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リューク16

こんにちは。お久しぶりです。ちょっとずつ進められるといいなと思います。

「魔石って危険なんでしょ?」


 魔力は大量に持っていても、自分で使うことのできないエリザは、魔法のことは『愛の魔法使い』達と同等の知識しか持っていなかった。いや、実際に自分で使うことが出来ないから実感として魔法がどんなものかよくわかっていない。

 だから、魔石に関する知識といえば物語で出てくる曰く付きの『魔石の呪い』的なものしか想像することが出来ない。


「いや、魔石はつくるのを失敗すると危険だけど、便利だし、特に魔石自体に危険はないよ。僕ももっている」


 指に填めた赤い石がそれだという。


「綺麗ね――」


 エリザも女の子らしく宝石は気になるようだった。


「ああ、これは貰い物だけど、気に入ってるよ」

「これ、魔石だったのか・・・・・・」

「見た目は宝石と変わらないからね」


 宝石と思っていたので気付かなかったが、そう言われると、魔力の塊のような気がした。今までは、アイン本人の魔力だと思っていたので気付かなかった。


「ていうか、こんな宝石ぽいのは初めて見た」


 魔石といってもピンからキリまであって、リュークも見たことがないわけではないが、もう少し鈍い煌めきだったような気がした。


「何いってんの? エドがジャラジャラつけてるの、あれ全部魔石じゃないか」


 マントの下になっていてあまり皆は知らないが、国王陛下は沢山の宝石を身に着けていた。それが魔石だとは全く気付かなかった。


「あれが――? 全部?」


 宝石だとしても凄い価値があるが、それが魔石となるとそれだけで凄い財産だ。


「魔力が多いし、細かい作業が得意だから、エドは魔石を作るの得意だよ」

「ちなみに、エリザが身に着けている宝石もほとんど魔石だからね。エリザを護るための石なんだ」


 耳に填められた緑の石もそうなのだろう。


 エリザも気が付いたのか、耳にある石をそっと撫でた。


「うちの父親もね、よく母親に魔石をプレゼントしてたよ。身につけるものは特に、それ以外はつけてなかったんじゃないかな。だから、いつか僕も自分の魔石をつけてくれる人を見つけたいと思っているよ」


 あまり自分のことを話さないアインが珍しく話してくれたのは、父親がかなりやきもちやきで、自分の魔石以外を母親が身に着けるのを嫌がったとか、そんな魔石にまつわる話だった。


『ハルもね持ってたよ。どこいっちゃったんだろう?』


 ジッと話を聞いていたハルが、何かを探すような目をした。


「死んだ時に一緒に埋めたんじゃなかったか?」


 ハルは、元はハルレオンという人間だったという。


『ハル、探して来る』

「おい、待て――」

『アイン、通して――』

「駄目だ」

『いや、行かないと・・・・・・。あれ、大事なもの』


 立ち上がったアインが、手で制しているように見えるが、ハルの周りに結界を張ったのだとわかった。


「え、どうしたの?」


 いきなりの緊張した場面についていけないエリザがオロオロとアインとハルを交互に見ている。


 ハルが身動きが取れないままに首で払うような動作をした瞬間、突風が室内を旋回したような気がした。思わず、エリザを護るために抱きよせた。


 と、ゴン! と音がして背後で『きゅう・・・・・・』という鳴き声が聞こえた。


「・・・・・・陛下」

『エド・・・・・・』

「遅いよ、エド」


 国王陛下は、力のぬけたハルの首を掴んで立っていた。


 半端ない威圧感に、ゴクリと俺も唾を飲み込んだ。


「俺は、エリザの見舞いにきただけだ……。この馬鹿は何をしている?」

「ハルレオン様の魔石を探しに行くと」

「……あれは埋葬した。ハルレオンの遺体は、素材になるからな……」

「素材……」


 アインは、ハルレオン様が死んだ時のことも知っている。


「あれを静かに埋葬するために使った」

「お父様、リュークがお茶をいれてくれますから、こちらでお菓子をいただきましょう?」


 振られて、慌てて立ちあがる。


「エリザ?」

「だって、とても寂しそうな顔をしているから……」


 心が寒い時は、温かいものを飲んだり食べたりするのがいいんですってと、エリザが言った。その慈愛に満ちあふれた顔に、俺は再度エリザに剣を捧げたいと思った。


「あー、エリザ姫。リュークが君に惚れ直しているようだから、僕が紅茶をいれるね」


 アインの言葉に不意をつかれた。

 エリザ姫の上気した顔を見つめると、俺はやはり抗いがたい衝動に駆られる。


「騎士団のほうに行ってきます。しばらく休んでいたので……」


 わざとらしいのは、わかっている。陛下のため息に見送られて部屋を後にした。


「団長! どこに行ってたんですか。急に休み取るならそう言ってもらわないと……」

「悪いな、急用だったんだ」


 欠席扱いにされているのは、陛下の嫌がらせに違いない。


「書類も溜まってますよ」

「後でやるから、誰か相手をしてくれないか? 腕がなまってしまって」

「団長の相手が出来るのなんてアイン様くらいしかいませんよ」


 何だろう、このヤル気のない連中は。


「そんなことで、国を護ることが出来ると思っているのか!」


 俺の激高に部屋の中にいた連中は、直立した。


「でも団長、今日の訓練は……」

「訓練のち、街での親睦会とする」


 歓声を上げて、ヤル気をみなぎらせた連中をたきつけて、俺はポキポキと手首を鳴らした。


「しっかりその分相手をしてもらおうか……」


 俺の呟きが聞こえた不運なものと、この後の宴会をご褒美に頑張るものに別れた訓練の後、それでも行くのだとフラフラする男達をつれて街にでて、約束通り酒を驕ったのだった。人数は当初予定の三分の一というところだったが。



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