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【超工事中!】てんさま。~転生人情浪漫紀行~  作者: Otaku_Lowlife
第一部 終章 ノー スリープ フォー ルーシィ
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Theory Of A Deadman_4

 先の衝撃的な一件の後、明かりを消してから俺はずっと布団の中で仰向けになってボーっとしていた。

変なタイミングで起こされたことと、そしてなにより明日のことが少し心配になって寝付けなくなっていたのだ。

あのやかましいアケチコもようやく眠ったようで、部屋にはいよいよファラのスースーという静かな寝息だけが僅かに聞こえるだけとなっていた。

ちなみに、念のため布団は離したままだ。

念のためね――


 現在夜中の2時ちょっと過ぎ、これまた空気がひんやりと少し冷たく、少しだけ鼻の先が空気を吸い込むたびにツンと冷える。

もうあと6時間もしたら、ルギィさんと一緒にお墓参りに行くことになる。

それが最後だ。

そしてその後は――


「どうなることか……。」


 正直お墓参りに同行したとして、それが俺の決意になにか影響のあることだとは思えない。

暗い天井を見つめる。

虫の声すらも今は聞こえない。


「はぁ……。」


俺はため息交じりに布団を顔の半分まで被ってファラの眠っている方へ寝返りを打った。


「え。」


あ……? し………? だ。


「あ……。」


 足……。

寝返りを打った先、本当ならファラの布団が見えるはずなのに。

足があった、目の、前に――


 立っている。

俺の方を――向いて。

天井から、見下ろしている。

青白いつま先が。

俺を。


「ちょ……。」


 あれ、え、動け、なくね?

え? え! え!? やだやだ! 金縛りか!!??!?!

死ぬの? ねぇ俺今日死ぬの? 死ぬ??

やだやだやだ!! 死にたくないまだ死にたくないよぉふざけんな!!

やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!!!

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!

ちょま! ちょま! 助けてよ! 助けて! ファラてめぇコラァ起きろや!!


「ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”……!?!?!?」


 おいーーーーー! 起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ!!

動けねぇ! 喉がつぶれて声が出ねぇ!!

こんなに必死に叫んでんのに!!

やだやだやだ!!

なんで俺ばっかこんな目に遭うの!? もうイヤよぉ~~~~!!


「信じてるから――」


「え?」


「必ず、届けてね――」


「……。」


あれ――


「――夢……?」


 ……。

気が付くと、ファラが眠っているのが見えた。

あれ――俺、今寝てたのか?

今の、夢……?

けど――


 時計を見る。

暗い部屋の中、微かに見えた時刻は――2時ちょっと過ぎ。


「怖っ!!」


 怖いよぉ! なに今のっ! なんばしよっと!?

ぜんぜん夢じゃないじゃんっ!! こがんこってなんばしよっと!?

やめてよ! そーゆー過剰演出さぁ!

普通に出てきてくれればいいじゃんさぁ!!

なんでわざわざ金縛りまでして顔の前に立つのよなぁ! ねぇ! 怖いよぉ!!

もぅやめてよなんなのよぉもぅ~……。


「もう…嫌でしたよぉ……。」


 額の汗が凄い……。

喉がカラカラに乾いて、心拍数がドッと上がった気がする……。

ほんとにもう死ぬかと思ったのら……。

けど――


「信じてる――って、言ったのか……。」


 必ず届けて――って。

そう、聞こえたんだ。

それになんだか、少しだけ寂しくて、優しい声だった。


「……。」


 うまく言えないけど、オーラというか――あの感じ、その雰囲気は多分、同じヒトだったと思う。

昨日の夜から、ずっと傍に感じていた視線。

怖かったけど、見守るような、様子を見に来たような――そんな、感じの……。

優し気な――視線……?


「エルザ……。さん……?」


 なんとなくだけど、そう思った。

思えば奇妙な出来事も、あの日記を受け取ってからなのだ。


「信じてる――必ず届けて――か。」


そういえば結局忘れていたが、あの日記からはまだ「想い」を読み取れていなかった。


「エルザさん……。」


 信じてる……。

俺を……。

そして、きっとフレンさんを……。 


「試してみるか……。」


 俺は布団から起き上がり、荷物から日記を取り出した。

Everglow――か……。


ずっと、輝く――


 永遠の輝き――とかだろうか。

多分このタイトルは、エルザさんが付けたものじゃない。

これが綴られるよりもずっと後に、これを読んだ誰かがそう名付けたものだ。

恐らくこの日記には、俺が思うよりもずっと多くのヒトの想いが込められている。

その内容はというと、正直俺にはよく解らないのだけれど――


「けど……。」


 きっと意味のあるものなのだろう――

フレンさん……。

ルギィさん……。

ボーラさん……。

シゴールさん……。

そして、エルザさん……。


「届けますよ。」


必ず、届けますから――


「だから――どうか、想いを聞かせてください。」


 目を閉じる――

日記は俺の想いを伝って、少しずつその言葉を、フレンさんへの想いを語り始めた。




――ありがとう……




――どうか……よろしくね……




なんかいる系の金縛りあったことある?

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