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第七十五話 新たな試練を受けに

サトル達は念のため龍斗に昨日の事を伝えた。

その答えは


「正当防衛だから気にするな。それに今お前たちに何かあればウィンディーネが怒り狂うだろう。」

龍斗は腕を組んで真顔で答えた。

「何か大変なことが起きるのですか?」

その雰囲気からただ事でないものを感じサトルは確認する。

「そうだな、過去に彼女を怒らした馬鹿が何名かいる。

その結果その地方に雨が降らなくなり砂漠化した。

又は大量の雨により全てを流された。

こんなのもあるぞ。周囲の水が腐り巨大な沼が出来た。」

説明している間も龍斗は頭を押さえて頭痛を堪える仕草をする。

「彼女って凄かったんですね。」

予想を上回る前例にサトルは驚きの表情を浮か背中に冷汗をかく。

「お前の家を作ったのでもわかるだろう。彼女は水の精霊最上位。怒りをかえば惑星規模の災害もあり得る。」

そう言いながら龍斗も額に汗を浮かべている。

「もしかしてこの前の災害も。」

「いや、おそらく違うと信じたい。これについては確証がないことがほとんどでな。」

そう言って座っている椅子のもたれかかる。

「まあ、それもそうですね。」

「ところで、次の試練はいつ行くのだ?」

「この間受けたばかりで次ですが?」


サトルは突然の龍斗の言葉に聞き返した。


「だが、今お前たちのパーティーには力が必要だ。時間があるうちに行っておいた方がいい。試練はあと4回ある。」

「そうですか。それなら行きましょう。しかしどうやって試練を発生させるのですか?」

「そうだな、お前の所のアクアに聞いてみろ。多分相談に乗ってくれる。」

「分かりました。それではみんなに相談して予定を決めます。」


そう言ってサトルは部屋を出て行く。


そして隣の部屋から美雪が入ってきて話掛けた。


「彼らは精霊王まで行けるかしら。」

美雪はサトルの出て行った扉を見つめながら呟いた。

「行ってもらわねばな。あいつには守る者が多い。きっとそこまで行けば精霊王は力を貸してくれる。」

「私や貴方みたいに?」

そう言って美雪は龍斗へ顔を向け微笑んだ。

「そうだな、あいつには見どころがある。それにそこまでいかないとおそらく全ては守れんだろう。」

「そうね。彼らには頑張ってもらいましょう。」


そう言って2人はサトルが出て行った扉を見つめた。


サトルはみんなの所に戻り龍斗に言われたことを伝えた。

そして全員の賛同のもと明日から試練を受けて行くことになった。

メンバーは

サトル・彩・舞・スノー・クロ・ホロ・イクス・リーン・エリザ・ローリー

である。

サトルの両親は今回は不参加だ。

前回は念のために付いてきたらしい。


そしてこれからの事を考えてサトルはクロをこちらの家に住むことを進めた。

パーティーでの行動やこれからの試練。

それにスノーがいる事からクロはサトルの家への引っ越しを決めた。

銀二もその奥さんの華音も賛成してくれてたのでクロの行動は早かった。

そして彼らは今、居間でアクアに試練について相談している。


「アクア、次の試練について聞きたいんだけど今いいかな。」

「はい、構いません。」


そしてアクアを交え話し合いが始まる。


「試練については事前にウィンディーネ様よりお話がありました。」

「それはありがたいですね。それでその内容は?」

サトル達はアクアの意外なセリフに驚き皆の視線はアクアに集まる。

「はい、次に受ける試練は風の精霊シルフ様がよろしいと言う事でウィンディーネ様が直接シルフ様にお話をされているそうです。

このダンジョンに行けば受けられるとの事なので、こちらのダンジョンにお入りください。」


そう言ってアクアは「門」がある場所を指定した。

そして舞はその場所に心当たりがあるらしく説明をしてくれる。


「ここはあまり人気がないダンジョンですね。

10階層までしかなく初心者が時々訪れて探索に慣らすくらいしか使われていません。

たしかドロップもいい物がなくてモンスターの爪や目など誰も欲しがらないゲテモノだったと思います。」

「アクア、ホントにここでいいの?」

「問題ありません。皆さんがこの間受けた試練の様にダンジョンが別物になりますので。

逆に人がいない方が好都合でしょう。

それと私も案内役として「門」まで同行します。」

「分かりました。明日はよろしく。」


