第八十話 ノームの試練
サトル達は今ダンジョンに向かっている。
二日前はイベントに巻き込まれるというアクシデントが起きた。
理由が獣人のイメージアップだったため協力したが、さすがに精霊ノームを長く待たせるのも悪いだろうと今日は急いでダンジョンに向かう。
イベントでのガス抜きが効いたのか、こちらへの視線は多いが呼び止める者はいなかった。
そして、サトル達はダンジョンの受付へと声をかけた。
しかし、そこで一行は驚愕する。
そこには猫耳・猫尻尾でメイド服を着た受付が立っていた。
サトル達はそれを見てまた龍斗の仕込みかと警戒し周りを見回す。
そして受付嬢は普段通り話しかけた。
「ようこそ、秋葉原ダンジョンへ。
こちらの用紙へ記入をお願いしますニャン。」
それを聞いてサトルはこれがこの受付の仕様であると気づいた。
よく見ればその耳も尻尾もコスプレ衣装の一部のようだ。
「みんな、これがここの仕様のようだね。早く書いてダンジョンに入ろう。」
それを聞いた後ろのメンバーもそれに気づいたようで用紙を記入し受付を済ませる。
「それではこのダンジョンの説明は必要ですかニャン?」
受付はかわいい笑顔を作り首をかしげながら問いかけた。
「初めてなのでお願いします。」
「承りましたニャ。
ここは先ほども言っと通り、名前は秋葉原ダンジョン。
神殿型で最大階層は10階層ですニャン。
そしてここのモンスターは基本ゴーレムですニャン。
大きくて硬くて倒すのが大変ですニャン。
でも鉱物資源をドロップするので企業戦士の方には人気がありますニャン。
皆様武器は大丈夫ですかニャン?」
説明を言い切ると受付嬢はサトル達の武器に目を向け確認をする。
ここでは剣よりもハンマーや斧系の武器が主流だからだ。
ちなみに普通の人は天職など持っていないため魔力がない。
サトル達のように魔力を込めれる武器は珍しいのだ。
「それは大丈夫です。」
「分かりましたにゃ。それでは説明を終わりますが何かほかに聞きたいことはありますかニャ?」
「いいえ大丈夫です。ありがとうございました。」
「それでは、行ってらっしゃいませニャ。」
受付は片手を振りながら見送ってくれた。
そしてサトルたちはその受付を離れ「門」へ向かう。
しかしそこで受付嬢はある事に気づいた。
獣人組の耳と尻尾が動いていることに。
「にゃにゃ~~~~もしかしてあなた達は本物ですかにゃ?」
その質問に振り向いたスノーが答える。
「ええ、私たちは獣人ですよ。」
スノーはそう言って
耳をピコピコ、尻尾をフリフリ
して見せた。
それを見た受付嬢は何処からともなく持ち出したカメラ片手に受付を華麗に飛び越え迫ってきた。
「私昨日もここで受付しててイベントに行けなかったニャー。だから記念写真を一枚だけお願いするにゃ。」
それを聞いてスノーは周りを見渡す。
皆、彼女が親切にダンジョンの説明をしてくれたことから反対意見はないようだ。
そして全員での記念撮影となった。
彼女を中心に獣人たちで固め、その周りをサトルなどの人間が固めた。
ちなみにこのメンバーでの記念撮影は初である。
ある意味プレミア物の写真がここに誕生した。
そして、一行は再度気分を引き締めて「門」を潜っていった。
入って最初に目に入ったのは10階建ての塔。
1階層が一番広く、上に行くほど細くなっている。
しかしその大きさは巨大の一言に尽きる。
そしてサトルたちは塔へと入っていった。
塔のサイズもだが中の通路も広い。
幅は軽く50メートルはあり高さも10メートルはありそうだ。
サトル達は小人になったような気分を味わいながら前進を始めた。
すると前方からマネキンのようなものが歩いてくる。
それを見て彩は解説してくれた。
