第六十五話 エリザ再来
サトル達はエリザを連れ龍斗の待つ会社へと戻った。
「よく無事戻った。」
龍斗は笑顔でサトル達を迎えた。
「ええ、何とか全員無事です。龍斗さんが持たせてくれた秘薬が役に立ちました。」
「そうか、それはよかった。それと久しいなエリザ。」
龍斗とエリザは古い知り合いなので当然若い時の姿も知っている。
そのため龍斗は一目でエリザを見分けた。
「ええ、今回は助かったわ。それにこんなにピチピチにしてもらって感謝するわ。」
エリザはその場でクルリと回り龍斗にその姿を見せる。
「しかしその姿ではもう表舞台に立てんだろう。」
「それについても考えてあるから気にしないで。もしかしたら後で少しだけお願いを聞いてもらうかもしれないわ。」
そう言ってエリザは龍斗にウインクする。
「その時は何でも言ってくれ。力になろう。」
「その言葉忘れないでね。約束よ。」
「それで、その子がお前の愛犬だったローリーか?」
そして龍斗はエリザの傍にいるローリーに視線を向ける。
「そうよ。ただ戦闘能力はあまりないから私が助けてあげないとね。」
「ローリーもエルザ助けるよ。」
「そうね一緒に助け合っていきましょう。」
「うん。」
そう言ってローリーはエリザに抱き着きエリザはローリーの頭を撫でる。
「それじゃ、大使館まで送ってもらっていいかしら。」
「それは構わんが大丈夫か?」
龍斗はまだ残党がいた場合を心配し顔を曇らせる。
「大丈夫よ。今の私より強い人間は私の国にはそうそういないわ。」
「そうか、ならばリンダ、頼めるか?」
「分かりました。」
「あなた達には感謝してるは。またすぐ会いましょ。」
(((((???)))))
「それではお前らの依頼は終了だな。おそらく近日中に政府から報酬が届くだろう。今日は疲れただろうから帰って休むといい」
「そうします。」
そして彼らは解散していった。
そしてしばらくたったある日の事。
サトルのパーティーは全員社長室に呼ばれていた。
「どうかしましたか?」
サトルは龍斗に今回の招集について質問した。
「いや、ちょっと困ったことになってな。」
そう言って龍斗は側頭部を指で軽くたたきながら困った顔をする。
「龍斗さんが困ることと言ったら・・・。もしや美雪さんに浮気がバレたのですか?」
「馬鹿もん」
龍斗は叫んだ。
「浮気などそんな恐ろしい事出来るか。ゴホン
そうではない、このニュースを見るのだ。」
そう言って龍斗は備え付けのテレビに映像を映し出す。
「これは今朝のニュースだが、よく見るのだ」
そしてサトルたちはニュースに集中する。
「数日前に日本より帰国したエリザ○○女王が病院にて急死されました。
女王はかなりの高齢で医師の発表ではそれに伴う心筋梗塞であると公表されました。
しかし女王は兼ねてより軍部との衝突も多く暗殺の可能性も・・・」
サトル達はそれを聞いて驚愕する。
つい数日前に守りきった相手が、なぜか心筋梗塞で亡くなったとは信じられなかった。
「龍斗さん、この話はホントですか?」
「そうですよ彼女は若返って心筋梗塞を起こす要因なんて?」
「それに秘薬で健康な体になって?」
自分たちで言っていてだんだん疑問が膨らんでいく彼らに声をかける者があった。
「そうよ。私は死んでないしここにいるわ。」
そう言ってエリザとローリーが扉を開け部屋へ入ってきた。
「こんにちわ皆さん、数日ぶりね」
エリザは手を軽く振って挨拶してくる。
しかしそれではサトル達の疑問は晴れない。
「ええ、お元気そうで何よりです。それでこれはどういう事ですか。」
「この前、別れ際に私と龍斗が話したことを覚えてる?私は若返ってしまって、この姿では表舞台に立てないの。だから女王としての私には死んでもらったのよ。」
「それでこのニュースですか。」
サトル達は理由を聞いて納得する。
若返りの事を隠すのは当然だが、この姿では普通は誰も信じないだろう。
「でも、そのまま国にいると色々よくないからこの国の政府に依頼して秘密裏に亡命したの。これでもう私は女王ではないこの国の普通の国民になったって訳。」
「あの国の獣人はどうなるんですか?」
サトルは最大の懸念事項を聞く。
恐らく全員、その事を心配しているだろう。
「今回の失態で軍上層部は私たちの息のかかった者が独占したわ。それに息子に獣人保護の法律を作るように命令してきたから大丈夫よ。馬鹿な事したら私か直接出向くわ。」
さらっと怖い単語が出てきたがそれを気にする者はこの部屋にはいない。
「それなら大丈夫そうですね。」
当然サトルもその一人であるためサラッと流した。
「それと私とローリーもこの会社に入ることになったの。あなた達の同僚ね。仲良くしてね。」
そう言っエリザはサトルにウインクした。
彩と舞はまたもやサトルに言い寄る女が増えたことに気づき警戒を強める。
「それにね、実はローリーがあのダンジョンのお肉をすごく気に入ってしまって。手が付けられないの。」
