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第七十三話 幽霊退治

サトル達は龍斗に教えられた不動産に到着した。


「すみません。先ほど龍斗さんに紹介されて来た者です。」

「はい、伺っています。こちらが契約書になります。」


それを見てサトルは顔色を曇らせた。

そこに書かれている金額は3千万と書かれていたからだ。


「すみません。金額が違いますよ。」

「私はこう聞いて書類を作りましたが何か不満でも。」


そう言って男は笑った。


「そうですか。少し待ってください。」


サトルはそう言い龍斗に電話をかけた。


「どうしたサトル、もう契約が終わったのか?」

「いえ、それが来てみたら金額が3千万になっていて困ってるんです。」

「そうか、すまないが少し待ってくれ。」


そう言って龍斗は電話を切った。


「お客さん、こちらも困るんですよね。店頭でごねてもらっちゃ。急いでくれないと私も暇じゃないんだから。」

「まあ、すぐ終わりますから待ってください。」


サトルは笑顔を受付の男へ向けながら時間を稼ぐ。

そして店の前に車が止まり人が2人の人間が入ってくる。

一人は龍斗。

そしてもう一人は


「しゃ、社長。どうされたんですか急に。」


受付の男は焦って社長に話しかける。


「お前、俺の言ったこと覚えてるか?」

社長は無表情で男に問いかける。

「い、いえ、それは・・・」

しかし男は下を向いて何も答えない。


「覚えているなら金額を言ってみろ。」

社長の目つきはどんどん厳しくなっていく。


「・・・」

それでも男は黙ったまま何も言えなくなった。

そして社長は机の上を見た。

そこには言い逃れが出来ない証拠である契約書が置かれていた。


「そうか、お前の考えは分かった。今までご苦労だったな。もう帰っていいぞ。君、ちょっと・・・」

社長は男を見ずに他の受付へ向かいそこのスタッフへ声をかけた。


「社長、それは・・・」

男は青い顔をして社長に問いかける。

しかし社長は冷たい目を男に向け最終通告を叩きつけた。

「聞こえなかったのか。君はクビだ。」


そしてクビになった男はこちらを睨んだ後に荷物をまとめ出て行った。


「あれ大丈夫かな?」

サトルにはその目に狂気を感じた。

その疑問にアクアが答える。


「問題ありません。」


ただその一言だけでアクアは説明を終わらせた。

サトルはもっとしっかり聞くべきだったかもしれない。

彼女の見た目は人間でも、人間ではない存在、シルキーであるのだから。


そしてサトル達一行は契約を終えたので今度は幽霊退治のために廃屋に赴く。


まずは最初にアクアが家に入った。


「いますね。こちらです。」


アクアは家に入るなりサトルたちを先導した。


ちなみにサトルの両親は他の家を回っている。

自分の物にさえなれば率先して動くようだ。

そしてスノー、リーン、リース、エリザ、ローリーは別の物件の退治に回った。

今ここにいるのはサトル、アクア、彩、舞、ホロの5人だ。

彩と舞は幽霊が怖くてサトルに付いてきた形になっている。


「この部屋にいます。まずは入りましょう。」

アクアは部屋の前に立ちサトル達を呼ぶ。

そしてサトル達は部屋に入っていく。


「何もいませんね。」

サトルは部屋を見回してそう答えた。

「よく気配を感じてください。そこのクローゼットに気配があります。」

アクアは教師のようにヒントを与えながら気配に気づくを待った。


「あ、分かりました。」

「これがレイス系の気配です。覚えておけばダンジョンで役に立ちますよ。」


そう言ってアクアはクローゼットを開けた。

そこには半透明の少女が膝を抱えて泣いていた。


「ここの家には毎夜鳴き声が聞こえる。少女の霊を見た。おやつが消える。などがありますね。」

アクアは不動産から貰ってきた資料を手に被害内容を述べていく。


「ならこの子が犯人ですか?」

サトルはそれを聞いてアクアに問いかける。


「恐らくそうでしょう。それほど害はないようですが、一般人なら精神が削られてしまうのでしょうね。」

アクアは顎に手を置き推測を口にした。

舞も相手が子供の霊で自分には無害だと分かると部屋に入りアクアへと問いかける。


「この子を倒すんですか?」

