第六十七話 強制覚醒
龍斗は真顔で4人に提案を持ちかけた。
「お前たち本気で自分の女を助けたいか。」
それに対して4人は頷いた。
「ならばついてこい。お前たちの気持ちが本気ならば天職が手に入るかもしれん。」
そう言って龍斗とサトルの両親は4人を連れて歩き出す。
そしてその先には美雪が立っていた。
彼女は他の女性と一緒に近くの村で休んでいたが異常を感じた龍斗が事前に呼んでいたのだ。
龍斗は美雪に事情を話し準備を始めた。
サトルの両親は4人に今からすることの説明をする。
「今からお前たちには美雪さんの魔法で幻覚を見てもらう。それは君たちには耐えがたいものになると思う。しかしその幻覚を打ち破れれば天職に目覚めるだろう。」
「打ち破れなければどうなる。」
「お前たちの女は奴らに犯され、下手をしたら食われる。その後、躯は無残にさらされて奴らの玩具だ。」
「今彼女たちを救えるのはあなた達だけよそれを自覚して挑むのよ。」
2人は4人と話しながら少しずつ精神を追い込んでいく。
「恐らく失敗したら生きては二度と会えないわ。」
「それに、それほど時間はない。今にも巣穴が見つかるかもしれんからな。」
「彼女たちは今眠らされて何も知らないわ。でも先ほどの様に強い衝撃を受けると簡単に起きてしまうの。もし、途中で起きて暴れたら何をされるかわからないわ。」
「準備ができた。このテントに入ってくれ。」
そこはゴブリンの匂いで充満していた。
「幻術は周りの環境にも左右される。我慢して入ってくれ。おそらく幻術に掛かるとそれどころではない。」
「それじゃ行くわよ。生きて戻ってきてね。」
そう言って美雪は4人に幻術をかけた。
哲は闇の中にいた。
周りは見えず、ただゴブリンの悪臭が鼻についた。
周りはだんだんと色を取り戻す。
どうやら自分は洞窟を歩いていたようだ。
何のために?
そして意識がはっきりしてくる。
「そう、ローラを助けるためだ。俺はゴブリンの洞窟を見つけて入りローラを探していた。」
(急がないと間に合わない。)
哲は洞窟を進んでいった。
そして何処からか声が聞こえてきた。
「いや、離して、やめて誰か助けて。」
「この声はローラ!ローラ何処だ。何処にいるんだ。」
哲は走り出した。
しかし声には近づけずローラも発見できない。
しかし声はどんどん酷くなっていった。
「いやーー私には心に決めた人がいるのそれ以上はやめて。」
「ローラ、返事をしてくれ。」
哲は必死に走る。
「きゃーー足が私の足返して、それは哲の隣を歩くのに必要なの」
哲は既に言葉はなく洞窟の中をさまよい走る。
(なんでだ、なんで見つからないんだ。声はするのに。もっと、もっと何かのつながりがあれば。)
哲はどんどん思いが強くなっていった。
そして洞窟の奥に部屋が見えた。
そしてそこには腕を壁に杭で固定され組み伏せられるローラの姿があった。
そしてゴブリンは持っていたナイフでローラの腕を切り離した。
「いやーー痛い、もうやめて、これはあの人と繋ぐための大切な手なの。」
哲はさらに速く走った。なんでなかなか辿り着けないんだ。
そしてゴブリンはローラの顔を殴り笑い始めた。
そして髪をナイフで切り刻み顔の傷をなめる。
ようやく部屋に付きローラを助けようとする。
しかし力が出ずゴブリンに取り押さえられた。
(俺はこんなに弱いのか、力が力が欲しい彼女を守る力が。)
そして彼女は叫ぶ
「哲お願い助けて。」
「待っていてくれ今助ける。」
しかし身動きもできずゴブリンはローラへ近づきその体を汚していった。
そして最後に
「哲ごめんなさい。私汚れてしまったの。」
