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第七十二話 スタンピード終息。

サトル達はウィンディーネに加護と祝福を授かり最後の階層に向かった。

そして歩きながらシルキーは自己紹介を始めた。


「これから長くお世話になります。シルキーのアクアと言います。アクアとお呼びください。」

彼女はそう言って軽く頭を下げる。

「俺はサトルです。これからよろしく。」

「でもサトルどうするの、家はそんなに広くないわよ。」


母の栞は家の広さを気にしているようだ。


「まあ、そこは後で考えよう。ところでアクアは戦えるのかな?」

サトルはアクアに向き直り、今後の事もあるために戦闘面の質問をする。


「いえ、私は弱いですね。元々が弱い幽霊のようなものなので。」

アクアはハッキリと答える。

「でもウィンディーネに力は貰ってなかった?」

サトルは先程のやり取りから疑問を感じて疑問を口にする。

「あれはウィンディーネ様がアニメを見るために全能力をそちらに振りました。ですから私の今の状態は通常のシルキーと変わりません。」

そう言った時、彼女は少し嫌そうな顔をする。

しかし、すぐに表情を改めて説明を続ける。

「ただ私がお世話する家に入ればかなりの能力上昇があります。もともとそう言う性質を持ってますので。」

そして今度は嬉しそうな顔になる。


そうして話していると最奥の部屋へ到着した。

そこにはコアのほかにいくつかのアイテムや武器・防具が置いてあった。

サトル達はそれを回収し地上へ戻るために階層を上がっていった。

戻りの道は順調でモンスターが狩りつくされたのか全く会う事もなかった。

また試練に使われた15階層から19階層。

ウィンディーネがいた20階層は戻ると資料に載っている情報と同じ状態に戻っていた。

そしてサトルたちは「門」を通り抜け地上へ戻ってきた。

するとそこには龍斗、美雪、銀二がケルベロス獣人の少女を連れ待ち構えていた。


「よく帰ったな。どうだったダンジョンボスは?」

「それが、最下層にはウィンディーネがいてダンジョンボスとは戦えませんでした。」

「おお、お前たちもそこまで成長したか。」


龍斗たちはそれを聞いて喜び、自分たちも通った道なので懐かしくも感じた。


「はい、舞さん、ホロ、イクスは加護をいただいて。それ以外は祝福です。」

「そこまでしてくれたのか!いったい何をしたんだ。」


龍斗は過剰ともいえるウィンディーネの行動に驚いき加護を授かった者達に目を向ける。


「相手が求める物を提供する約束をしただけですよ。」

サトルにとってはたいした条件ではなかったので肩をすくめ気楽に話す。

「そうか・・・。それで彼女はなんだ?見ない顔だし人間ではないな。」


龍斗はシルキーのアクアに目を向け説明を求めた。


「彼女はウィンディーネに提供するものを受け取るための使いのような者です。

ウィンディーネが受肉させて家でお手伝いをしてくれることになりました。」

そこでサトルはアクアを促す。

そしてアクアは前に出て自己紹介を始めた。


「初めまして。私はシルキーのアクアです。

ウィンディーネ様より日本のアニメを見るために使わされました。

目的は不本意ですが頑張って仕事をしますのでよろしくお願いします。」

アクアは表情を変える事なく言いきった。


(ああ、せっかく目的をぼかしたのに言っちゃった・・・。)


