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第五十三話 社員旅行6日目・会談

俺は朝、目が覚め横を見る。しかしホロの姿は無かった。

そして、足元を見ると犬の姿で腹を出して寝ていた。

俺が起きたのに気づいたのか起き上がりこちらに近づいてくる。

そして横に寝転がり、前足をクイックイッと動かし撫でることを催促してきた。

ホロは変わらず我が道を行くタイプのようだ。

撫でていると満足したのか、人の姿になり軽くキスをして部屋から出て行った。


そして俺は今日も食堂で食事を食べていると龍斗さんから招集がかかった。

行ってみると現場で依頼をこなすメンツがみんな集まっていた。

そして俺が入ると龍斗さんが話を始めた。


「これで全員だな。

今から話すことは天職とスキルについてだ。

大半の者は天職を得て日が浅いか、又は持っていない者もいるだろう。

だがこの二つについての知識を知っていれば今後きっと役に立つ。

そのつもりで聞いてほしい。

銀二などは知っていると思うがスキルには熟練度があり使えば使うほど使いやすくなる。

そして重要なのが天職だ。

これは今君たちがいる場所が終着点ではない。

例えば魔法職だけでも下級・中級・上級とありランクが上がる。

ちなみに私が最初に所持したスキルは下級剣士だが今は剣聖となっている。

それとサトルの父親は元は剣士だが今は上級侍となっているらしい。

これはレベル以外の要素を天職がくみ取って変化していく。

またそれによりスキルが変化したり増えたりする。

私が剣聖になって得たスキルは万物切断だ。

込めた魔力に応じてあらゆる物を切断できる。

このように皆はまだ発展途上だ。これから人生は長い、多いに努力してくれ。」


「はい。」


そこで話は終わり解散となる。

しかし、そこで龍斗は数人を呼び止めた。

呼ばれたのは銀二夫婦、サトルの両親の渡辺夫婦、サトル、彩、の6人である。


「すまんが今から人と会うのだが一緒に来てくれ。」

「分かったが誰か来るんだ?」


銀二は疑問を口にする。


「あってからのお楽しみだな。もう来ているから今から向かおう。客は二組おるから少し時間を貰うぞ。」

そう言って龍斗は全員を案内していく。

そして部屋に入る前に龍斗は見た目が特に若返った者に自分達の正体はまだ秘密にすることを命じた。


部屋に入るとそこには救援活動で指揮をとっていた霧島さんと同い年位の女性が座っていた。


「よく来てくれた。君が霧島君だね。私が会社の社長をしているものだ。」

そう言って龍斗は霧島の対面にあるソファーに腰を下ろす。

「あ、よろしくお願いします。自衛隊を退職して仕事を探していましたが、ここで雇ってくれるという話ですが。」

霧島は背筋を伸ばして龍斗へと確認を取る。

「ああ、君の実績は知っている、人格も素晴らしいのでぜひこの会社に入ってほしい。」

そう言って龍斗は立ち上り右手を差し出す。

「私のような老骨でよろしければ喜んで働きましょう。」

霧島もそれに答え握手を交わした。

そして二人は再びソファーに腰を下ろす。

「よかったわね、あなた。」

横の女性は霧島の手に自分の両手を重ねて笑顔で喜ぶ。

どうやら二人は夫婦のようだ。

そして霧島は机の上の契約書にサインをした。

その時、扉がノックされメイドがお茶を持ってくる。

そして、メイドは霧島夫婦の前にお茶を出すと退室していった。

「いい水が手に入ってね。それで入れたお茶だ。体にいいから飲んでみてくれ。」

「それは助かります。」


そう言って2人はお茶を口にする。


「少しお尋ねしますが、そちらにいるのはサトル君かな?前と少し雰囲気が違うが。」


サトルは社長に目配せし了承を得る。


「ええ、そうですよ。先日はお世話になりました。」

サトルはそう言って頭を下げた。

「いやいや、我々も大助かりだった礼を言うよ。」


そして霧島の体に変化が現れだした。

髪は黒くなりはじめ、顔がだんだんと若返っていく。

霧島夫婦はそれに気づかず話を続ける。


「どうかね、あれから頑張ているかな?」

霧島は笑顔で話を続ける。

「はい、この会社に雇ってもらったので今からは同僚となります。」

サトルもそれに答え笑顔で返す。

「そうか。それじゃ仲良く頼む。約束していた飲みもこれで行きやすくなったな。ははは」


そしてその時、奥さんにサトルを紹介しようとそちらを向いて霧島は驚愕する。


「お、おまえ、どうしたんだその顔は。昔のお前に戻っているぞ。」

「え、あなたこそ、出会った頃の姿そのものよ。」


そこで龍斗が話に入る。


「実は今のお茶には若返りと回復の効果があってな。これから働いてもらう上でのサービスとして二人には若さを提供した。」

龍斗は最後にニヤリと笑う。

「そんな事が、これは今だけなのか?」

そして龍斗は表情を真面目なものに戻し説明を続ける。

「見ての通り君らは20代前半に戻った。これから年は取るが副作用などはない。ちなみにここにいる青年は銀二だよ。」

「ああ、もしかしてダンジョンで避難者をモンスターから守っていた。」

霧島は名前を思い出した銀次を見た。

「その通りだ。今、我が社に務めている者はみな20代に若返ってもらった。これから忙しくなるからな。」

「・・・わかりました。まあ、新しい人生と思って楽しみましょう。人生50年が100年になっただけですから。」

そう言って龍斗達へ苦笑いを向ける。

「あなた・・・」