そう言ってサトルたちはいったん解散した。


そしてその夜に全員が寝静まる頃動く者がいた。

それはホロ、イクス、リーン、ローリーである。

彼女たちは明日持っていく大事な食料について話し合っていた。


「このダンジョン産のビーフジャーキーは必要だと思う。この香り、この味わい。これなくしてダンジョン攻略は不可能。」


そう力説するのはサトルの愛犬ホロ。

涎を垂らし今にも食べだしそうだ。


「いやいや、このダンジョン産サーロイン肉こそがソウルフード。俺はこれがあれば3日は戦える。」


それを取り出したのはサトルの愛犬イクス。

イクスは拳を握り片手には大きな肉を抱えている。


「いえ、料理という観点から考えこの万能ダシです。これ一つであらゆる素材が素晴らしい料理となる。そしてこの香りは主たちの心を鷲掴みにします。」


そう言って調味料を握りしめるのは舞の愛犬リーン。

リーンはマイクのように調味料をマイクのように構える。


「私はこれ。このサクサクのお菓子たち。ポテチこそ最強。たくさんの味からその時の気分に合わせて味が選べる。これこそ至宝。」


そう言って色々な種類のお菓子袋を並べるのはエリザの愛犬ローリー。

ローリーも涎を垂らして目がお菓子から離れない。


「たしかにみんなの意見ももっとも。

私たちは獣人に成ってどれも食べられるようになった。

これをどう絞り込めば。」

「ここはサトルさんに決めてもらうか?」

「いえ、他の皆に相談するべきでは。」

「いっそのことこっそり持っていけば。」


そして悩んでいるとそこにサトルが顔をのぞかせた。


「みんなどうしたんだ。明日は早いからもう寝ないと。」


サトルは眠たそうに眼をこすりながら4人へ話しかけた。

それを聞いてホロは素直にサトルに明日持っていくオヤツについて話した。


「そうか、それで悩んでいたのか。それなら全部アイテムボックスに入るから俺が持っていくよ。それでいいだろ。」


それを聞いてみんな大喜びでサトルに抱き着いた。

そして4人は安心して自分の部屋に入り眠りにつく。

サトルも預かったオヤツをアイテムボックスにしまい自室に戻って寝なおした。


「ここは平和なお家ですね。」

「ワウ」

「ワウ」


それをこっそり陰から見ていた風子とヘルハウンドの2匹は嬉しく思った。


そして朝になり準備を終えて目的地へと出発していく。

彼らの移動に交通機関はあまり使われない。

最近では特に走る方が早いからだ。

それにレベルの上がった彼らにはいいウォーミングアップになってちょうどよかった。

1時間ほどで「門」に到着した一行は受付を済ませ、今何人くらいダンジョンに入っているかを確認した。

すると

「今日はまだ誰も入っていませんね。」

という答えを貰った。

そして、一行は「門」をくぐる。

するとアクアは突然先頭に立ち何かやり始めた。

「それでは今から準備をしますので待っていてください。」


そう言ってアクアは何かの準備を始める。

アクア以外は何が起きるのかと真剣に見つめている。


アクアはまずテーブルを出した。

そして、その上に布を被せられた皿をいくつも置いて行く。

次に出てきたのはなぜかバーベキューコンロ。

アクアはその中に炭を入れホロに頼んで火を起こした。

最後に皿の布を取ればあら不思議。

バーベキューの準備が完成です。


皆固まっているがアクアは気にせず肉や野菜を焼いて行きその上に彼女特性のたれを塗ってさらに焼いた。

素晴らしい匂いがダンジョンの奥に向かって流れていく。

アクアは焼けた肉や野菜を皿に取りみんなに配った。


「さあ、食べましょう。」

アクアはいつもの仕事モードで無表情だ。そこからは如何なる真意も読み取れない。

「あの、いいんですかこんな事してて?」

肉の入った皿を手にしてサトルは困惑しながらアクアへと問いかける。

「ウィンディーネ様よりこうするのが一番だと言われました。おそらく大丈夫でしょう。」


仕方なくサトルたちはダンジョン攻略前の食事を始めた。


「これ美味しい。」

「お肉最高。」

「俺はこれで3日は戦える」

「このタレは凄いですね。」

「ローリー幸せ。」


そして、みんなが美味しく焼き肉を食べていると変化が起きた。

洞窟型のダンジョンが神殿型に変化していき、次第に広く美しい見た目に代わっていく。

周りも洞窟型の時よりも明るく見通しもよくなった。