それを聞いて龍斗、美雪、銀二は固まって言葉もない。

後ろではサトルの両親が笑いをかみ殺している。

そして栞が3人に話しかけた。


「今の彼女はこんな感じらしいわ。」

「しばらく会ってないがアニメオタクになっているとは思わなかった。」

龍斗は腕を組みあごを擦りながら思案する。


「そうね。私たちが会った時はとても知的でまるで姉の様に頼りになる性格だったけど。」

美雪は苦笑しながら自分の時の印象を語る。


「そうじゃな。儂の時もそうだったが彼女に何があったのか。」

銀二はウィンディーネの身を心配する。


「サトルは大丈夫なのか?」

龍斗は心配そうにサトルに問いかけた。

「彼女が最初に希望したアニメは全部持ってますから大丈夫ですよ。」

龍斗の心配はサトルには伝わらなかったようだ。

「そ、そうか。ウィンディーネはいい相手に出会えたと言う事か。」

「ただ、実家はそれほど広いわけではないので少し困っています。」

サトルは今にも溜め息をつきそうな顔で愚痴をこぼす。

「まあほんとに困ったら言え。力になろう。」

「ありがとうございます。」


「それともう一つ。この子の事だ。この子もこちらのリストにはない。それに自分の事をケルベロスと言っているが本当か。」


そう言われてケルベロスは前に出てくる。


「はい、それについては彩さんが説明します。」


そして今度は彩が前に出て答える。


「この子は確かに魔獣ケルベロスの獣人です。

ダンジョンで一度屈服させて戦いの最中に死にかけたので獣人に進化して救いました。」

「見捨てる選択肢は無かったのか?」


「それはこの会社の理念と私の信念に反します。」

彩は龍斗の目を見て答える。

「そうか、それでその子は大丈夫なのか?」

龍斗もサトルと同じ懸念を口にする。

「大丈夫です。私が責任をもって躾けます。」

「う、うむ分かった。それでは任せよう。」

龍斗はそう言った時の彩の目を見て一瞬押される。


「おいで、あなたに名前を上げないといかないわね。」

彩はケルベロスへと笑顔を向けながら手を差し出す。

(・・・)

しかし、ケルベロスの反応が薄い。

俯き気味になり力なく彩を見ている。

「どうしたの?」

(主、私はここにいてもいいのですか?)


彼女は自分と言う存在についての不安を込めて彩に質問した。


「いいのよ、それに森を見たかったのでしょ。どう、初めての森は?」

その質問に彩はハッキリと答えケルベロスを胸に抱いて今度は彩から問いかける。


(とても気持ちがいいです。それに木々の匂いがとても清々しいです。)


彼女は素直な感想を彩に伝えた。


「それならいいのよ。それにあなたなら周りを見ればどんな人たちかもう分かるでしょ。」

(ここはダンジョン以上の魔窟ですね。)

「そうよ、命が欲しかったら今の気持ちを忘れちゃだめよ。それと、あなたの名前はリースにします。ある国の言葉で森と言う意味よ。」


それを聞いてリースと名付けられたケルベロスは喜んで彩に抱き着いた。


(ありがとう主。大事にします。)


