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第七十七話 試練の前の一幕

次の日の朝サトルたちは龍斗のもとを訪れて報告をしていた。

「そうかシルフはそんな事になっていたのか。

これも時代の流れか・・・・。」


龍斗は少し寂しそうに言った。


(まあ、彼女が食いしん坊キャラになっただけだけど。)


「まあいい、それで次はどこに行くんだ。」

龍斗は気を取り直して次の予定を確認する。

「はい、アクアと風子の話では次は東京の秋葉原だそうです。」

サトルは普通に報告しているが内心では嫌な予感に溢れていた。

何せ次の目的地がオタクの聖地、秋葉原だからだ。

「・・・・そうか、頑張れよ。飛行機はこちらで手配しよう。」

龍斗もそれに気付いたようで軽く苦笑する。

しかし、それもすぐに消えて笑顔でサトルへ告げる。

「自家用機だから今日から飛べるぞ。」


「それでは今日中に移動したいと思います。」

「分かった。今日の昼までにこのカードを持って空港に行ってくれ。」


そう言って龍斗はリンダに準備を任せ、カードをサトルに渡した。


「そう言えばお前たちがダンジョンに入っている時間帯に日本全土を巻き込む異常気象が発生したが何か知っているか?」

龍斗の目が一瞬鋭くなる。

サトルはそれを知り額に汗が浮かぶ。


「実は最初に用意した食事をホロ達が食べ尽くしてしまって。

それを見たシルフが絶望して日本をなくそうとしたみたいです。

恐らくその時の現象ではないかと。」

サトルは素直に真実を報告した。

「・・・やはり、4大精霊の対応は気をつけんといかんな。」

通常、試練ではそう問題は起きないため龍斗は今後の試練を思い肩をすくめる。


「まあ、そのうちの2つはお前たちが死ぬまでは大丈夫だろう。

世界のために頑張ってくれ。」


そう言って龍斗の話は終わりサトルたちは出発していった。

今回はアクアが家に残り風子が付いて来ている。

どうやら次の案内役は風子のようだ。


そして空港に到着した一行は飛行機に乗り出発した。


しかし、そこで問題が起きた。

それは獣人組。

前回は船でホロとイクスを除く全員が初体験で震え上がった。

しかし今回はホロもイクスも震え上がりサトルにしがみついている。

大丈夫なのはエリザの愛犬ローリーのみ。

ローリーはエリザと共に色々な所を訪れているため飛行機も経験済みのようだ。

気楽にエリザの横でお菓子を食べている。


そしてその他の獣人組は・・・


「サトルさん、これは魔法ですか?空を鉄の塊が飛んでいます。」

「サトルさん、地面が遠いよ。俺たちは天に連れ去られるのか・・・。」

「あ、主は私がお守りします。絶対離れないでください。」

「スノー、俺も守るぞ・・・。」

{リーンは犬の姿でガクガクブルブル}


その時飛行機が揺れた。

「きゃーーー」

「わあああーーー」

「あるじー」

(バタン)クロは気絶した。

(キューン)


そしてサトルたちは苦労しながらも東京にたどり着いた。

ローリー以外の獣人組はげっそりしている。


(((帰りは地上で帰ろう)))

(((((もう飛行機には乗らない)))))