「そうですが何か問題が?」

アクアはなぜそんな事を聞くのかと首をかしげる。

見た目は少女の姿だがアクアにとっては関係ないようだ。


「いえ、可哀そうだと思いまして。」

舞も幽霊退治に来ているので自分が間違った事を言っているのが分かっている。

そのため力なくアクアへと答えた。


「そうですか。もう一つ方法がありますが、それにしますか?」

アクアは舞が躊躇するが理解できなかった。

しかし、舞の雰囲気から倒すという手段が気に入らないのだろうと思い別の手段を提案する事にした。

「その方法は?」

「この子をシルキーにします。」

「可能なんですか?」

アクアの予想を上回る手段に舞だけでなく周りの全員が彼女に視線を向けた。

その反応にこの方法なら問題ない事を感じ取り説明を続ける。

「可能です。もともと今から管理する家の広さを考えれば私一人ではつらいです。

前までは霊体でしたが今は肉体もあり疲労もしますし睡眠も必要になりました。

そのためウィンディーネ様よりそのためのスキルをいただきました。」

「分かりました。彼女に確認することは?」

「一応、やる気があるかだけ確認しましょう。」


そしてアクアは少女の前に立ち質問を始めた。


「あなたはどうしてここにいるのですか?」

アクアは表情を消し事務的に質問し始めた。

(しらない、気づいたらここにいて・・寂しくて、お腹がすいて動けないの。)

少女は泣きながらアクアへ訴えた。

「今から作る家で働き、その家の住人に仕えるならその苦しみを消してあげましょう。」

(お願い助けて。もう寂しいのもいつまでも続く空腹もいや。)

少女はアクアの言葉に藁にも縋る思いで叫んだ。

「分かりました。ではあなたをシルキーにしましょう。」


そう言うと少女の霊は光に包まれた。

そして光が収まるとそこにはメイド姿となった半透明の少女が立っていた。

シルキーとなった少女は寂しさが薄れ空腹が消えていることを確認すると、サトル達へと向きなおり両手を前でそろえて礼をする。


「今日からよろしくお願いします。」

「ああ、よろしく。俺の実家が隣にあるからそっちに行っててくれるか。」

サトルは家の方向を指さして行き先を伝える。

「はい。お帰りをお待ちしています。」


そう言うと少女は浮いて家の方に飛んでいった。


「さっそく人員が増やせてよかったです。彼女には適性がありましたから成功しました。」

アクアは何でもないようにサトル達へ伝えてない事を伝えた。

「もし失敗したらどおなっていたんだ?」

それを聞いて少し冷や汗をかきながらアクアへと問いかけた。

「いえ、別に。変化に耐えきれず消滅するだけです。」

それを聞いて全員それを想像し顔を青くした。


少ししてからサトルたちは次の物件に向かう。


「ここの被害は皆さまには辛いかもしれませんね。」

アクアは資料を読みながらサトル達を心配する。

「どんな被害ですか?」

予想はついたが念のためにサトルは問いかけた。


「飼い犬が死んでいます。

しかも何匹も。

恐らく祟り殺したんでしょうね。

飼い主は悲しみの末、家を手放したようです。」


そう言われ家を見て回った。

するといたる所に犬が生活しやすいような工夫がされていた。

壁には犬用の扉が付いていて出入りが自由になっている。

廊下や階段にはカーペットが敷かれ犬が足を滑らせないようになっていた。


そしてサトルはホロを呼んだ。


「ほろ、すまないが少しの間犬の姿になってくれないか。」

そう言うサトルの表情は少し怖い。

「いいですよ。」

ホロは信頼しているサトルのお願いなので二つ返事で了承した。

「お前の事は絶対守るからな。」


その言葉にホロは強い決意を感じ取った。

そしてアクアに先導され部屋に入る。

すると周りが揺れだしてそいつは現れた。

その姿は醜悪。

ミイラのような姿をしており服はボロボロだ。

そしてその手にはいくつもの鎖が握られ、その先には犠牲になったと思われる犬たちが繋がれ今も苦しそうに悲鳴を上げている。


そして、その悪霊はホロを見て喋った。


(何故貴様が生きている。)


ホロは犬の姿で首をかしげる。


(貴様は貧血で死ぬようにしたはずだ。いつまでもこちらに魂が来ないと思っていたがよもや生きていたとはな。だがここに来たのは運がなかったな。こいつら同様殺してやろう。)


