Verge_2
「ふむふむ、ケズトロフィスに……。」
「あぁ、2~3日留守にするもんで、パトラッシュの事、頼めないかな?」
「パトラッシュ?――あぁ、あのはぐれクソモグリブタザルのメスのことですか? 元気ですか? あの子は。」
「あぁ! もうさいっこうに可愛いよ!!」
あの茶番のあと、俺たちは何事もなかったかのようにリビングの卓を仲良く囲んでお茶を飲みながら、和気あいあいと話をしていた。
「パトラッシュ? クソモグリ……? ブタザル? 兄者、何の話です?」
「あぁ、弟者。パトラッシュっていうのは、ちょっと前まで僕が飼っていた動物の事だよ。
ある日餌をあげたら懐いてしまってね、今はシーヴさんが飼っているんだ。」
「へぇ~。僕、動物大好きなので楽しみです。クソモグリブタザルのパトラッシュちゃんかぁ――早く会いたいなぁ~。」
「弟者もこういってますし、預かるのは別にいいですよ。」
よかった、動物好きな双子で助かったな。
事情を説明するとアスとナツは快く引き受けてくれた。
「それじゃあ準備はしておきますので、明日にでもこちらに連れてきてください。」
「あぁ、助かるよ。昼前には連れて来れると思う。サンキューなっ。」
「いえ、いいんです。その代わりお土産期待してますよ。」
「おうっ。もちろんだっ。」
とは言ったものの、ケズトロフィスって街ごと沈んだんだよな……。
近くに村はあるかもしれないけど、お土産なんて売ってるものかどうか……。
「あの――シーヴさん、明日はその……。ムフフ……。」
「あぁ。わかってるよ……。言わんでもわかる……。ファラな、ファラ……。」
「え、えぇ……。ムフフ……。」
うへっ気持ちわるっ!!!
今日一番の笑顔じゃねぇか。どんだけ変態なんだこの弟。
普段は無表情なのに、ファラの話になった途端デレデレの変態オヤジの顔になるのが本当に気持ち悪い。
まぁどのみち明日はそのままケズバロンに戻ろうとも思っていたし。
極力ファラと一緒に動いた方が楽か……。
「それじゃ、また明日……。」
「はい、またあした。」
「はいっ!! また!! あしたぁ!! ムッフフゥっ!!」
こいつも病院連れてくか。




