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第八十七話 ドラゴン討伐

ブレスが収まると同時にサトルは膝をついた。

盾と剣でブレスを防いだがブレスの余波で下半身を中心にボロボロになっている。

それを見てエリザはローリーに指示を出した。


「ローリー、サトルを回復させて。」

「分かった。・・・ミドルヒール。」


回復魔法によりサトルの傷は回復し立ち上がる。

そしてサトルはドラゴンを睨みつけた。

ドラゴンは空腹のため目が血走りこちらを真直ぐにらみ返す。


サトルはそのまま後ろへと確認の言葉をかける。


「みんな、大丈夫か?戦えない者は言ってくれ。」


エリザがサトルの代わりに周りを見回し状態を確認し答える。


「あなたのおかげでみんな無事よ。いつでも戦闘に入れるわ。」

「分かった。エリザはドラゴン戦の経験はあるか?」

「あるけど私の攻撃だとドラゴンの鱗を貫けないわ。」


その時サトルに声をかける者がいた。


「ドラゴンなら俺に任せろ。」


そう言ったのは助っ人として今回参加している寅だった。


「サトル、ドラゴンは討伐から調理まで得意分野だ。」

それを聞いてサトルは即座に判断をくだす。

「それでは指示をお願いします。」

「わかった。任せろ」

「全員広がれ。固まるとブレスの餌食になるぞ。」


その指示により全員散開する。


「サトル、スノー正面で盾役を頼みたいがサトルは予備の盾はあるか?」

「はい、大丈夫です。」

「それなら二人で正面を頼む。」

「でもそれだと攻撃が通らないのではないですか?」

「そこは俺が今から対処する。心配するな。」


そう言って寅は腰から下げている複数のナイフから出刃包丁のようなものを取り出した。


そして側面からドラゴンへと近づいて腕の鱗の隙間にナイフを入れた。


「スキル{鱗剥ぎ}」


すると包丁は何の抵抗もなく鱗だけをはぎ取った。

鱗は剥げたが下の肉体には全くダメージがない。

そして寅は一撃を入れるといったん距離を取る。


「これは料理人のスキルの一つだ。うろこは綺麗にはげるがそれ以外のダメージはない。

しかし、この程度のドラゴンなら鱗さえなければただの蜥蜴だ。」


そう言って寅はイクスに指示を出した。

「イクス、あの鱗のない部分を攻撃しろ。攻撃が通じるはずだ。」


そう言われイクスはあえてスキルを使わず、槍で鱗のない部分を突いた。

すると槍は弾かれることなくドラゴンの肉体に突き刺さる。


「ギャヤアアアーーー。」

ドラゴンはいきなりの痛みに叫び声を上げた。


「みんな、攻撃が通じるよ。今のは通常攻撃だけど槍が刺さった。」


それを聞いて再度寅は指示を出した。

「みんな、無理のない範囲で相手の気を散らしてくれ。その間に俺は鱗を剥いで行く。それまでは攻撃力の高い攻撃は控えてくれ。」


そう言うと寅は再度ドラゴンへ突撃していった。

その間にもサトルとスノーはドラゴンの注意を自分たちに引き付ける。

ドラゴンは目の前の人間と言う餌に夢中で他が目に入っていないようだ。


ドラゴンは腕を振り上げ爪による攻撃を加える。

それをサトルは盾と剣で逸らしていく。

しかし盾はその攻撃に耐えきれずもはやボロボロだ。

剣は強化できるが盾は強化できない。

そして体にも既に大小のダメージを受けていた。

傷はローリーが定期的に回復させている。

ブレスが来ない限りは、まだしばらくは耐えられるだろう。


スノーも同じように盾と剣で攻撃を逸らし続けている。

スノーの武器と防具は魔力で出来ているため定期的に修復している。

今は相手が大きいので盾は大盾に変えて防御面積を増やしている。

そのためサトルよりはダメージは少ないが魔力の消費は多い。


寅はサトルとスノーに囮を任せて鱗を剥いで行く。

最初は腕の鱗を剥いだ。