「あれはパペットマンですね。種類は泥で出来た人形のようです。他のダンジョンだと木の人形も確認されています。強さはゴブリンとコボルトの中間位でしょうか。」
「それなら心配いりませんね。」
サトルはそう言って攻撃を仕掛ける。
パペットマンは近づくまでに泥球を投げて目つぶしを仕掛けてきたり、不思議な動き(踊り?)をしてきたが一撃で倒すことが出来た。
やはり今のレベルだろ1階層は余裕なようだ。
一行は手に入れておいた地図を片手にどんどん進んで行き5階層の階層ボスの部屋の前まで進んだ。
そこには扉があり文字が書かれていた。
【勇気ある挑戦者よ我は最上階にて待つ。
試練を潜り抜け我にその力を示せ。】
どうやらノームは親切に試練開始の扉を作ってくれていたようだ。
そして一行は扉を開け先へと進んだ。
しかしそこには階層ボスの姿はなく通常のダンジョンが続いていた。
それを見てエリザが答える。
「通常はここは試練1階層だからね。おそらくボスは9階層よ。」
エリザの意見に納得した一行は通路を進んで行くことにした。
すると前方から赤く目を光らせながら大きな足音が近づいてくる。
それは5メートルはある石のゴーレム。
その姿はまさにファー〇トガ〇ダムその物。
しかしそれを見て分かるのはどうやらサトルだけだったらしい。
他のメンバーの反応は
イクス「なんだあの強そうなゴーレムは」
彩「さすがノームの試練、素晴らしい造形美だわ」
舞「そうねあの姿からはどんな攻撃もはじき返すイメージが伝わるわ」
エリザ「王宮の前に一体ほしいわね。」
ローリー「美味しくなさそう。」
といった反応となっている。
サトルは頭を抱え密かに心の中で叫ぶ。
(肩のサーベルは一本ではなく二本だ。)
そしてサトルたちは攻撃を始めた。
サトルはまず剣に魔力を込めてゴーレムの足を攻撃する。
剣はゴーレムの足の中ほどまで削ることが出来たが切り取までは至っていない。
そして、そこをホロの風の刃がさらに切り裂いて相手の足を切断し片足を奪った。
その効果を見てホロ自身が困惑する。
それほど力を入れたわけではないのにゴーレムの足を切断したからだ。
その様子を見てエリザが説明をホロに始めた。
「いいホロ、魔法には相性があるの。火は水に、水は土に、土は風に、風は火に弱いのよ。
そして土の属性は風に弱いから今の何でもない一撃が大ダメージになったのね。
それにあなたはシルフから加護を貰っているから風属性の魔法の威力が上がっているの。」
「そうでしたか。試しに撃ってみたのですが、これなら少しは楽になりそうですね。」
ホロはその説明に納得してゴーレムの足を見た。
「そうね、その事も考慮してウィンディーネが試練の順番を決めてくれたのね。」
「ただのオタクじゃなかったのですね。」
ホロはサラッと毒を吐いた。
「え、ええ。ああなる前は立派な精霊だったのよ。」
それを聞いて返す言葉もないが、エリザはウィンディーネを少しだけ庇った。
そうして話している間にサトルたちは倒れたゴーレムに止めを刺す。
ここのゴーレムは核があるようだ。
スケルトンなどと同じようにそこを破壊すれば倒す事が出来た。
どうやら赤く光っていた目が核だったらしい。
一体を倒して先へと進む。
まだ試練は始まったばかりだ。次はどんな敵が出てくるかわからない。
そして一行は次のガ〇ダム・・・もとい、ゴーレムを発見する。
今度は格闘タイプなのか体の関節部が複雑に作りこまれている。
そして核は右腕のようだ。
今にも---フィンガーとこちらを掴んできそうである。
しかしサトルの思いは儚い結果に終わる。
ゴーレムは必殺技の様に赤い手で、そう核で攻撃を仕掛けてきた。
「弱点で攻撃とはこいつは何を考えているんだ。」
その結果、それを好機と見たクロの拳に粉砕され消えていく。
かなり精巧なつくりだっただけに虚しさが半端なかった。
