第六十二話 ローリーの願い
建物が揺れ異常をしらせる。
それと同時にエリザが確認の声を上げた。
「何事です」
すると外から男が一人、扉から飛び込んでくる。
「爆破テロです。5階ほど下のフロアが爆破され炎上しています。」
そう叫んでだのは先程、扉の前にいたガードマンの男だった。
「分かりました。消火は可能なの?」
エリザは顔を歪めガードマンに確認する。
「現在確認中ですがこの煙の量ではおそらく不可能かと思います。急ぎ避難を。」
男はガードマンのとして保護対象であるエリザに
避難をすすめる。
「今は動けません。しばらくは警戒に務めなさい。」
「そんな時間はありません。」
ガードマンの男は今の状況からエリザの言葉に驚きの表情を見せるが手遅れになるのを危惧して意見を述べる、
「黙りなさい。そうね、あなた達警備は1階に避難することを命じます。早くいきなさい。」
エリザはその言葉を聞いて一度声を荒らげるか彼等を巻き込まないためにガードマン達の避難を命じた。
「それではあなたが一人になってしまいます。」
その命令を聞いてガードマンはあせる。
「構わないは。今この子が大事な進化の途中なの。動かせないわ。進化が終わり次第、私も非難します。」
「しかし・・・」
「早くなさい。これは命令よ。」
エリザは今度は命令とはっきり言葉にしてガードマンのにつげた。
「・・・分かりました。」
そう言って彼は外へと出て行った。
しかし、ガードマンの表情は悔しさに歪む。
「あなた達も早く避難なさい。」
ガードマンのが部屋から出て行くとエリザはサトル達に向き直り彼等にも避難をすすめる。
「え、どうしてですか?」
しかし、サトルは何いってるんだこの人は、という顔をエリザへ向けた。
「ここは危険よ。早く逃げないと手遅れになるわ。」
そう言っている間にもリンダはお茶お入れ始めた
「どうぞ、お茶が入りました。」
「あ、ありがとうございます。」
サトルはお茶を飲みエリザに答える。
「俺たちは貴方を見捨てない。それにローリーも見捨てません。これは俺たちの中では決定事項です。」
そして、サトルはエリザに強い決意を目に宿し答えた。
「死んでしまうわよ・・・。」
エリザは困った顔で彼等に言う。
「どうにかしますよ。」
しかし、サトルは何でも無い風に答え再度お茶を飲んだ。
「ふふ、龍斗の所の子は面白いわね。」
そう言っていると外から警備の服を着た男が入ってきた。
「まだいたのですか。早く非難を。」
そう言って男はエリザに近寄る。
そして隠し持っていたナイフで彼女の腹部を刺した。
全員一瞬固まるがリンダは即座に動く。
アイテムボックスから槍を取り出し男に向け投げつけた。
それを受け男は壁に張り付けにされる。
「ははは、異教徒の女王め、神の裁きを知れ。」
男は槍に貫かれているにも関わらずエリザに叫んだ。
「あ、あなた達は・・いったい?」
エリザは刺された傷を押さえ問いかける。
すると男は顔に邪悪な、笑みを浮かべて叫ぶように喋りだした。
「我らは偉大なる神の使徒にて代行者。貴様の命もこの地で終わる。神の裁きを受けるがいい。」
男が喋り終わるのと同時にエリザは膝をつく。
それを見て舞が駆け寄った。
「エリザさん傷を見せてください。すぐに治療します。」
その様子を見て男は再び喋りだした。
「ははははは、無駄だ。このナイフはバジリスクの牙を加工した特別製だ。万能薬すら効かない呪いを受け、石になり醜い姿をさらすがいい。」
そう言って高笑いを始めた男へサトルは剣を抜いて歩みよる。
「そうか、解説ご苦労さん。」
そう言ってサトルは男を切り捨てた。
エリザは男の言葉を聞いて表情を曇らせた。
「やられたわ。この呪いに効く薬は今無いの。・・・ごめんなさい油断したわ。」
確認すると傷口はだんだんと石になっている。
このままではあと1時間もしないうちに彼女は石になってしまうだろう。
その時、進化が終わりローリーが繭から出てきた。
進化直後で足元はおぼつかないが必死でエリザのもとへ歩いてくる。
「え・りざ、だい・じょう・うぶ?」
その声を聞いて辛いながらも笑顔を作りローリーに話しかける。
「ごめんなさいローリー、もっといっぱいお話ししたかったけどあまり時間がないの。ここは危険よ。あなたはこの人たちと一緒に逃げて。」
エリザはローリーの頭を撫でながら優しく話しかけた。
「い・や」
しかし、直後にローリーの口から出た言葉はひていだった。
「聞いてちょうだい。あなたまで死んでしまっては私も悲しいわ。」
それでもなんとか説得しようとローリーに話しかける。
