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第六十四話 エリザ暗殺事件終了

サトル達はダンジョンに入ってすぐに移動を開始した。

ここはクロのホームグラウンド。

彼が育ち鍛えられた場所だ。

何処に何がいて何があるかは手に取るようにわかっていた。


「まずはこの前の森まで行こうと思う。あそこなら相手の人数が多くても有利に戦いを進められる。」

「そうね、それなら案内をお願い。」


そして一行は森へと向かった。モンスターは見つかればともかくそれ以外は無視して進んでいるため前回よりもはるかに速い到着となった。

そして尾行していた者達が二手に分かれた。

一組は門へ戻っていく。

おそらくこちらの所在を本体に伝えに行ったのだろう。

そして相手の人数が少なくなったところでクロが小声で皆に話しかけた。


「相手の人数が減ったようだ。ちょっと言って狩ってくる。」

「1人で大丈夫ですか?」

「問題ない。今までの尾行から相手のレベルは高くない。すぐ戻る。」


そう言ってクロは犬の姿になり迂回しながら素早く相手のもとへ走っていった。

クロが去るとエリザはスノーに話しかけた。


「彼頼りになるわね。スノーさんの恋人?」

「ええ、未来を誓い合った仲です。」

「そう、逃がしちゃだめよ。」

「そのつもりです。」


そう言ってエリザとスノーは笑いあう。

そして数分後クロが返ってきた。


「やはり大した相手ではなかった。こちらの奇襲にも気づかず瞬殺できた。」

「死体はどうしたんだ?」


聞くとクロは上を指さした。

何処からともなく複数の鳥が現れ死体があるあたりへ降り立った。


「このダンジョンの掃除屋だ。他のダンジョンだとスライムがそれにあたるな。奴らは死肉しか食わない。強靭なあごを持っていて骨も残さず食いつくしてくれる。ダンジョンで捜索願が出た時、俺たちは真っ先に奴等を探すんだ。」


そして1時間ほどで鳥たちは空へと消えていく。

その降り立った場所にはわずかな血の跡しか残っていなかった。


そして俺たちは休憩を終え森へと入っていった。


「この先に洞窟がある。そこをキャンプ地にしよう。どうも雨の匂いがしてきた。一雨来るかもしれない。」


そう言ってクロは俺達を洞窟へ案内した。

しかしそこには先約がいたようだ。

それは熊のモンスター。

しかしクロは散歩ですれ違うような感じで近づき一撃のもとに頭部を破壊した。


(そう言えば会った時も一撃で熊を倒してたな。)


「皆、運がよかったな。食料まで簡単にゲットできたぞ。」


そう言ってドロップアイテムの肉を見せた。

俺たちはその肉を調理し食べることにした。

ちなみにホロとローリーの視線と涎が半端ない。


(君たち、人の姿だと残念美人だから犬の姿でしようね。)