次は首、その次は腹と言うように、致命傷を狙える場所を重点的に剥いで行く。

次第に鱗の面積が減っていきその下の体が見え始める。

どうやらこのスキルで鱗を剥ぐと痛みがないようだ。

ドラゴンは自分の生命線が削られている事に気づかず囮に夢中になっている。

そして急所の鱗が全て剥ぎ終わった時。

寅は合図を出した。


「全員、攻撃開始だ。」


それを聞いて周りに散開していたメンバーは攻撃を仕掛けた。

イクスは先ほどと違いスキル{貫通}を発動して突き刺す。


「ぐあああーー。」


イクスの槍は腹に半ばまで突き刺さり相手の臓器に大きなダメージを与える。

クロは{浸透}で同じく腹を殴る。

その衝撃は深い所まで届きドラゴンは息を詰まらせた。

彩とエリザは獲物のリーチが短いが、二人とも武器に魔力を込め攻撃力を高める。

彩はスピードに任せ右前足を何度も切り刻む。

エリザは回るように踊り、遠心力を利用して左前足を切り刻んだ。

ホロは右側から魔法で1メートル程の石の槍を作り出す。

それを風の魔法で加速させて飛ばしドラゴンの首に突き刺した。

更に左からはリーンが同じく、首に剣を突き刺す。


そして、囮として攻撃をしのいでいたサトルとスノーも畳みかける。

ダメージにより左右に意思が向きスノーから視線がそれる。

そして前足への攻撃により頭が低い所まで下りてきていた。

スノーは剣を突きの構えに構えドラゴンの眼球を一気に突き刺した。


「ぎゃあああああーーー」


更なる激痛にドラゴンは堪らず上を向いて吠える。

そして、サトルは眼前に晒された喉元へとスキルと魔力で強化した攻撃を左から切り上げた。

その攻撃により首が半分まで切られる。


そしてその時、寅が叫んだ。


「全員離れろ」


その声を聞いて一斉に後方へと離れて距離をとった。


するとサトルが切った傷が激しく光り始める。

そして、そこを中心にしてドラゴンは爆発を起こした。

巻き上がる大量の土煙。

そして煙が晴れた後を見ると、ドラゴンがいた場所はクレーターが出来ており、そしてそれ以外の物は何も残ってはいない。


「寅さん、これはいったい。」

「ドラゴンは喉に魔力袋と言う器官を持っている奴がいる。

奴等はその器官を使い魔力をため、最初に受けたよな強力なブレスを吐き出す。

まあ、これからドラゴンと戦う事もあるかもしれんから覚えておくといい。

それと、あのドラゴンの強さは下級の下級だ。本物はこの比じゃないから気を付けろよ。」

「分かりました。今回は助かりましたよ。」

「まあ、それはいい。それよりも攫われた女性の救助と船の接舷の合図を送ろう。」

「そうですね。クロ、スノーと一緒に船への合図を頼む。」


その指示を受けてクロとスノーは船着き場へ向かう



「他のメンバーで女性の救助に向かおう。

彩さん、舞さん、エリザ、三人で女性に話しかけてください。男性陣は外で待機しよう。」


その他のメンバーは女性を救助しに向かった。


その建物は明かりがついておらず中は真っ暗だった。

サトルはライトを取り出し彩へとわたす。

彩はライトを受け取り中を照らした。

建物はコンクリート造りだが大きくはなく部屋は一つ。

探していた女性はすぐに見つけることが出来た。

中は冷たい床がむき出しで窓には鉄格子がはめられている。

まさに牢屋のような建物だ。

そして、中にはベットが5つ置いてある。

そこに女性が両手両足をベットに拘束されて気を失っていた。

中は酷い匂いがしており何をされたかは簡単に想像がついた。

彩は彼女に近づき魔力を込めた短剣で拘束を解いていく。

そして呼吸を確認する。


「3人とも生きています。すぐに救助して船に運びましょう。」


彩がそう言うと一人の女性が目を覚ました。


彼女は目を見開いて恐怖を顔に張り付ける。

そしてこちらに叫んだ。


「もうやめて、家に帰して。」


そして拘束が解けている事に気づくとベットから飛び降りて部屋の隅へと逃げた。

