表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/114

第九十話 居候

彼らは今、沖縄の空港から飛行機に乗り帰っている途中である。

行きは龍斗の自家用機で移動をしたが今回は輸送機に乗っている。

そしてサトル達は今、落ち着きなく機内に待機している。

龍斗はそれを見て苦笑しながら説明を始めた。


「今俺達は帰っているが空港からサトルの家までかなりの距離がある。

それを短縮するために全員でパラシュート降下を行う。」


それを聞いて未経験のサトル達は暗い顔をした。

そこで、サトルの両親が優しく話しかける。


「大丈夫よサトル。落ちても即死でなければ大丈夫。」

「そうだぞ、俺達なんてパラシュート無しでも降りられるくらいだ。」


その微妙に慰めになっていない物言いを聞いてサトルは諦めた。


「分かったよ。パラシュート無しで突き落とされるよりはましだね。」


そして、全ての準備が整った時、機内放送がかかる。


「目的地上空へ到達しました。ハッチを開いてもいいですか?」


龍斗は壁の通信機のボタンを押して了解を示す。


「こちらは準備万端だ。いつでもやってくれ。」


そして後部ハッチが開いていく。

そこには見慣れた街が眼下に広がっており、目的地であるサトルの家が真下に見えた。


「さあ、早く下りないと通り過ぎてしまうぞ。」


そう言ってサトル達を後部ハッチから優しく押し出した。


押し出された者たちは重力に引かれて真下に落ちていく。


「わあああーーー。」

サトルは言わなかったが軽い高所恐怖症であるためこういう事が苦手だった。


そして一定高度を超えた時、自動でパラシュートが開きゆっくりと下りていく。

パラシュート降下が初めての者は補助装置が付いている物を使用しているため本人が操作しなくてもいい安全設計だ。

しかし、その横を猛スピードで降下していく影がある。

それは龍斗、美雪、エリザ、輝、栞の5人。

龍斗とエリザは地上100メートルほどでパラシュートを開きわずかな減速で地上に降り立つ。

美雪もパラシュートを開いたが減速が早い。おそれく魔法で上昇気流を作っているのだろう。

そしてなんと輝と栞はパラシュートを持っていない。

しかし地面に着地した時は「シュタッ」と軽やかな着地を見せる。

どうやら先ほどの輝の言葉は冗談ではなかったようだ。


着地したメンバーはこちらに手を振っている。

そして、普通に下りてきたメンバーは着地すると急いで集まった。


「それでは皆に帰還を知らせに行くか。」


そう言って一行は家へと入っていった。

家に入ると避難してきた人がこちらに視線を向ける。

そしてその中の一人。

黒田がこちらへと近づいてきた。


「お帰りなさい。その様子ならドワーフは無事に救出できたのですね。」

「ああ、それは大丈夫だ。そちらの状況はどうだ。」

「こちらも大丈夫です。多少のけが人は出ましたが重傷者は無し。怪我人もすでに回復済みです。」

「そうか、事前に会社に集まっていてよかったな。」

報告は聞いていたが直接確認したことで龍斗は肩の力を抜いた。

「そうですね。かなりの人数が襲撃してきましたから、もし各地で襲われたら対応しきれなかったでしょう。」

そう言って黒田は苦笑した。

「それで、怪我をしたのは誰だ?」


龍斗も今回は万全の態勢でなかったため心配は大きかったようで黒田に怪我人について問いかけた。


「バスが敵の車にぶつかられた時に数名。後は戦闘で紅蓮さんが負傷しました。」

「そうか。それで、紅蓮は何処だ?」


そう、ここに紅蓮はいない。

彼女の事だから一階で龍斗達の帰りを待っていると思っていたが彼女の姿は何処にもなかった。


「この家の3階にいます。それと・・・。」


黒田は言い難そうな顔をしえ龍斗を見た。


「どうした?」

「精霊の方がおられます。」

「分かった。サトル達を連れてすぐに行こう。」


龍斗と黒田がそう話していると上の階からアクアが下りてきた。


「お帰りなさいませ。無事な帰宅と依頼の達成おめでとうございます。

上で皆さまが待っております。どうぞこちらへ。」


アクアは帰ってきたサトル達を先導しようとする。

しかし、その言葉の一つが気にかかり龍斗はアクアに問いかけた。


「皆とは誰の事だ?」

「ウィンディーネ様、シルフ様、ノーム様、サラマンダー様です。」

「なぜ四大精霊が皆それっているのだ。」


四大精霊が揃っていると聞いて龍斗だけでなくその周りの者も驚愕する。


「それは上でお聞きください。」

「わかった。急いで向かおう。サトル、急ぐぞ。」


後ろで大人しく聞いていた悟もこの状況に困惑している。

彼らの常識からして彼女たちが顕現することはある意味、異常事態だからだ。

アクアに連れられ一行は三階に到着した。

そこは倉庫のはずだが内装が完全に変わっていた。

四つの部屋があり、それぞれに青、緑、黄色、赤の扉が付いている。

そして中央には菱形のフロアがあり、フロアの中央には机と椅子が置いてある。

そこには紅蓮と四大精霊の四人が人の姿で椅子に座りお茶を飲んでいた。


「待っていましたよ。」


最初にウィンディーネがサトル達に話しかけた。


「私たちの事は今は置いときましょう。」

「そうですね。まずはサラマンダーの用事を済ませましょう。」

そう言って三人はサラマンダーへと視線を向ける。

「それじゃ、僕から話すね。まずは依頼達成おめでとう。君たちのおかげで日本に制裁を加えずにすんだよ。」