それを聞いてサトルは今までの疑問がすべて解決した。

予防は万全だったのに急な血尿。

病院でも原因は不明。


そしてサトルは怒りが頂点に達した。


「貴様かーーーー。」


サトルは叫んだ。


そしてその怒りはサトルに新たなスキルを目覚めさせる。

そのスキルとは


怒り

怒りを攻撃力に変換する。


そしてサトルはスキルと魔力を使い限界まで攻撃力を上げる。


そして剣を抜き渾身の一撃を加えた。

その斬撃は悪霊を両断した。

そして家を破壊した。

そして、そこには獣人救出時とは比べ物にならないほどの大きな斬撃痕が残った。

その時のサトルの表情はまさに鬼と見間違えるほどだった。

それを見てホロはサトルにすり寄り自分の存在をアピールする。

ホロの存在を感じサトルの怒りは収まりホロを撫でた。

その顔には既に怒りはなく慈しみの表情が浮かんでいる。

何はどうあれ元凶は消滅しホロは今ここにいるのだから。


しかしそこで困ったことが発生した。

通常、天に昇るはずの犬たちの魂は長い間縛られていたため地上に囚われてしまっていた。

その対処法をアクアは答える。


「これは、切って倒すしかありませんね。」

またも彼女は冷たい手段を進めてきた。

「そんな、それ以外はないのですか?」

それを聞いて今度は彩が口を挟んだ。

「あるにはありますよ。まあいいでしょう。彩さん協力して下さい。」

「はい、私に出来る事なら?」

「私は人の霊とは話せますが動物とは話せないのです。この子たちにどうしたいのかを聞いてもらえますか。」

「分かりまいた。」


そして彩は質問を始めた。


「あなた達はどうしたいの?」

彩は彼らに優しく問いかける。その顔には微笑みが浮かんでいる。

(私はもう一度前の飼い主に会いたい。)

(私たちが死んだあと彼女の悲しみはとても大きかった。)

(きっと今も悲しんでいるわ。)

(前の主にもう一度会いたいけど私は新しい主が欲しい。)

(私もよ。それに今度こそ家を守って見せる。)


「アクアさんこちらの二匹は新たな主のもと、家を守りたいそうです。それと全てが前の飼い主に会いたいと。」

「そうですか。ならその2匹は家の番犬としましょう。」


アクアがそう言うと二匹の魂は光を放った。

しかし姿は変わってないが存在は変わったのだろう。


「あなた達に力を与えました。一緒にこの人たちの家を守っていきましょう。」


アクアがそう言うと2匹は頷いた。

そしてサトルは携帯で先ほどの不動産に確認を取り前の持ち主を聞いた。

かなり前に引っ越したようだがちゃんと住所がわかり連絡を取ってもらった。

彼女はすぐに来るそうだ。

しばらくすると50歳くらいの女性が走ってきた。


「あの子たちのがまだいるってホントなの?」

彼女は大急ぎで来たのか化粧などは一切していない。

そして彼女は走りながらこちらを疑うことなく叫んだ。

そしてサトルたちは事件の真実を説明した。


「あなた達ごめんなさい。

私はみんなを護れなかったわ。

あなた達が傍で苦しんでいるのも気づかずに家を出てしまった。」


それを聞いて犬の魂たちは彼女に触れようと近づく。

だが実態のない彼らは彼女を素通りして触れることはできなかった。

そしてそれが何度か続き犬たちも彼女も諦めかけた時に変化が起きた。


彼女は視線を外し虚空を見ている。

どうやらステータスを確認しているようだ


そして彼女は再度手を伸ばい・・・

彼らに触れた。

それは何十年かぶりのふれあい。

犬たちも彼女も互いに寄り添いあい満足いくまで触れ合った。


そして犬たちは満足すると2匹を残して光に包まれ消えていった。


「成仏したのですか?」

「ええ、少し寂しいけど、これが彼らのためね。」


そう言って彼女は帰ろうとした。


「もう帰るのですか?」

「ええ、私結婚してないから早く帰ってご飯作らないと。この前の雨で仕事も失業したしね。」


彼女は年を取ってはいるが、昔は美人だった面影が十分残っていた。

おそらく家族を一度に失い、そのショックで結婚しなかったのだろう。


サトルは彼女に近づいて自分の会社の名刺を渡した。


「もしよければここに来てもらっていいですか?」

サトルは笑顔でそう言った

「どうしたの急に。」

名刺を受け取りながら彼女は問いかける。

「ちょっとしたスカウトですよ。あなたなら面接に合格しそうだ。」

「こんなお婆ちゃんでも雇ってくれるの?」

彼女は頬に手を当て首を傾げる。

「年齢は大丈夫ですよ。あとはあなた次第です。」

「そう、それじゃ明日にでも連絡させてもらうわ。」

彼女はようやく少し笑顔になる。

「頑張ってください。」

サトルは本気のエールを送る。

そして彼女は帰っていった。


そして全ての家の霊の討伐が終わりサトル達は実家の前に立っている。


「今夜にでも改築を開始します。すみませんが今日はホテルに泊まってください。」


それを聞いて父親の輝が質問する。


「一日で終わるのか?」

「はい、大丈夫です。今夜中には終わらせます。」


そう言うとアクアはさっそく作業に取り掛かった。

まずは家や家を隔てる壁が消えていく。

そしてそこには広い更地が広がる。


(でも、材料が足りない気がするがどうするんだろう。)


そして、見ていても楽しそうだがかなり時間がかかりそうなので適当な所できり上げホテルへと向かった。

読んでいただきありがとうございます。

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