そうしていると外に雨が降り始め、豪雨となった。


時は少し戻り敵軍はダンジョンに突入を開始していた。


「隊長あちらの方向に奴等の反応があります。」


そう言って隊員の一人がレーダー片手に答えた。

どうやらエリザには密かに発信気が付いているようだ。


「そうか、尾行していた連中はどうした。ここに入っていった者との連絡はついていません。」

「そうか。」


たしかに尾行は門の方向に所在を伝えに帰った。

しかし無事に帰り着ける保証はない。

彼らは獣人のクロの後をついて行ったため無事に尾行できていたのだ。

それを離れた尾行者はモンスターに囲まれその餌食となった。


今回動員された人員は100名にも上る。

だが、すでに20名もの被害が出ていた。

彼らは任務遂行のため。

獣人を軍の生物兵器として使うため。

エリザを追ってダンジョンを進んでいった。


その行軍は困難を極めた。

初めてのダンジョン。

人数は多いがレベル10そこそこの低レベルな兵士達。

茂みからトラに襲われ。

牛に突撃をくらい。

鳥にさらわれ。

蛇の毒に侵される。


そして、敵を倒しても手に入るのは食料ばかり。


彼らは持ち込んだ物資を大量に消費し。

人員を失い続けた。

さらにそこに豪雨が襲い掛かり闇に紛れたサルたちに奇襲を受け大損害を受けた。

無事に森までたどり着けた者は

一般兵

20人

レベル30の隊長格が3人と

酷いありさまとなった。

しかし彼らには逃げ帰る選択肢はない。

女王暗殺という暴挙を行った以上死んで土にかえるか生きての凱旋か。

二つに一つしかないのだ。


そして彼らは発信機の電波を便りに森へ入っていった。


そしてここでサトルたちに視点は戻る。


「奴等が来たようだな。しかし数がずいぶん少ない。」


クロは人数を見て警戒を強める。

伏兵を気にしているようだ。


「おそらくここに来るまでに消耗したのよ。ここは一般兵ではレベルが足りないわ。」


それを見たエリザが過度な警戒をしないように説明する。


「そんなものか?まあいい、来ているのは斥候の弱い奴等ばかりだ。高レベルの者3人は森の外で待っているようだがどうする。」


そしてクロはすでに相手の行動を掴んでおり、その情報を共有する


「そうねひっそりと倒せそう?」

「少し人数が多いな。スノー、彩さん、舞さん協力してくれるか?」


そこでクロは自分一人では無理だと判断し、3人に声をかけた。


「あなたのお願いなら喜んで。」

「私もいいです。」

「私は弓で遠距離かな?」


3人も快く了承し、それを見たクロは3人に指示を出していく。


「感謝する。舞さんは最初攻撃はしないでくれ。もし俺たちに気づく者がいたらそいつを最優先で頼む。」

「分かったわ」

「それでは位置取りだが俺は中央から攻める。スノーは右から彩さんは左から頼む。」

「真ん中は不利じゃないですか?」


それを聞いた舞は補足されやすい正面をクロが選んだことで心配する。

しかし、クロは自信のある顔でそれに答える。


「ここは俺の庭みたいなものだ。どうとでもする。それにたまにはスノーにいい所を見せないとな。」


そう言って珍しくクロはスノーを見て笑った。

それを見てスノーは顔を赤くする


「初々しくていいわね。ふふ」


エリザは微笑みながら羨ましそうに二人をていた。

そして、サトル達はこの騒動の幕を引くため攻勢に出る。


まずクロは近くのモンスターを引っ張て来て囮にした。

それに気を取られた兵士が外周から少しづつ彩やスノーに始末され削られていく。

まれに異常に気づく者がいたが、その者は舞の弓矢の餌食となった。

そして、兵士がモンスターを倒しきった時には残りは4人程度になり、クロたちに同時に始末された。

そしてクロたちは一仕事終え、サトル達の所へ戻ってきた。


「終わったぞこれで残りは森の外の3人だけだ。」

「そう、それじゃ彼らの所に行きましょうか。」


そう言って一行は森の外を目指して進んでいった。

そして残り3人の前にエリザは立って叫んだ?


