第四十四話 フレイの想い
その日松の相棒であるコリー犬のフレイがとうとう進化可能レベルに到着した。
そしてそれを銀二から伝えられた松は進化させることを承諾する。
当然フレイは喜んだ。
社員旅行に間に合ったからだ。
この間ホロが獣人になり主人であるサトルにアプローチをかけていることを知ってから、フレイもその機会を待ちわびていたのだ。
しかし、そこでフレイは悩んだ。
(どんな戦闘スタイルにしよう?)
松はバリバリの前衛だ。だから自分も前衛で共に戦うか。
それとも後方の支援に回るか。
フレイのレベルはまだ進化可能レベルに達したばかり。
他の者のように特殊な魔石は使えない。
だから通常選択肢は限られるがこの会社には進化を前提としていろいろな魔石がストックされている。
逆に進化の選択肢が広がってしまっている。
フレイはその不安を素直に銀二に伝えた。
本当は松に聞いてほしいが今は意思を伝えるにも相手が限られるのだ。
銀二はその事を松に伝えてくれた。
そして松はフレイにやさしく語り掛ける。
「フレイのこれからの人生?なのだから好きに決めればいい。前衛なら肩をならべ後衛ならお前の魔法が俺を守ってくれるだろ。」
フレイは嬉しくなって松の顔を舐め上げた。
そして、銀二に今使用可能な最も強い魔石の使用をお願いした。
その魔石とは。
進化先
獣人(中級魔法使い)
天職・・・白魔法使い(回復支援)
スキル
獣化・・・魔力を10消費し進化前の姿になる。魔力消費によりブレスが可能。
人化・・・魔力を10消費し人の姿になる。魔法使用可能。
生体武具生成 ・・・魔力をそれぞれ5消費し杖・服を作る。他者装備不可
ヒール・・・初級ポーションほど回復
ミドルヒール・・・中級ポーションほど回復
キュア・・・状態異常回復
シールド・・・防御壁
ブースト・・・対象のステータスを増加させる。
進化後使用した魔石に合わせステータス変化
※さらなる進化が可能、次はレベル20と対応した魔石。
それはくしくもホロが選ばなかった白魔法使いの魔石。
松も最近では戦いになれたとはいえ怪我は絶えない。
ポーションを惜しんで軽いケガなら使わない時もある。
しかしこれなら多くの場面で松を助けられサポートもできる。
フレイはその魔石に決めた。
そして銀二は魔石を持ってスキルを発動させた。
「{進化}発動」
松が見守る中フレイの進化が始まる。
しかしそこからは彩とは違うベテランである銀二の仕事が光った。
銀二はこの時、消費される魔力の何倍もの魔力を込め繭を安定させに掛かる。
そしてもう片方の手に持っていた魔石の粉末を光の繭に向かって吹きかけた。
繭はその魔石の粉を吸収しさらに強い光を放つ。
これは銀二がフレイの強い思いを感じ取ったために行った、滅多にしない特別な処置だ。
数分後繭は消えていった。
そこには茶色の長髪だが額の所が一房白髪が伸び。
尻尾と耳の先端の毛が白い美人系の獣人がいた。
松はそれに見とれてしまったが銀二に促されフレイを抱き留めベットに寝かした。
ちなみに天職・スキルはこんな感じに変化した。
獣人(上級魔法使い)
天職・・・白魔法使い(回復支援)
スキル
獣化・・・魔力を10消費し進化前の姿になる。魔力消費によりブレスが可能。
人化・・・魔力を10消費し人の姿になる。魔法使用可能。
生体武具生成 ・・・魔力をそれぞれ5消費し杖・服を作る。他者装備不可
ヒール・・・初級ポーションほど回復
ミドルヒール・・・中級ポーションほど回復
ハイヒール・・・上級ポーションほど回復
キュア・・・状態異常回復
シールド・・・防御壁
ブースト・・・対象のステータスを増加させる。
ハイブースト・・・対象のステータスを大幅に増加させる。(ただし肉体にダメージ発生)
進化後使用した魔石に合わせステータス変化
※さらなる進化が可能、次はレベル30と対応した魔石。
そしてしばらくしてフレイは目を覚ました。
「どうじゃ調子は。」
「は・いもん・だいあり・ません。」
「そうかそれはよかった。少し特殊な進化をさせたからな。まあ、後でステータスを確認してみい」
「言いたいことや聞きたいことは明日以降にせい。」
「今はしたいことがあるじゃろ」
そう言って銀二は松に向き直る。
「松、今は喋ることになれておらんからこんな感じじゃが、じきになれて普通に喋れるようになる。しっかり練習に付き合ってやれ。」
「あとは、人間は心じゃ。よいな。」
「分かりました?」
そしてフレイは松を前にして沈黙してしまう。
実際話したいことが沢山あったはずだが、いざ話せるようになると何を話していいのか分からなくなってしまったのだ。
松はそれをみてまだ喋りにくいのかと勘違いし、自分から話しかけることにした。
「フレイ、綺麗になったな。」
「!」
フレイはいきなりの言葉に顔をバッと松に向け、目を見開いて驚いた。
松は松でその言葉が自然に出たことに驚き、しかし慌てた。
「ま、まって、今の無し。つい本音が出た。」
{松は混乱している}
「ふふふ」
しかしフレイは嬉しくて笑ってしまう。
そして互いに緊張が解けて少しずつ話し始めた。
「うれ・しい・です。ずっ・とそうい・ってほしかった。」
その言葉を聞き松は驚いてフレイを見る。
「はじめ・てあった・ひにまよわず・わたし・をえらん・でくれ・た。すごく・うれしか・った。」
そしてフレイは自分の思いを話し始めた。
「あなた・をみた・ときに・ずっとい・しょに・いたいと・おもいました。」
「ずっと?」
「はい、しぬまで。」
「!!それは今も?」
「はい、いまも・しぬまで・いっしょ・にいたい・と・まえよりつよ・くおもいます。」
「・・・・」
「まつ・さん、わたし・は・あなた・がすき・です。ずっと・いっしょ・に・いてくれ・ますか。」
松は考えた。
自分でいいのか?
この子ならもっといい相手がいるのでは?
俺はもうそれなりの年だしこの子に釣り合うのか?
色々な考えが浮かび頭を駆け抜ける。
そして先ほどの銀二の言葉が頭をよぎった。
{人間は心じゃ}
(そう心だ。今まで俺はここまで真直ぐ慕われたことはない。今は何より俺もフレイに誠実に答える時じゃないのか。)
そして長い沈黙を破り松はフレイに語り掛ける。
「俺は結婚もしていないし子供もいない。だがすでに40を超えている。フレイには俺よりも相応しい相手がこれから現れると思う。」
それを聞いてフレイは悲しい顔をして俯いてしまう。
先ほどまでたっていた尻尾もベットにしおれピクリとも動かない。
しかし松は言葉をつづけた。
「それでも俺を選んでくれるのなら・・・俺も一生君といたい。」
それを聞いたフレイは顔を上げ目に涙を浮かべる。
尻尾は立ち次第に横の動きへと変わっていく。
「何があっても俺のそばにいてくれるか?」
「しが・ふたりを・わかつまで。」
そして二人は抱き合い。
フレイは人として初めてのキスをした。
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