その言葉を最後にゴブリンはローラに胸にナイフを突き立てた。
それを見て哲は吠えた。
「があああーーーーーーーー」
「なぜ俺はもっと早く彼女を見つけられなかったんだ
なぜもっと早くたどり着けなかったんだ。
もっと強い力があれば・・・」
そして哲は血の涙を流して悔やんだ。
そしてそこで変化が起きた。彼の中で何かが芽生える。
そして前を見れば、無傷な状態のローラが立っていた。
「その力で今度こそホントの私を助けてね。」
そして哲は目を覚ました。
目覚めた哲はステータスを確認した。
天職・・・救う者
スキル
身体強化・・・魔力を消費して体を強化する。
韋駄天・・・速度上昇(最大100%)
エンゲージ・・・愛し合う者同士のつながりを作る。
気が付くと海は森の中にいた。
(俺はいったい何をしていたんだ。)
「そうだ、俺は攫われたリオを探して森に走りこんだんだ。」
そして海は捜索を再開した。
しかしいつまで経っても見つからない。
既に日はのぼりはじめている。
時間が過ぎ焦りだけが積もっていく。
その時、遠くで声が聞こえた。
それは聞き間違うはずのないリオの声。
海は耳を澄ます。
しかしその方角が掴めず仕方なく感に任せて走り出した。
時に近づき時にはなれる。
どこまでいっても見つからなかった。
その時語り掛ける声があった。
「あなたは何を探しているの?」
「俺はリオを探している」
「どうして探しているの?」
「俺にとって一番大切だからだ。」
「自分の命より?」
「そうだ俺には彼女が何より大事だ。」
「なら力を貸してあげる。あっちに行ってみなさい」
「分かった。」
哲はその声に従い走る。
するとそこにはリオに襲い掛からんとするゴブリンがいた。
(くそ、ここからじゃ間に合わねー)
その時また声が聞こえた。
「あなたは何がしたいの?」
「俺はリオを助けたい。」
「そう。なら彼女を護ってあげる。」
するとリオの足元から木の根がドームの様に囲いリオを護った。
そして、海はゴブリンの前に立ちはだかる。
しかし体に力が入らず簡単に負けてしまった。
倒れて動けなくなった海の前でゴブリンは斧を取り出しドームを壊していく。
「きゃあ、海助けて。」
海は自由の利かない体を動かそうと必死で足掻く。
すると再度語り掛ける声があった。
「何がしたいの?」
「俺はリオを助けたい。そのための力が欲しい。」
「それなら力をあげる。」
その言葉と共に目の前に木でできた槍が付き立った。
「これを使って。」
海は手を伸ばしその槍を掴んだ。
すると体に力がみなぎり自由に動けるようになった。
「これならいける。」
海は渾身の力を込めて槍でゴブリンを突き刺した。
そしてゴブリンは消えドームからリオが出てくる。
そして先ほどの声と同じ声音でリオは言った。
「貴方に力を貸してあげる。早く起きて彼女を救ってあげてね。」
そして海は目を覚ました。
目覚めた海はステータスを確認した。
天職・・・森霊の加護者
スキル
植物操作・・・魔力を森霊に与え植物を意のままに操れる。
意思疎通・・・植物と意思を通わせられる。
武器生成・・・森霊の加護の宿った霊槍を作り出せる。
淳は闇の中にいた何処まで行ってもやみ。
何も見えず聞こえない。
そして自分の姿すらあいまいだった。
(俺は何をしているんだ俺は何んだ。)
その時声が聞こえた。
(何だこの気持ちはとても大切で愛おしく感じる)
(そうだ、クウ。クウの声だそこに行かなければならない気がする。)
そう思った時、淳はクウの足元にいた。
見上げればクウはゴブリンに組み敷かれ服を破られていた。
「やめて、触らないで。」