そう言ってエリザはローリーを見る。
ローリーはエリザになぜ見られたのか分からず首を傾げた。
サトル達はそれを聞いて苦笑している。
そしてホロはその言葉に同意を示す。
「それは分かる。あそこのお肉は最高。一度食べたらやめられない。」
「あのダンジョンの肉、中毒性はないですよね。」
「大丈夫なはずです。私たちには何も影響ないですし・・・。」
サトルは舞に確認するが別の意味での心配事が発生してしまった。
その時、社長室の電話が鳴り響く。
「どうしたのかね。現在大事な話を」
「社長大変です。王子が。エリザさんの息子が我が社の受付に来ています。」
「何だと何故ここに。仕方ないアポはないが断るわけにもいかん。お通ししろ。」
それを聞いて龍斗は驚くがここにエリザがいる事を考えて受付に案内するように指示を出す。
「分かりました。」
「皆聞こえたか。エリザどうする。」
「何をしに来たかはある程度想像がつくわ。私が話をつけるから気にしないで。」
そして少しして扉がノッされた。
「王子をお連れしました。」
「入ってもらえ。」
そして王子が入室してくる。
見た目はナイスミドルだ。
そして彼は全体を見回し話し始めた。
「私はそちらの母エリザの息子ロイです。初めまして。さっそくお聞きしますが。あなた方が我が母を救ってくれた方たちですか?」
王子はサトルに向かい質問した。
「はい私達のパーティーが護衛の任に付き、彼女をお守りしました。」
「そうですか・・・・。」
そう言って黙り込んんだ王子の背後に「ゴゴゴゴゴォ」と擬音が付きそうな気配が立ち上がる。
「貴様か、我が母をかどわかした張本人は。」
そう言って王子はサトルを指さし叫んだ。
「何のことでしょうか?」
「しらばっくれても無駄だ。ここに証拠がある。」
そう言って王子はディスクを取り出した。
それを龍斗が受け取り再生を始める。
それは息子に当てたビデオメール。
出国する前にエリザが息子に残したものだろう。
そして再生が始まった。
「ロイ私はもう母としてあなたに会うことはできないわ。あなたなら立派な王になって国を導いてくれるものと確信しています。貴方たち家族を置いて国を出る私を許して。」
最初はしんみりと始まった。
「それと獣人に関する保護法案は必ず成立させるのよ。もし失敗したらその国には革命の嵐が起きるからね。」
なんだか脅迫が入ってきた。
「それと私も夫を亡くしてもう長いわ。若返ったことだし新しい恋を見つけたの。彼はこの間の事件で私を命がけで守ってくれわ。周りにはすでに交際中の女の子がたくさんいるから私一人増えてもきっと平気よ。」
そこで爆弾発言が出た。
「それじゃロイ元気でね。私は新しい恋に生きるわ。」
そう言ってエリザはスキップで部屋を出て行った。
そして戻ってきた。
「いけない止めるの忘れてた。早くサトルに会いたいのに。もう飛行機に遅れちゃう。」
そこで映像は途切れた。
そしてエリザ以外は皆固まっていた。
彼女だけは手を顔に当てイヤイヤをしている。
そして最初に動き出したのはロイだった。
「どうだ、この決定的な証拠は。言い逃れ出来まい。」
そこです素早く彩・マイ・ホロがサトルを庇う
「それは違います彼は私達の恋人です。」
「そうよサトルは私たちのよ、誰にも渡さないんだから。」
「体の関係もバッチリ。」
そして3人は俺を庇うように王子の前に立つ。
しかしそれを見た王子はこちらを指さし叫んだ。
「やはり真実ではないかーーー。」
まったくの逆効果だったようだ。
その後エリザが再稼働しロイを屈服・・・いや、説得するまでこの話は続いた。
そして現在。
ロイはエリザによって床に座らされ説教を受けている。
「いいロイ、私は恋に生きると決めたの。」
「でも母さん。」
それを聞いて王子は立ち上がろうとする。
「ステイ」
しかしロイはまた座らされる。
そして隣に歩いてきたローリーが犬の姿でお座りをした。
何かを期待する目をエリザに向ける。
エリザは微笑んでローリーにダンジョン産ジャーキーを与えた。
「そう言うことで国に帰りなさい。私はこの国で、この会社で、彼と働くの。」
「でもあんな女ったらしと・・・。」
未だに王子は納得していないようだ。
エリザは更なる説得にはいる。
「ロイ、私たち王族なら愛人がいて当然。」
「それじゃ母さんが正妻で他は妾ってこと?」
それを聞いたサトル、彩、舞、ホロは魔力交じりの殺気を放ち部屋を揺らす。
「ヒイイイーー」
「ロイ、口を慎みなさい。彼は皆平等に愛し、格差をつけてはいないわ。」
それを聞いて殺気が和らいだ。
「まあ、何にしてもロイ、まずは国に帰りなさい。私がいなくなり国は今大変な時期よ。それにこれが今生の別れではないのだからまた会えるのわ。」
そう言われて渋々ロイは帰国していった。
「という訳でこれからよろしくね。」
読んでいただきありがとうございます。