サラマンダーは笑顔でこちらに話し掛けながら立ち上がる。

「そうね。もしそんな事になったら私泣いちゃうところだったわ。」

ウィンディーネはそう言いながら泣き真似をし始めた。

「君が泣くと、この星が海に沈んじゃうよ。」


それを聞いてサトルは冷や汗をかく。

サトルの頭の中では旧約聖書のノアの箱舟が水の上を漂う光景が浮かんでいた。


「それじゃまずは加護と祝福だね。加護はそこの金髪の娘と・・・」

そう言ってサラマンダーはホロ、サトル、クロ、イクスを指さした。


「その他の子は祝福だね。」


そう言って手をかざすと火の粉が降り注いだ。


「後は君にこの魔石を授けるよ。これは火竜の魔石だよ。」


そう言ってサラマンダーは魔石を取り出し彩へと渡した。


「それは大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だよ。どこかのグリフォンと違って聞き分けがいい子だし。それにまだ子供だからね。」


それを聞いてシルフは少しムッとした表情をするが真実なので何も言わない。


「シルフ達は言ってないけど、魔力の多く籠ったご飯をあげると少しずつ成長するから美味しいもの食べさえてあげて。」

「それは初めて聞きました。そうですね。必要な時以外寝てるのは可哀そうですね。」


「あとこの家にはもう一匹ヘルハウンドがいるらしいね。その子を眷属にするよ。

確認するから誰か呼んできてくれないかな?」


その時アクアが一歩前に出る。


「そう言われると思いまして、こちらに控えさせております。」


そう言うとアクアの横にサンが現れた。


「意思確認も問題ありません。」

「ありがとう。助かるよ。」


そう言うとサラマンダーはサンへと炎を飛ばす。

そえが触れた時、サンは光に包まれた。

そして、光が消えるとサンはすぐに姿を犬へと変える。


それを見て龍斗は黒田に指示を出し、先日入社した南 火巫女 (ミナミ ヒミコ)

を呼ぶように指示を出した。


それを聞いてサンとユエはソワソワし始めた。


名前に聞き覚えのないサトル達は龍斗に誰なのか聞いく。


「ああ、名前は知らなかったのか?お前がこの前紹介状を書いた女性だ。

かなり変わった天職を持っているからな。彼女のために今、新しい部署を検討中だ。」


話していると下から彼女が上がってきた。

彼女はすでに若返っており、あの時の面影が見て取れる。

サトルが予想したと通りかなりの美人だった。

そして、サンとユエはアクアの後ろで顔を隠して尻尾だけが見えている。


「呼ばれて上がってきたのですがどうかしましたか?」


しばらくして黒田に連れられ南が上がってくる。


「いや、君が会うべき者がここにいてね。サン、ユエ隠れてないでこっちにおいで。」


サトルが呼んでも二匹はアクアに隠れて顔を出さない。

しかし、アクアはジャンプして一気にその場を離れる。

そして、そこには彼女の見覚えのある犬が二匹蹲っていた。


それを見て彼女は固まりその姿を瞳に移し続ける。

そして、おもむろに膝をついてサンとユエに声をかけた。


「サン、ユエあなた達がここに残っていたのは知っているわ。

あなた達の温もりを感じたいの。こっちに来てくれる?」


それを聞いて恐る恐る二匹は彼女に近づいていく。

そして、二匹はそっと鼻先で彼女に触れた。

続いて頭を擦り付け顔を舐めた。

彼女も二匹を包み込むように抱きしめる。


「よかったわね。」


それだけ告げると彼女は微笑んだ。


それを見てノームとサラマンダーは何やら話をしている。

そしてその話が終わったのか二人は彼女たちへと歩み寄った。


「ユエ、サン、この屋敷は私たち四人の加護で強固な守りを得ました。これからはあなた達の守りは必要ないでしょう。」

「そこで僕達は話し合って君たちを彼女が死ぬまで預けることにした。」


それを聞いて南は驚いて聞き返した。


「いいの?」

「ああ、いいよ。それと君には特別に僕とノームから加護をあげる。

でも、後日試練は必ず受けてもらう。しっかり鍛えて早く資格を手に入れてね。」


そう言うとサトル達に向き直り話し始めた。


「僕からの報酬はこれで終わりだね。それじゃ、この状況の説明をしようかな。」


そう言ってサラマンダーは椅子に座ってお茶に口を付ける。


「僕はともかく、そこの三人はこちらの世界に欲しい物があってね。」


そう言うとサラマンダーは3人を見た。


「私はアニメを見るため。」

「私は美味しい食事。」

「私は素晴らしいフィギュアのため。」


それぞれ三人は自分の望みを口にした。


「それに僕も協力したってことかな。

それで力を合わせてこの家の敷地に四人で加護を与えて特別な空間を作り上げた。

この中でなら僕たちは自由に顕現できる。

ちなみに今の体は仮初の肉体を作ってそれに入ってるんだ。

勝手にここを使わせてもらって悪いとは思ってるよ。

だからこれは借りと言う事で、こんど何か協力する。」


そう言って彼女は説明を終えた。


「家を使ってもらうのは構わないですよ。ただ喧嘩とかして家を壊さないでくださいね。」

「それは大丈夫。そうなっても壊れないように強化してるから。」


それを聞いてサトルは冷や汗をかく。


(巻き込まれたら死ぬな。)


「それじゃ、これから同居人と言う事でよろしくお願いします。」


そして今日二匹が家を離れ4人精霊が居候となった。

読んでいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