そして一行の前に次のゴーレムが現れた。
その姿は背中にキャノンを背負い、今にもマイクロウェーブを受けて強力な一撃を放ちそうだ。
しかしここは室内。
月は出ていない。
そうなれば普通のゴーレム。
「ここは私が行きます」
今度は彩が先頭となり突撃していく。
それを見たゴーレムは彩を踏みつぶそうとした。
しかし、彩はその足を直前で躱し、背後に回り込むと背中を登っていく。
その間にサトルたちは囮として足元でゴーレムに攻撃を加え続ける。
そして頭部に到着した彩は魔力で強化した斬撃を核に放ち止めを刺した。
そしてサトル達はガ〇ダムゴーレムを倒し、次の階層の扉へと到達した。
そこにはこう書かれていた。
【苦労して作ったプラモをよくも壊してくれたな。
次はもっと恐ろしい試練を用意してやる。】
サトルはそれを見て固まっている。
何はともあれ一行は試練2階層へと進んだ。
そしてしばらく進むとそいつは現れた。
それは〇ヴァ量産型。
先ほどの階層では一体ずつの遭遇だったが今度は12体で現れた。
しかも、今回の相手は翼が生えている。
今にも羽ばたいて襲ってきそうだ。
しかし先ほどの様なサイズはなくどれも2メートルくらいと小さい。
(もしかして量産機だけにコスト削減を狙ったのか。)
そして戦闘を始めたがゴーレムは飛ぶことなく走って襲ってきた。
どうやら背中の翼は飾りのようだ。
しかしこのゴーレムはすべて二股の槍で武装している。
先ほどのゴーレムに比べれば厄介だろう。
サトルはまず相手の槍を盾で受け攻撃力を確認した。
(A〇フィールド)
サトルは心の中でそう叫びながら防いだ。
しかし、相手の槍はただの石の槍だったようだ。
盾は貫かれず余裕をもって穂先を盾で逸らすことが出来た。
サトルは槍を逸らすと同時に剣に魔力を込めて袈裟切りにした。
防御力は先ほどのゴーレムと大差ないようで一撃で相手を切り捨てる。
そして核である赤い目を突き刺して止めを刺した。
他のメンバーもまだ戦闘に余裕がある
舞は遠距離から核を打ち抜き。
クロは浸透を使い拳で相手を砕いている。
彩は投げナイフで核を貫き。
イクスも貫通を使用して槍でゴーレムたちを貫いて倒している。
今のままなら問題はなさそうだ。
そしてサトル達が進んでいると次の階層へ続く扉が現れた。
そして先の二つの扉の様に文字が書かれている。
【奴等は所詮量産型の試作、
完成型に恐怖しガ〇ダム達を壊したことを悔いるがいい。】
サトルはそれを読んで思った。
(なら一階層に置いとくなよ。)
そしてサトルたちは3階層に進む。
そこには先ほどのデジャブを思わせる光景が広がっていた。
同じく量産型が並んでいたのだ。
しかし先ほどの扉の文字からしたら何か違いがあるはずである。
サトルは相手の動きを確認し慎重に対応することにした。
するとゴーレムたちは動き出す。
口の部分が割れ歯列が並んだ口を開けた。
そして翼を羽ばたかせて飛び立ったのだ。
「これが完成型」
ゴーレム達はサトル達の上空を円を描いて飛んでいる。
しかしそこで無慈悲な攻撃が放たれた。
それはホロの風魔法。
弱点属性なうえ加護によるパワーアップでゴーレムたちはことごとく翼を破壊され地に落ちる。
ほとんどの者はそれで核が破壊されチリとなった。
残ったゴーレムも半壊状態なため止めを刺すのに苦労はしない。
そしてサトルたちは何もなかったという装いで次の扉を目指した。
そして扉を発見する。
扉にはまた文字が書かれている。
【ふ、奴らは完成型といえども所詮は量産型
主役級の力を思い知れ。】
そして次の階層に一行は進んで行く残り2階層何が出てくるのやら。
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