Under Your Skin_6
「ちょっとーー!! ウタさーーーん!!!
これーーーー!!!! どーゆーことっすかーーーーー!!!!!」
「あぁ!? うるせーなぁ……。なんだ藪から棒にぃ。」
ファラとはぐれたままの俺は、まずそもそもの事の発端を考えていた。
そもそもの始まり――それはあの指名手配の張り紙だ。
十中八九それは間違いなく、ギルドから発信されたものであろう。
その結論に至った俺はヒト目を掻い潜り、ギルドの門前でリオさんに事情を説明した末に、ようやくウタさんのいる執務室へ辿り着いた。
俺が殴り込みをかける様に指名手配書をかざしながら執務室にドタドタと乗り込むと、ウタさんは書類の山の陰から相変わらず不機嫌そうなその顔をヒョコッと覗かせた。
「これーーーー!!!! おれーーーー!!!! のらーーーー!!!!」
俺は指名手配書をウタさんの顔の前にこれ見よがしに突き出してありったけの声量で叫び散らかし――
「…………。」
しばし無言になったウタさんが、俺のかざしたそれを不機嫌そうな顔で一層目を細めてジーっと凝視している。
「ふっ……。おまえ――」
そして俺の顔とその指名手配書を交互に見合わせて――
「やったのか。」
今年一悪そうな笑顔でそう言った。
「ちっげえぇよっ!!!!」
「まぁ落ち着け、なんかの手違いだろ。」
「これが落ち着いていられっぺがぁΦ#仝§%’〇ぁああ+*!#Δ%$ΘΞΦΣあぁぁああ!!!!」
「あーーーもぅうるせぇなぁ!!!! それ作ったのは私じゃねんだ!!!!
泳げないのに海に飛び込んで溺れたゴブリンみてぇな声出すんじゃねぇ!!!!」
「おにゃぁ……。だ、だってぇ……。」
ウタさんが机をドンと蹴とばすと同時に山と積まれた書類が一気に雪崩のように崩れ落ちた。
完全に露わとなった綺麗な顔はその眉間に皺を寄せて、ちっ! と舌打ちをしながら煙草をくわえた。
そういえば俺は未だかつてゴブリンを見たことが無いのだけれど。はて。
「たくっ。そいつの回収はもう既に手配済みだ。
2~3日中には街から無くなるから安心しろ。
まったくお前は良いタイミングで現れやがって……。」
「俺、うぅ……。身の丈もあるボウガンで頭撃ち抜かれそうになって……。
顔の横をかすめて…まじで怖いんすよ、アレが……。
ひっぐ……。ファラともはぐれちゃって……。
いま……アイツが無事かも……判らないんですよぉ~~~……。」
「あぁ~~わかったわかったよ!!
いますぐ迷子の捜索隊を出してやるから、とりあえずお前はここでジッとしてろ!!
もう泣くなってのやかましい!!!」
「うぅううぅぅう……。」
やれやれとタバコを咥えたウタさんに面倒くさそうに宥められて俺が泣き止むと、ウタさんは頭を掻きながらブツブツと文句を言って、早速執務室から出て行った。
「ファラ、五体満足かなぁ……。」