その姿を見て彩が優しく話しかけた。


「大丈夫よ。私たちは日本政府の依頼であなたを救助しに来たの。ホロ魔法で部屋を照らして。」


それを聞いてホロは天井近くに火の玉を浮かべて部屋を照らす。

すると彩達の姿が明確に見えたのか、女性は少し落ち着いてこちらへと問いかけてきた。


「家に帰れるの?」

「ええ、今港に船が来てるから一緒に帰りましょ。」

「かえれる・・・、う、うううんんああああーーー。」


それを聞いて彼女は泣き出した。

それを聞いて残りの二人も起き出す。

2人も最初は顔を恐怖に染めた。

しかし、泣いていた女性が泣きながら説明をしてくれた。

3人はしばらく共に泣いていたが落ち着くとすぐに行動を起こし建物から出ていく。

彼女たちは毛布にくるまり迎えの船へと乗船していった。


サトル達は今、警戒しながら船付き場で龍斗たちを待っている。

先ほど鳴った警報からして穏便には脱出しては来れないだろう。

その時、寅はみんなに向け話しかけた。


「龍斗さんたちは大丈夫だ。彼らは強いからな。

それに精霊が大人しいのを見るとドワーフも無事なのだろう。

それと念のために敵がいた建物を、少し確認しておかないか。」


そう寅は提案をした。


「たしかにあの秘薬が残っていれば手に入れておきたいですね。

龍斗さんに渡せば何処かで調べてくれるかもしれません。」


そう言ってサトルはエリザ、寅、舞を連れて建物に入る。


そこも先ほどと同じく簡素な部屋だった。

部屋は一つのみ。

中には簡単な寝具と椅子、机が置いてある。

そして部屋の隅には箱がいくつかあるだけだ。


サトル達はまず机の引き出しを開ける。

そこには無線機が入っていた。

おそらく屋敷との連絡用だろう。


そして、4人は寝具の下を見たり、椅子をひっくり返したりして確認したのち箱へと向かった。

箱はすでに開けられた後のようだ。

サトル達はふたを開けて中を確認する。

そこには、先ほどの敵が飲んだ秘薬と同じものと思われる薬瓶が5本入っていた。


「これは先ほど敵が飲んだ秘薬でしょうか」

そう言ってサトルは薬瓶を手に取る。

「それは分からんが一応持っていこう。」

「そうね。鑑定すればわかるかも。」

「それに、違っても調べてみる価値はあるかもしれません。」


サトルは慎重に薬瓶をアイテムボックスに入れた。

そして、船が待つ港へと戻る。

戻るとサトルは待機していたメンバーに先ほどの薬瓶を見せた。


「調べたらこの薬瓶があった。さっきは暗かったから確証がないけど、多分あの秘薬だともう。」

「それなら少し鑑定してみましょうか?」

そう言ってホロはサトルへと近寄る。

「ホロは鑑定を持ってたのか?」

「はい。使ったことはないですが。」

「そうか、なら試して貰ってもいいかな。」


そう言ってサトルはホロに薬瓶を渡す。

ホロはそれを受け取ると魔力を使いスキルを発動した。


するとホロの頭の中にまず名前が出てきた。


(アイテム名:龍の秘薬)


更に魔力を込めると材料が一つ表示される。


(材料1:龍の血)


そこでホロは鑑定をやめた。

今はまだ安全とは言えないため魔力の消費を抑えるためだ。


「分かりました。これは龍の秘薬と言うアイテムで材料に龍の血が使われています。

今はそこで鑑定をやめました。」


それを聞いてサトルはホロの頭をなでて礼を言った。


「ありがとう。助かったよ。」

「いえ、サトルさんが喜んでくれるなら私も嬉しいです。」


そう言ってサトルはホロから龍の秘薬を受け取りアイテムボックスにしまった。

そしてしばらくするとサトル達のもとへ龍斗たちがドワーフを連れて戻って来たのであった。


読んでいただきありがとうございます。

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