その後の話し合いでこの日はもう一日野営する事となる。

そして、次の日は政府の人間に引き継いで家路についた。


そして、現在はサトルの家にはサトルの家族、アクア、彩、スノー、リース、舞、リーン、エリザ、ローリーが集まり話し合っていた。

だが話に参加しているのは全員人間だけ。

獣人たちは自らの主を信じて意見を控えている。


と言えば聞こえは良いが、獣人たちは今動物の姿になっている。

そして、目の前のダンジョン産の骨付き肉に夢中だ。

彼らは口が肉で塞がり話し合いどころではない。


「やっぱりこの人数だとこの家は狭いわね。」

「そうだな。こんな大人数は想定してないからな。」


そう言ってサトルを流し眼で見た。


「それならリフォームしたら。」


エリザは軽い感じで提案をする。


「まあ、それも一つの手か。」

「そうね、それまでは龍斗さんに行って社員寮にでも入れてもらいましょうか。」

「その事ですが私にいい考えがあります。」

その時、横で控えていたアクアが話に入る。

「何か考えがあるみたいね。教えてくれる。」

アクアの自信に満ちた顔を見て栞は彼女の意見に興味を持ち話を促した。


「周りの廃屋や幽霊屋敷を買い取ってはいかがですか?」

しかし、アクアは無自覚に爆弾を投下した。

そして、それを聞いてサトルは驚きアクアに質問した。


「どういう事なんだ?確かに家の周りにはなぜか人が住んでいないけど。単純に買い手が付かないだけじゃないのか?」

サトルは混乱しながらもアクアに確認した。


「いいえ、私はシルキー。ここの周りの家からは明確に霊の気配がします。恐らくそのせいで空き家になっているのです。」


サトルは今までの人生を思い出した。

部屋にいれば勝手に物が落ち。

机に置いた瓶が倒れる。

頻繁に家鳴りが聞こえ、視線を感じる。

そう、それは全て霊の仕業だった。

実はサトルが気づかなかっただけでサトルの両親は家に入った幽霊を追い払っていたのだ。

そしてサトルには


「気のせいだ気にするな。」

「よくある事だから気にしちゃだめよ。」


と言って育ててきたのだ。

そして今、その異常が一つのピースに繋がり結論を出す。

すなわちこのあたり一帯が霊の住処になっていたのだ。

そこに行き当たりサトルは両親を見た。

すると二人は観念したようにサトルへ真実を答える。


「土地が安かったのだ。」

「家も付いててとても安かったの。」


サトルは両親の本音を聞いた。

そして、それがサトルの考えが真実であったことを告げていた。


「でもそれだと祟られるんじゃないか?」

「何を言っているんですか。あなた達なら簡単に倒せる相手ですよ。」

「そうなのか?」

「はい、スピリット系は普通の武器は通じませんが魔力の籠った武器なら倒せます。皆さんお持ちですから大丈夫です。」

「でもそれなら父さんたちが討伐してるんじゃ?」


そしてサトルは再度、両親を見た。


「何故そんな面倒くさい事しないといけない。不動産が喜ぶだけだぞ。」

「そうよ。それにお隣がいないと何かと便利なの。」


それが両親の答えだった。

それを聞いて頭痛がしてきたサトルは頭を抱える。

しかし、目の前の問題を放置するわけにもいかず行動を開始する。


「それではまずここは龍斗さんに頼んでこのあたりの土地を押さえてもらおう。俺たちはテレビで顔が割れてるから足元を見られるかもしれない。エリザ。連絡を頼んでいいかな?」

「任せて、ちょっと電話をかけるわね。」


そう言ってエリザは龍斗に連絡を入れた。


「龍斗ちょっとお願いがあるの。」

「どうしたのだ。」

「ちょっとサトルの家を建て替えるんだけど土地がいるの。この家の周りの土地を買い占めてくれない。」

「それは良いが資金は大丈夫なのか?」

「アクアが言うにはこの家も含めて周りの家は幽霊屋敷で空き家らしいの。龍斗なら安く買いたたけるでしょ。」

「それは出来るぞ。少し待っておれ。」


そう言って龍斗はいったん電話を切った。

そして1時間もしないうちに龍斗から電話がかかる。


「買い占めたぞ。やはり吹っ掛けてきたがそこは俺が黙らせた。向こうも捨て値で持ち主から買いたたいたようだから懐もそれほど痛まんだろう。」

「それでいくらで買いたたいたの?」

「どうやらサトルの家に隣接する家が7件その全てが幽霊屋敷だ。

さらにその隣の家にも飛び火し幽霊が出るらしく、そこもやすく買いたたいた。

その結果すべて合わせて1千5百万だ。」

「かなり安いですね。」

「既に家は人がいなくなって長く手入れが不可能なので取り壊しは確定だ。

しかも幽霊が出るのが確定情報でだれも買わない。

そんな所、通常は売れないから相手も諦めてくれたよ。

それと家の間に狭い道が少しあったな。そこも行政に言って手を打ってある。」

「ありがとうございます。」

「もう大丈夫なのか?」

「アクアこれでいいのか?」

「はい、後は幽霊を退治してくれれば私がどうにかします。」

「大丈夫だそうです。お金の方はどうすればいいですか?」

「そうだな、今から言う不動産に行って話をするといい。」


そして龍斗は不動産の場所を伝え電話を切った。


「それじゃみんなで出かけようか。」


そして一行は不動産へ向け出発していった。

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