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Everglow_6
「もう――無理だ……。」
フレンさんは子供の様に涙で顔を濡らしながら、震える声で苦しそうに呟いた。
眼鏡を濡らし、頬を伝って落ちた涙は白紙のページに濃い染みをつくる。
「もう耐えられない……。耐えられないんだ……。辛いんだ……。
俺だけが、のうのうと、生きていることが……。これ以上はもう……。
帰ってくれ……。頼むから…もう帰ってくれ……。
俺を……。頼むから、もう……。独りに――してくれ……。」
そんなわけにはいかないよ――だってアンタはまだ、全然解ってない。
まだまだ沢山――届いていない想いが、沢山あるんだ。
それでもまだ、死にたいというのなら、もう、勝手にすればいい――どっちみち、俺にできるのはここまでなんだ。
けどせめて、その想いはすべて、知っていてくれ――
俺は手袋を外し、ベッドの上に腰掛けて静かに泣き崩れるフレンさんの手にそっと触れた。
ー ねぇ――はやく、帰ってきて…… ー




