たんだろ。そこまでは護衛してやる。

 ファラ、シーヴが落ち着いたら声を掛けてくれ。

 私はそれまで溜まった書類を片付ける事にするよ……。」


その後俺のパニック症状が治まるまで、ウタさんはウジャったそうに頭を抱えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