「いや~」
そう言ってローリーはエリザに抱き着いた。
それを見てエリザも涙を流す。
「すみません。エリザさんこれを飲んでみてもらえませんか?」
そう言ってサトルは龍斗から預かった秘薬を取り出す。
「特別な回復薬ですが呪いに効くかは不明です。」
そして秘薬をエリザに渡した。
「分かったわ。」
そう言ってエリザは秘薬を飲む。
しかし石化の進みは遅くなり若返ったがいまだに石化は進行していた。
「ダメみたいね。ローリー聞いてちょうだい。私は貴方の事大好きよ。」
エリザはその結果を見ると覚悟を決めローリーに話しかける。
「ローリー・も・すき」
ローリーは素直に自分の思いを口にした。
「そうね。だからあなたには生きてほしいの、お願いだから私を置いて逃げて。」
「いや~」
しかしその時、彩がローリーに話しかける。
彼女は数ある魔石をいつの間にか確認していた。
「ローリー、あなたはエリザさんを助けたいの?」
彩はローリーの意志を問う。
「たすけ・たい」
その問いにローリーは即答した。
「あなたは命を懸けれる?」
彩は更に決意があるか確認する。
「彩さん、あなたは何を言ってるの?」
しかし、それを聞いていたエリザは不振に思い二人の会話に割って入った。
しかし、それはすでに遅かった。
「かけ・られ・る」
そう言ってローリーは彩のもとへ向かう。
「待ちなさいローリー、そんな危険なことダメよ。」
エリザは急いで手を伸ばしローリーを止めようとする。
しかし、ローリーはエリザに笑顔を向けて告げる。
「えり・ざ、ろーりー・がんば・ってえりざ・たすけ・たい」
「彩さんやめて。」
エリザは彩に叫んだ
しかし彼女もエリザの願いよりもローリーの願いを優先する。
「私はローリーの希望を叶えてあげたい。そのために私も命を懸けます。リンダさん秘薬を持っていますね私に下さい。魔力が足りません。」
「・・・分かったはこれを」
「リンダ、あなたまで。」
「エリザ、これが今の私たちなんです。」
そう言ってリンダは彩に秘薬を渡す。
それを彩は飲み魔力を回復させた。
「行くわよローリー{リスタート}発動」
それと同時に大量の魔力が吸われていく。
余裕は全くない。
そして彩は魔力を枯渇させて何とかスキルを発動させたが、無理をしたため意識を失ってしまった。
そして繭に包まれるローリー。
その繭は初めてスノーを進化させた時よりの安定していないように見えた。
皆が祈る中、時間が経過していく。
そして繭が消えていき無事にローリーが出てきた。
しかし、ここで火の手がひどくなり避難を余儀なくされる。
サトルたちはエリザ、ローリー、彩を抱えて脱出を始めた。
一つ下の階に下りるとなぜかまだ人が残っている。
「ぎゃははは、異教徒を見つけたぞ。」
そして男は叫びながら襲い掛かってきた。
それに続いて周りの者もナイフを手に襲い掛かってくる。
「風よ」
それをホロの魔法が薙ぎ払い道を作った。
サトルは今、彩を抱えていために戦闘に参加できない。
舞はローリーを抱え、リンダはエリザを抱え進んでいるため現在戦えるのはスノー・クロ・ホロだけだ。
「ここは今何階ですか?」
サトルは歩きながらリンダに確認を行う。
「今はまだ24階です。火事は20階あたりで起きたと言っていました。」
そしてリンダは少し考えて今の階と先ほどのガードマンの言葉を思い出しサトルへと告げた。
「この調子ならまだテロリストがいるかもしれません。急ぎましょう。」
そう言ってサトルたちは急いでフロアを下りて行った。
そして20階にたどり着く。
しかし、そこは火の海になっており通ることは不可能だった。
それまでにも何人もテロリストを倒してきたためホロにも少し疲れが見えてきた。
そして話し合いをしようと止まった時、リンダが誘導を始める。
「こっちに来てください。」
そう言ってホテルの大きな外壁窓の前まで行きアイテムボックスからロープを取り出す。
「ここから飛び降ります。」
リンダはそう言うとエリザを床に降ろしロープを柱に括り付け始める。
「そんな事可能ですか?」
サトルは窓から下を見てその高さに少し腰が引けているようだ。
「あなた達のステータスなら可能です。それに地上まで下りるわけではありません。
4階ほど下の階の窓を突き破りそのフロアから下の階を目指します。」
リンダは固定したロープを確認しながら断言し、今からの行動を説明した。
「それしかないか。クロ、悪いがホロを頼んだぞ。スノーは彩さんを頼む。」
サトルもそれ位なら問題がないと判断する。