「残りはあなた達だけよ。」

「誰だお前は?」


男は見覚えのない女性が話しかけた事で困惑する。


「ああ、この姿は分からないかしら。女王になって長いから若い人たちにはお婆ちゃんのイメージしかないのね。」

「まさか、貴様が女王か。なんだその姿は?」


男はエリザの言葉から目の前の女性がエリザである事に気づき驚愕する。


「え、ちょっと事故があってね。若返ってしまったの。それに関してはあなた達にも責任があるけど、それについては不問にしてあげるわ。」


エリザは笑顔で凄く嬉しそうに言った。


「まあいい、俺たちの目的はお前を始末することだ。そして目撃者となるお前たち全員もな。覚悟してもらう。」

「出来る物ならやってみなさい。」


エリザは昔のように自由に動く体で男に大声で告げる。


「そんな強気な態度がいつまで続くか楽しみだ。

これがなんだか分かるか?これはバジリスクの爪から作り出した呪いの剣だ。

これが少しでもかすれば石化の呪いで助からん。

どこまで躱せるか楽しみだな。」


男はそう言って剣に視線を向けニヤついた笑みをエリザへ向けた。


「ホテルでは上手くかわしたんだろうが今回はそうはいかん。

お前が解呪の秘薬を持っていないのは調査済みだからな。」


そう言って男は剣を構えた。


「それは恐ろしいわね。みんな気を付けてね。」


そして戦闘は開始された。

相手はレベル30。

だが、どうやら天職には目覚めていないようだ。


サトルは最初からスキルを発動し走り寄って全力で切りつけた。

その一撃を相手は両手で剣を持ち受けたが勢いは止まらず呆気なく切り捨てられた。


その横ではスノーが強化された力で相手を圧倒した。

剣を巧みに盾で逸らし剣でダメージを与えていく。

しかしそれはあくまで囮。

気配を殺した彩によって後ろから止めを刺され呆気なく始末された。


そして最後の1人はエリザが相手にしていた。


「くそ、なんでこんなに強いんだ。」


男は王族をただ椅子に座って踏ん反り返っている物だと思い込んでいた。

しかし、剣を交えて見ればその強さは自分のはるか上を行っている。

そのため顔からはすでに余裕が消えている。

しかもいつ致命の一撃を受けてもおかしくない攻防に、男は冷や汗が止まらなくなっていた。

そして、そんな男へエリザは余裕の表情で話しかけた。


「あれ、あなた知らないの。門が発生した当初は私たち王族が先頭に立って戦闘を行っていたのよ。後ろでふんぞり返って他人に戦闘を任せる臆病者に民衆は付いて来てくれないわ。」

「黙れ。」


そしてその一撃がエリザの腕をかすった。

その傷口は石化し始めエリザはそれを軽く見て男に視線を戻した。


「ははは。無駄話が過ぎた様だな。これでお前はもう助からん。たとえ俺が死んだとしても貴様も道連れだ。」

「あら大変。」


エリザは笑顔を絶やさず軽い感じで男に答えた。

そこへ一人の少女が近づいていく。


「エリザ~大丈夫~」


ローリーはエリザの傷を確認し心配そうに声をかける。


「ええ、かすり傷よ。」


エリザはローリーに微笑み答えた。

しかし男はそれが気に入らないのかエリザを嘲笑うように見つめ大声を出した。


「馬鹿めさっきの事を聞いてなかったのか。それとも若返ったのは見た目だけか。お前は呪いによりもうじき石になるのだ。」

「エリザ~それじゃ治すね。{解呪}」


ローリーはスキルを発動する。

すると石化し始めていた傷の石化は消えてなくなりただの切り傷になった。


「{ヒール}」


そして石化解除後、回復魔法により傷も癒えた。


「ありがとう、ローリー。上手にできたわね。あとでご褒美よ。」

「うん」(尻尾パタパタ)


それを見ている間、固まって動かなかった男はエリザの石化が解けた事を見ると目を見開き、エリザとロローリーに叫んだ。


「なんだそれは聞いていないぞ。貴様何者だ。」


その言葉にはローリーは答えず代わりにエリザが答えた。


「この子は私の愛犬のローリーよ。昨日進化して私を助けてくれたの。」


エリザは得意げに男に告げる。

それはまるで我が子を自慢する母親のようだ。


「くそ、そう言う事か。」

「そう言う事よ諦めて死になさい。」


そう言うと先ほどより遥かに速い連撃を繰り出す。

それにより腕は切られ、足は刺され、そして最後には胸への一撃をくらい男は絶命した。


「さ、これで終わったわね。帰りましょ。」


そうしてエリザは歩き出す。

しかしそれを止める者がいた。


「待ってくださいエリザさん。」


それはサトルであった。


「どうしたの?」

「まだやることが残っています。」


その真剣な顔にエリザもやり残した事があったかを真剣に考える。

しかし、思い出せないため素直にサトルに聞くことにした。


「そうなの?まだ敵が残っていたかしら。」

「いえ、敵はいません。」

「それなら何?」


それを聞いてエリザは更に分からなくなった。

そして、サトルは真顔で答える。


「ここのドロップ品の肉はどれも絶品で、こいつらの大好物なんです。」


それを聞いたローリーはエリザを期待を込めた目で見つめた。

そして、エリザはそんなローリーの頭を笑顔で撫でる。


「それじゃ、ちょっと乱獲して帰りましょうか。」


そう言って一行は目につくモンスターを片っ端から倒し肉を大量に確保してダンジョンを後にした。

それに費やした時間の割合はこのダンジョンに入って最も多かった。

読んでいただきありがとうございます。

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