そして一行は龍斗が手配してくれたホテルに向かう。

そこは高級ホテルの最上階。景色がよく夜になれば美しい夜景が見れるだろう。


「サトルさんこれからどうしますか?」

「そうだね。少しみんなで出かけようか。観光する時間はないけどそこの5人がまだ回復してなさそうだから。」


そこで風子がサトルに話しかけた。


「私はシルフ様の命で少し別行動をとらせていただきます。夕飯までには必ず戻りますのでよろしいでしょうか?」

「ああ、いいよ。気を付けてね。」

「はい、それでは行ってまいります。」


そう言って風子は出ていった。


「それじゃ、行きましょうか」


そして一行はホテルから出て街中を歩きだした。

しばらく歩くと海が見えて来たので彼らは海沿いを歩いている。

人はまばらで気持ちのいい風が吹いてくる。


彩は歩きながらサトルに話しかけた。


「いい散歩コースですね。」

「そうだね。」


すると前方に犬を連れて立ち話をする奥様達がいた。

サトルはホロとイクスをエリザはローリーを犬の姿にして近づく。


「こんにちは、かわいいワンちゃんたちですね。」

「ええ、ありがと。あなた達の子も素敵よ。」

互いに笑顔で褒めあい挨拶を交わす。

「ありがとうございます。今日は観光できてまして。この辺りは初めてなもので。」

「そうなの。ここは今の時間から散歩する子が増えるから、いい子は大歓迎よ。」

「はい。」


サトルが話して交流をしている間にもホロ達は犬同士の交流を行っている。

匂いをクンクンしながら挨拶を交わす。


そしてしばらく話して別れ、また一行は歩き出した。


「日本の飼い主もいい人が多いみたいね。」

サトルの横でエリザは笑顔で話しかける。

「そうですね。全員と言えない所が少し寂しいですが。」

サトルもそれに返すが笑顔が少し寂しそうだ。

「そうね。その点ドイツはかなり進んでいるわね。」

「そうですね。あそこは国で取り組んでますから違いますね。」


そうして歩いていると今度はチャラい男が3人歩いてきた。


「お、かわいい子たち発見。」


そう言って近づいてくる3人。


「どう、これからご飯でも食べに行かない。」


サトルとクロを無視して女性陣に話しかける。


「結構です。私たちは相手がいますから。」


そう言ってサトルとクロを見る。

すると男たちは見た目が怖いクロにはいかずサトルに詰め寄った。


「おい、この子たちは俺たちと食事に行くことになった。お前は帰れ。」


そう言ってサトルを3人で囲みガンをつける。

それを聞いてサトルは顔の表情を消して言葉を交わす。


「黙れ、今愛犬と散歩中だ。楽しい時間を邪魔するな。」


サトルは本気で切れかけている。

楽しい至福の時間を邪魔されているからだ。

しかも、今は県外の犬友を増やすチャンス。

サトルは本気の殺気を3人に向けた。

さらに他のメンバーも殺気を放ちスノーとクロは犬の姿になって威嚇した。

その体格から放たれる威嚇は特に3人を震え上がらせた。

3人は顔を恐怖に染めて走って逃げていく。

しかしその方向がよくない。

そこは先ほどの奥様達の方向だった。

3人は彼女たちにぶつかりいちゃもんをつける。


「何しやがるてめーら。道の真ん中で突っ立ってるんじゃねえ。」

「なんだこいつら。」


そう言って男の一人は近くの犬を払いのけた。

その犬は3メートルほど飛ばされ立ち上がる。

だが足を痛めたのか、またすぐに座り込んだ。


それを見たサトルが全速で男につかみかかり片手で宙吊りにする。

それを見た他の二人は固まった。


「お前ら人にぶつかったら言う事があるだろう。」

サトルは目を細めて言い放つ。

「お前には関係ないだろう。」

宙吊りの男は拘束を解こうと自分を拘束する手を掴みながら叫んだ。

「この人たちは俺の犬友だ。それに貴様らはお前たちを心配して近寄った犬を傷つけた。」

その声には強い怒気が含まれる。

「何言ってんだこいつ。」


そしてサトルは腕に力を込めていく。

他の二人は仲間を助けようと攻撃するがサトルは微動だにしない。


「言う事は?」

「す、すまなかった。」

「お前たちは?」

「すまなかった、もうしないから許してくれ。」

「俺もすまなかった。」

男たちは叶わないと知ると彼女たちへ謝罪した。

「そうか。それなら今日は帰れ。次こんな事してるの見たら骨を何本かいただくぞ。」


そう言って男を開放した。

3人組は今度は周りを気にしながら帰っていく。


そして周りを見れば倒れてけがをした奥様達。

そして傷ついた愛犬たちがいた。

サトルはホロを呼んで治療をお願いする。


「ホロ、彼女たちと犬たちの治療を頼む。」


その言葉でホロは獣人の姿になり{エリアヒール}を使った。


「貴方獣人だったの?」

奥様の一人は倒れたままホロを見上げ問いかける。

「ええ、私はサトルさんの愛犬で獣人のホロです。」

ホロは誇らしげに胸を張りその質問に答えた。

「そうなの。テレビでは見た事あるけど実物は初めてね。この光は魔法?」

「ええ、回復魔法です。」

「それならこの子も治るかしら。」


そう言って彼女は先ほど怪我した愛犬を抱いている。


「大丈夫ですよ。もしもの時はあの子がさらに強力な回復魔法をかけてくれます。」


そう言ってローリーを見る。

そしてローリーも獣人の姿になって近づいてきた。


そして先ほど払いのけられた犬にはローリーが念のために魔法をかける。


「{ハイヒール}これで大丈夫。」


するとその犬は立ち上がり飼い主のもとへ走っていく。


「ありがと、助かったわ。それにしても獣人って凄いのね。」

奥様達は笑顔でホロやローリーを見て感想を口にした。

「ええ、私たちの自慢の仲間よ。それにこれから獣人は少しづつ増えるけど悪い子はいないから優しくしてあげてね。」


エリザはそう言ってローリーの頭をなでた。


一行は日が傾いてきたのを見てホテルへ帰ることを決めた。

トラブルはあったがいい酔い覚ましになったようで獣人組も顔色がよくなっている。


ホテルに帰るとフロント前に風子が待っていた。


「お待ちしておりました。お食事の準備が出来ております。」


そう言って風子は俺たちを先導して個室へと案内してくれた。


「こちらへどうぞ。」


部屋の中には丸いテーブルがありその上にはディナーの準備がされていた。


「これは本格的だな。マナーとかどうしようか。」

サトルは本格的なディナーの準備されたテーブルを見て肩をすくめ困った顔を周りに向けた。

「他に人はいないのだから気楽にいけばいいのよ。私たち王族だっていつも堅苦しいマナーを守っているわけじゃないわ。」

それを見て苦笑しながらエリザは助け舟を出した。

「それなら気楽に食べましょうか。」

サトルはその言葉に肩が少し軽くなったのを感じ席へと向かう。

そして全員席につき食事を始めた。

風子はメイドの格好をしているが身内みたいなものなので一緒に食事をしている。

それに、この状態で待たせてはシルフがどんな行動に出るか分からない。


「そう言えば、風子は今日どこに行ってたの?」


舞は気になったため風子に聞いてみることにした。


「今日空港で美味しそうなお土産物がたくさんありましたので、シルフ様が食べてみたいとおっしゃいました。それで目ぼしい物を買ってまいりました。」

風子は喋りながらも上手に食事を進める手を止めない。

「お金はどうしたの?」

「お金はシルフ様がいらない魔石などをくださいました。それを換金して買い物をしました。ちなみにこれは皆様へのお土産です。」


そう言って風子は何処からかケーキのお土産を取り出した。

それを見て食いしん坊獣人たちが目を輝かせる。


「さすがですね。準備に抜かりがありませんね。」


そしてとりとめのない話をしながら食事を終える。

皆美味しい料理を食べれてご満悦で自らの部屋に帰っていった。

明日からはまた試練のためにダンジョンに入る。

今日は皆、早めに眠りに付き明日に備えた。

読んでいただきありがとうございます。

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