それに下の階を人を担いで進むのは不可能だ。
そして悟は彩をスノーに任せる
「分かった、任せろ。」
「任せてください。」
計画が立てば迅速に動き出した。
それぞれ抱えている相手をしっかりとロープで自分に縛り支える。
そして最初はサトルからだ。
持っている武器の特性上、彼が一番手で下りるのが好ましい。
そして一気に外へ向かって飛びロープが限界まで伸び引かれる。
そして、そのまま下の壁へ向かって剣を構えた。
ぶつかる前に剣に魔力を流し斬撃を飛ばして衝突地点の壁を破壊しそのまま中へと飛び込む。
「何とかうまくいったな。」
そして次々と他のメンバーも下りてきて合流し下へ避難を開始した。
さすがにこちらにはテロリストはいなかったが煙が回り始めている。
サトル達は密かにホテルを後にし脱出した。
今現在、誰が味方かわからないからだ。
避難を完了し近くのホテルのベットにエリザを寝かせる。
進行が遅くなったと言ってもこのままでは長くはもたないだろう。
ローリーが進化を終えて2時間が経過したがまだ起きる気配がない。
進化には成功したが、魔力がギリギリだったために負担が大きかったのだろう。
彩さんもまだ深い眠りについたままだ。
そしてエリザさんが話し出した。
「あなた達には迷惑をかけたわね。」
その言葉を聞いてサトルはエリザへ顔を向ける。
「いいんですよ。こちらが好きでした事ですから。」
「もしローリーが起きたら伝えてちょうだい。私は貴方といられて幸せだったと。」
彼女は遺言のようなことを言い始めた。
「あなたとの日々は私の中でかけがえのない物であったわ。」
そこでリンダが急いでベットの布団をはぎ服の下を確認する。
石化が心臓の付近まで進んでいた。
「最後にあなたの毛並みをなでたかったわ。」
その言葉を聞き代わりにホロが犬の姿になり寄りそう。
「ローリー起きろ」
それを聞いてサトルは叫んだ。
「このままだとお前の大事な人が手の届かないところに行くぞ。」
そして、サトルはローリーに右手で触れスキルを発動する。
しかし、いまだにローリーは起きない。
「ローリー・・・来て。」
そうエリザが言ったとたんにローリーは目を覚ました。
そして即座に自分のステータスを確認する
獣人(上級魔法使い)
天職・・・白魔法使い(回復特化型)
スキル
獣化・・・魔力を10消費し進化前の姿になる。魔力消費によりブレスが可能。
人化・・・魔力を10消費し人の姿になる。魔法使用可能。
生体武具生成 ・・・魔力をそれぞれ5消費し杖・服を作る。他者装備不可
ヒール・・・初級ポーションほど回復
ミドルヒール・・・中級ポーションほど回復
ハイヒール・・・上級ポーションほど回復
キュア・・・状態異常回復
解呪・・・呪いを消し去り正常な状態に戻す。(回復まで魔力継続消費)
シールド・・・防御壁
進化後使用した魔石に合わせステータス変化
※さらなる進化は不可能
ローリーは急いでエリザのもとへ向かいスキルを発動する。
「{かいじゅ}」
そしてゆっくりとだが石化が解け石化した部分が小さくなっていった。
それと同時にあふれ出す血液。
どうやら石化していたため傷がいえていなかったようだ。
サトルはその傷に手を当てスキルを発動する。
しばらくして石化の呪いはとけ傷も癒えた。
そしてエリザは犬に戻ったローリーを抱き寄せて眠っている。
ローリーもかなり負担が大きかったようで今は眠りについている。
少しして彩が飛び起きてどうなったのかをサトルに質問した。
「大丈夫ですよ。進化は成功して今エリザさんの治療が終わった所です。
2人とも今は眠っています。」
「そうですか。それならよかったです。」
彩の顔色はいまだに悪いが二人が無事でいる事で口元がほころぶ。
しかし、そこでリンダは彩に言った。
「あんな無茶な魔力の使い方をすると寿命が削れますよ。」
それを聞いた周りの仲間は驚愕した顔で彩をみる。
「なんとなくわかってますよ。それでも私はローリーの願いにこたえたかった。」
彩は微笑んだままでリンダに答えた。
そしてリンダはアイテムボックスから秘薬を出して彩に渡した。
「これはサービスです。あまり無理はしないでくださいね。あなたが死んでしまうと泣く人がいますから。」
そう言ってリンダはサトルを見た。
「そうですよ。でもそれが彩さんですよね。」
そう言ってサトルは彩を抱きしめ、その横から舞とホロも抱きしめる。
「無事でよかったです。」
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