そして前方からもの凄い勢いで緑のドレスを着た女性が走ってきた。


「お前たち、私が最奥で待っていたというのに何をしてるの?」

謎の女性は何故かサトル達を怒鳴りつける

「貴方は誰ですか?」


サトルは謎のドレスを着た美女に問いかけた。


(パクパク) ホロは気にせず肉を食べている


「私は風の精霊シルフ。

あなた達に試練を与えるようにウィンディーネから頼まれたからここであなた達が来るのを待っていたの。」

彼女は視線をバーベキューとサトルの顔を行ったり来たりしながら名乗った。


(パクパク)イクスは気にせず肉を食べている。


「え、でもここはダンジョンの入り口ですよ?」

サトルは予想外の答えに驚きながらもシルフへとなぜこんなところに来たのか問う。


「・・・匂いが・・・」

シルフは顔を少し赤くし小声で答える。

「なんですか?」

しかし悟の耳には届かなかったため、サトルはシルフへと近づく。


(パクパク)リーンは気にせず肉を食べている。


「いい匂いがしたから来たの。悪い?」

そう叫んだシルフは顔どころか耳まで真っ赤だ。

「いいえ、それなら一緒にどうですか?」

それを聞いてサトルは気楽にバーベキューに誘った。


(パクパクパク)ローリーはそれを聞き急いで肉を食べている。


「いいの?」

「ええ、たくさんありますから・・・、あれ、バーベキューはどこに消えたんだ?」

「先ほど、こちらの4人が食べ尽くしてしまいました。」


それを聞いて風の精霊シルフは威厳なく膝をつき項垂れた。


「だ、大丈夫ですか?」

それを見て心配したサトルはシルフへと近づいていく。


「ふふふ、あのね。私たち4大精霊は基本人間界には干渉しないの。」

シルフは風もないダンジョン内だと言うのに髪をなびかせながら呟く。

「は、はい。」

その姿に危機感を感じながらも今逃げるのはまずいという直感からサトルは何とか返事を返す。

「でもね、私のもとにはいつも人間界から美味しそうな匂いが届いて来るの。」

「はあ~、それで?」

サトルは言ってる意味がまだ分からないがシルフの話を促すために返事を返す。

「でも私は風の精霊、匂いがあっても普通は食べられない。今の様に顕現していないとね。」

「・・・」

それを聞いた時、サトル達はシルフが何を自分たちに伝えたかったのかを悟る。

「気づいたみたいね。

そう、私は何十年もお預けにされた。

そして、あなたの言葉で希望をもって前を向けば・・・。

そこには絶望しかなかったと言う事よ。」

「「「「・・・・・」」」」

「もういいわ。この国滅ぼそうかしら。」


それと同時に日本の中央に台風のような雲が生まれ始める。

そして各地に爆弾低気圧が発生した。


その時、サトルは昨日の龍斗の話を思い出した。

そして脳裏によぎる{惑星規模の災害}


「アクアもう食料はないのですか?」

「ありません。」


皆シルフの状態を見て焦りだしている。

その時ホロ、イクス、リーン、ローリーはサトルに話しかけた。


「私たちのおやつを出してください。」

「ああ、そうかその手があった。」


そしてサトルはそれぞれのオヤツを4人に渡した。

リーンはダシをもってアリアの元へ行き野菜の残りでスープを作る。

イクスは肉を香辛料をふんだんに使い豪快に焼き始める。

ホロとローリーはオヤツをお皿に入れテーブルへ置いた。

そして少ししてイクスは素晴らしい焼き加減のローストビーフを机に置き。

その横には野菜のスープが置かれた。


そしてそれを4人は・・・

自分たちで食べよとした。


「「「「ゴツ」」」」


しかしそこで飼い主達が頭に拳骨を落として止める。


「「「この方に差し上げなさい。」」」


それを聞いて今度は獣人4人が絶望の顔をする。

しかし4人は仕方なく立ち上がりシルフの手を引いて椅子に座らせた。


「あ、あげる」

「い、今の俺の持つ最高の肉です。」

「最高のダシで作ったスープです。」

「ローリーのオヤツ・・・あげる。」


それを聞いてシルフの目に涙が浮かぶ。

「ありがとう。」


そして彼女はじっくり全ての料理の味を噛みしめて笑顔で涙を流しながら完食した。

そして日本に起きていた異常気象は綺麗に消えていった。


(凄い量食べたな・・・。)


これで日本の危機は救われたのだった。

読んでいただきありがとうございます。

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