それを見て淳の意識が輪郭を持つ。
「なんだこれは!俺は今どうなっているんだ?クウ聞こえるかクウ」
「淳!傍にいるの助けて。このままじゃこいつらの子供を孕まされちゃう。」
「待ってろクウ、くそどうすればいいんだ。」
「お願い早く来て」
そしてゴブリンはクウの服を引き千切り上半身をあらわにさせる。
「やめて、彼が傍にいるの。こんな姿見られたくない。」
いまだに見ているだけしかできない淳は必死になって手を伸ばす。
すると手は影から突き出しクウの腕をつかんだ。
そしてクウを影の中に引き込んだ。
「クウ!すまない遅くなってしまった。」
「いいのよ淳あなたが来てくれると信じていたわ。」
しかしそこでは終わらなかった。
ゴブリンはもっていたナイフで影を差した。
すると淳にも傷がつく
「クッ」
「大丈夫淳!」
「ああ、ここで少し待っていてくれ。」
そう言うと淳は先ほどの要領で影から手を伸ばし影から出た。
そして影を操りゴブリンを締め上げる。
ゴブリンはナイフを落としてしまい淳はすかさずそのナイフを拾いゴブリンに止めを刺した。
すると影からクウが現れ淳に告げた。
「おめでとうそれがあなたの新しい力よ。その力で早く私を見つけてね」
そして淳は目を覚ました
目覚めた淳はステータスを確認した。
天職・・・影法師
スキル
影渡り・・・魔力を消費して影から影へ転移する。
影操・・・影に実態を与え操る。
影泳・・・影内の空間へ出入りができる。
松は歩いていた。
ただ唯ひたすらに闇の中を歩き続けた。
松の小指には一本の赤い糸が結ばれそれは先の見えない闇へと続いている。
そしてある時、闇は終わった。
目の前には毒の色をした沼があった。
しかし赤い糸はこの先へ続いている。
松は躊躇したがその時、声が聞こえた。
「た・す・けて」
それは初めて会話した時のようなたどたどしい声
それを聞いて松は躊躇したことも忘れて沼に飛び込み進んだ。
たちどころに気分が悪くなり体中に痛みが走った。
松は血を吐きながらも止まることなく沼を渡った。
次は炎に包まれた草原が現れた。
松は赤い糸の方向を信じ体のやけども気にせず進んだ。
次は極寒の雪山だった。
そこでは手足は凍傷になり指を何本も失った。
次は豪風吹き荒れる荒野だった。
松は風で体中をズタボロにされた。
次はいたる所が隆起した道だった。
岩は鋭利な刃物の様に触れるだけで体を切り裂いた。
それらを抜けた時には松はボロボロだった。
しかし赤い糸を信じて突き進み最後に光が見えてきた。
その光の中に入ると傷がいえ目の前にはフレイがいた。
そしてフレイは答えた。
「あなたと私は出会った時からこの赤い糸で繋がってるの。
だからどこにいても互いの場所がわかるのよ。
だから早く私を見つけて」
そう言ってフレイは消え
松は目を覚ました。
目覚めた松はステータスを確認した。
天職・・・護りし者
スキル
身体強化・・・魔力を消費して体を強化する。
全耐性・・・全ての攻撃に耐性がある。(最大50%カット)
超速再生・・・魔力を使用して傷を癒す
身代わり・・・愛する人が攻撃を受けた時、任意でダメージを代わりに受ける
赤い糸・・・互いに愛し合う相手の場所がわかる。
彼ら4人は見事に覚醒した。
そして松は重要な事を聞く
「俺たちは何時間幻術に囚われていたんだ?」
「ほんの数分だ。空を見ろまだ日も登っていない。」
「よかった。俺は何時間もたっているものと・・・。」
「それよりも皆必要なスキルは取れたか?」
その言葉に全員頷く。
「ならば行ってこい大事なものを取り戻すために。」
「はい」
読んでいただきありがとうございます。




