Under Your Skin_1
これは少しだけ前の話。
「たっだいまっパトラッシュゥ~~~! 遅くなってぇ! ごめんなぁ~~~? よ~しよしよしよしよし!!」
フレンさんへエルザさんの想いを伝え、役目を終えた俺はファラと共にダバに乗って急いで家に戻った。
なぜなら――
「シーヴッ!! パンッ!! アホッ!! カスッ!! ヘッ!!」
「うわぁぁあああ! パトラッシュが! 新しい言葉を沢山覚えてるぅ!!」
そう、アスとナツの所へ預けて来たパトラッシュに早く元気な顔を見せてやりたかったのだ。
そして「たったの数日」そう思っていたのだが――
「シーヴッ!! 老害っ!! カスッ!! パンッ!! バカッ!! 老害!! ヘッ!! ヘッ!!」
「すっごいなぁパトラッシュ! いい子いい子! パトラッシュはいい子いい子!!」
ファラを家の前で降ろしてレンタルダバを返しに行った後、ようやく俺はアスとナツの家に到着。
アスとナツに連れられてお行儀よくお家の中からちょこんと現れたパトラッシュは、真ん丸の目を俺に向けた途端、笑顔で嬉しそうにケツを叩いて踊り始めた。
あまりの感動に涙を流し、俺は新しい言葉を幾つも覚えたパトラッシュに抱き着いてどっかのチョコラータみたいに無我夢中に撫でまわしていたが――いやはや、子供の成長を見守る親というのは、きっとこういう気持ちなのだろうなぁ、うん。
「実はアーカイヴの皆さんにパトちゃんをシーヴさんから預かったことを話したら、言葉を色々と教えてくれたんです。主にエヴァーストームさんが。」
「そっかぁ! うん! ありがとう! ありがとうなぁ!!」
「アホッ!! へッ!! ゴミッ!! クズッ!! へッ!! パンパンッ!!
カスッ!! シーヴッ!! 老害ッ!! 老害ッ!! クソ老害ッ!! パンッ!! パンッ!!」
「嬉しいなぁ! 嬉しいなぁ! 生きてて良かった! 生きてて良かった!!」
「シーヴさん――本当にそれで良いんですか……?」
「弟者、いいんだ。シーヴさんは本当に頭のおかしいドMのド変態なんだから。」
そうしてパトラッシュとの再会を喜んでいると、何故か双子がバカップルでも見るかのように怪訝な目で俺を見ていることに気付いた。
「な、なんだよ、お前ら……。」
「あ……。いえ、別に……。」
あ、こなくそ、珍しくナツがそっと目を逸らしたのが気に入らねぇのら。
「あぁあと、お爺さんが芸を教えたので、ブレイクダンスも出来るようになりましたよ。
パトちゃん、レッツブレイキン。」
「エビバデッ!! パンッ!! パンッ!!」
ふいにアスが顔の前で手を軽くパンパンッと叩くと、突然パトラッシュは逆立ちをしてクルクルと頭を軸に回りながらケツを叩き始めた。
回りながらこちらを見るその表情は、いつになく得意気だ。
「エビバデッ!! へッ!! へッ!!」
「パトラッシュ……。」
いや凄いけど――これはなんか嬉しくねぇな。
「あとそれから僕が腹話術と降霊術を教えたので、それも。」
「は?」
「パトちゃん、プレゼントフォーユゥ。」
「ヘッ!! ふぅりんかざんん~。パンパンッ!!」
「それ降霊術じゃねぇだろ! ただのモノマネじゃねぇか! くっだらねぇ芸仕込みやがってぶっ飛ばすぞお前!!」
「むっ、失礼ですね、折角シーヴさんが喜ぶと思って、ムチでバシバシと叩きまわしてスパルタ教育したのに。」
「勝手にヒトのペットにスパルタ教育してんじゃねぇよ!!!」
アスがそう言ってどこからともなく黒いムチをビシッ!! と取り出すと、パトラッシュは怯えた表情で俺の陰に隠れて震え始めた。
可哀想に――一体どれだけ叩かれたんだ……。
ごめんな……。ごめん……こんなクズどもに預けたばっかりに――ごめんな……。
「シーヴ……。ハゲ……。」
「誰がハゲだコラァ!!」
「ヘッ!! パンッ!!」
大変!! ヨシネンがついに火消しの仕事をボイコットしちゃった!!
地獄のパジャマデートの深い傷が、ヨシネンを引きこもりのクズにしちゃったみたい!!
けど無理もないわ…パジャマでデートなんて普通じゃないもの……。
そんな引きこもりのクズと化したヨシネンは、家の中で布団にくるまってポテチを食べる日々を送っていた。
そんな時にヨシネンの家に現れたのはかつてのライバルだったジョー・ノグチ!!
堕落したヨシネンに怒るジョー・ノグチ、ついに2人は取っ組み合いの喧嘩を始めちゃった!!
もう、一体何やってるの? しっかりしてよ! ヨシネン!!
お願いジョー!! ヨシネンの心の炎を灯してあげて!!
次回!! ヒケコイ2999話!!
「ジョー・ノグチ!! 2階の窓から突き落とされて大大大骨折!!」
お楽しみに!!