霧島の奥さんが不安そうに夫へと話しかける。


「どうした、不安か?」

「いえ、私たちには子供がいないでしょ。だからもう一回挑戦しましょ。」

奥さんは勇気を出して夫へと思いを打ち明けた。


「それはいいが・・・。医者に一度無理だと言われたじゃないか。」

彼女は過去の病気が元で子供を作れないと宣告されていた。

「でも今なら大丈夫な気がするの。」

「おお、言い忘れておった。この水を飲むと病は治る。」

「それは本当か!!!」

それを聞いて霧島は今日一番の笑顔を浮かべて立ち上がる。

「ああ、本当だ」

龍斗もそれにつられて笑顔で断言する。

「よし、それなら希望が持てるぞ。」

そう言って霧島は奥さんに抱きつく。

「あなた、私頑張るわ。」


そう言って二人は泣いていた。


「本土への帰還は明日になる。それまでのんびりしていてくれ。」


そう言って俺たちは部屋を出て行った。

そして次の部屋に向かう。


こちらには高齢の獣人女性がソファーに座って待っていた。

「久しぶりだな紅蓮」

「ああ、その声は龍斗かい、なんだか声が若く聞こえるが元気にしてたかい。」

彼女は焦点の定まらない瞳でこちらを見る。

彼女は高齢のため目を悪くしているようだ。


「ああ、この通り元気だ」

「それでどうだ状況は。」

それを聞く龍斗の表情はあまりよくない。

「ハッキリ言って悪いね。このままじゃ悲しむ獣人たちがまた沢山生まれてしまうよ」


それを聞いて龍斗を含め、周りの人達の気配が変わる。


「なかなかの武士もののふがそろってるようだね。私も若ければそこに加わるんだけどね。」

その気配を感じて彼女は視線を上へと向ける。

恐らく昔の若い時を思い出しているのだろう

すると、龍斗はサトル達に振り返る。

「サトルたちには紹介がいるな。彼女は元俺のパーティーメンバーでな近接戦の達人だった。虎の獣人で、確か天職は大剣双鬼だったか?今は獣人を保護するため動き続けている。」

「昔の話さ。お前の所に装備を置いた時に戦士の方は引退したよ。」

その言葉には諦めと寂しさが感じ取れた。

「俺はまだお前の装備を大事に保管しているぞ。そう言えばまだ茶も出してなかったな。いい茶が手に入ったんだ。」


そう言って龍斗は先ほどと同じ茶を出した。


彼女はそれを口にする直前。


「龍斗、あんたの事は信頼してる。でも教えてくれないかいこの茶はなんだい?」


彼女はこのお茶に気づいたようだ。

そして、彼女はその見えない目で龍斗を睨み付ける。


「さすがにごまかせんか。」

龍斗は悪戯が失敗した時のように頭を掻きながら観念する。

「ああ、この茶には膨大な魔力の匂いがする。一般人はごまかせても上位者クラスは誤魔化せないよ。」

「そうか、実はその茶につかっている水はな、あるダンジョンで手に入れたものだ。

そして、それを飲むと若返ることが出来る。」

龍斗は真顔になり真実を素直に告げる。

「それは本当かい?」

彼女はカップを持ったまま強い口調で確認する。

「ああ、紅蓮にはこれからも獣人を保護してもらいたいしな。」

龍斗は苦笑しながら自分の思いを話した。

「そうかい、ちょうど獣人を奴隷のように扱ってる組織をどうにかしたいと思っていたんだよ。」


彼女はそう言うと先ほどまでの老成した表情ではなく肉食獣の笑顔を作りお茶を一気飲みほした。

そして次第に若返っていく彼女はまず龍斗に自分の装備を催促した。


「ここに持ってこさせてある。」


そう言うとメイドが台車に皮鎧と大剣を2本乗せてやってきた。

それを彼女は装備していく。

彼女の見た目はすでに60を下回っている。

髪は変わらず白だが目は色を取り戻し翡翠に輝き、垂れていた耳は立ち上がりその存在感を主張している。

肌は病的な色から褐色気味になりその腕には2本の大剣が握られていた。


「龍斗、いいもん飲ませてくれたね。これであのフザケタ組織をぶっ飛ばして捕らわれた獣人たちを救えるよ。」

じ装備が終わると彼女は件の握りを確認し龍斗へと向く。

「と、その前に龍斗、リハビリの相手頼むよ。しばらく動いてなかったから勘を取り戻さないとね。」

そう言って彼女は大剣ほどもある双剣を軽々と持ち上げる。

「それは構わんが突撃はあと少し待ってくれ。」

龍斗は腕を組んで紅蓮に待つように伝える。

「なんでだい。つまらない答えだとただじゃすまないよ。」

紅蓮はそれを聞いて殺気を込めながら龍斗に理由を聞いた。

「俺は今、多くの機関に働きかけて秘密裏に獣人の人権を日本政府に保障させた。その法律が発表されるのは明日からだ。それと同時に獣人を虐げている組織の一斉検挙を行うことになっておる。お前が向かいたい組織はなんだ。」

「ここにリストがある。確認してくれ。」

紅蓮は腰のアイテムボックスから資料を取り出し龍斗へと渡す。

「ちょっと待ってくれ、リンダこれを確認してくれ。」

「かしこまりました。」


そう言ってリンダはリストを確認していく。


「龍斗様、どの組織も政府から渡された資料のブラックリストに載っております。」

「そうか、決まりじゃな。俺たちも協力するぞ。そのフザケタ組織は根絶やしにしてくれる。」

そして、龍斗は獰猛な笑みを浮かべ紅蓮に協力することを告げた。

「そうか、それは心強いね。それじゃ外で一勝負と行こうか。」


そう言って龍斗と紅蓮は黒い笑みを張り付かせて外に出て行った。

読んでいただきありがとうございます。

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